Story Reader / エターナルユニヴァース / 霧に啼く挽歌 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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宿命が織りなす網

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コレドールは糸の網を広げる。彼女はほぼ無敵に近い存在だった。赤い糸に触れる度、新たな人形が現れ、陣列を補っていく

彼女は何度でも蘇る。相手が力尽きるまで

33%……いかがですか?女爵様。この軍事力、満足していただけました?

αは顔を覆うように張りつく糸の塊を引き剥がした。それらは傷口を裂き、体内に根を張ろうとする

その糸はあまりにも強靭だった。斬っても、焼いても、引き裂いても、絶え間なく再生していく

なぜ私が「人形」に執着するのかわかりますか?

苦しいからです。こんな歪な体じゃ、ただ成長するだけでも薬に頼って耐えるしかなかった……それを乗り越えるために、人間が考え得る方法を全て試しました

最悪だったのは骨の延長手術……感染症で死にかけたこともあります。だから私は「最高の子」を作る必要があったのです。自分の欠陥を忘れるために

コレドールの攻撃は緩急が読めなかった。αの体に傷が増え続け、糸は見えぬ力で彼女を締め上げようとした

組織に売られた時、ようやく運が向いたと思いました。自分も異種になれるんだって。なのに、その場所に立ったのはあなただった

なぜあなたなのですか?α……なぜ、よりにもよってあなたなのです?どれだけ考えても答えなんて出ませんでした

68%……いっそ、あの実験で死んでいればよかったのです。そうすれば、あなたの成功をこの目で見ずに済みましたから。あの裏切りのような行為を

33……68……

……αお姉様の、血の暴走までの進行度です!それをカウントしています!彼女はαお姉様の力を削り、獣化を引き起こそうとしています!

コレドールはαの死のカウントダウンを刻んでいた

ふたりがαへ駆け寄ろうとした時、忍び寄る糸に絡め取られた。背後から蜘蛛の巣が織り成され、獲物となったふたりふたりに無数の人形が蜘蛛のように近付く

エリーナは珍しく素直に指示に従った。顔は青ざめ、唇も強く結ばれている。それでも視線だけはαから逸らさず、人間と攻勢を速めていく

あら、気付かれてしまいましたか……まあいいでしょう。もう少しなので、ペースを上げますね

αお姉様!

エリーナの叫びとフクロウの影が霧を裂いた瞬間、暁光が女爵の手から滑り落ちた。αは不意を突かれ、背後から糸に腹部を貫かれる

αは糸に吊り上げられた。コレドールはゆっくりと近付き、慈しむようにαの顎に触れる

……99%……100%……ついにきたわ!

後天性の異種の獣化は、命の危機に瀕した時に本人の意思と関係なく発動する。長年αを診てきた医師としての知識が、彼女を殺すための刃へと変わっていた

狂気じみたカウントダウンが終わり、αは完全に人の理性を失った。目が開くより先に、鋭い爪が本能のまま前方に振るわれる

劫火の鬼と化したαは疲労も痛みも知らず、ただ本能のままに戦い続ける

それはもはや人の戦いではない。牙さえ武器となる。コレドールは必死に糸を操り、自らの獲物を調教しようとした

[player name]、牢屋での会話を覚えてる?

もし途中で私が自分自身を制御できなくなったら……迷わず、全てを終わらせて

今、ついにあなたに追いつきました……

コレドールは糸を紡ぎ、巨大な繭を作り上げた。中に収まるのは、彼女とαのふたりだけ。外界から完全に遮断される

医師の力が弱まったあと、人間はようやく蜘蛛の巣を破った。エリーナは繭へ駆け寄り、必死に叩いて壊そうとした。だが、びくともしない

これは何?何をしてるの!?こんなの狂ってる!!

繭の中にいるコレドールは糸――神が創り出したそれを手に取り、吊り上げられたαに近付けた

これで全てが揃いました。あなたと私……そして、ルナ

私たち3人の運命をひとつに結ぶのです

コレドールの優しい声には、抑えきれない歓喜すら滲んでいる

人間は走って暁光を拾い上げ、女爵を真似て指を噛み切り、その血を刀へと塗りつける

刀にはαが残した意志が宿っている。死を覚悟した、最後の意志が……

誰かが約束を果たす必要がある。繭の中から生まれるものが「α」でなければ――[player name]は何度も汗で滑る刀の柄を握り直し、斬り込む覚悟を調整する

糸がαの心臓から血管を通り、全身を貫いていた。コレドールはαを「侵蝕」している。この同期を無理に断てば、ふたりは砕け散ってしまう

あなたは私のものですよ、α……

このまま諦めるわけにはいかない……!なんとかして、αお姉様を……

エリーナはしばらく考えたのち、糸を手の平に置いた。彼女の許可を得た糸は、骨へ根を張るように増殖し、繭へと絡みついていく。そしてついに輝く核へと到達した

αお姉様が食べられていくのを黙って見ているわけにはいきません。やるべきことをやらないと……

銀と金の光が繭の表層でせめぎ合い、書き換えを始める。エリーナは目を閉じ、演算を続け、自らの銀の光が優勢になるまで耐えた

[player name]、今です!

人間は繭を斬り裂いた。エリーナは傷を負って崩れ落ち、コレドールは痛みで絶叫する。それに呼応するように、周囲の人形たちも一斉に耳を塞いだ

繭を破ったと同時に、暁光は寸分違わず、αの心臓へと突き立てられた。αは本能的に身を守ろうと、振り返りざまに人間人間の肩を掴み、そのまま地面へ叩きつける

人形たちはよろめきながら集まり、機械的に糸を拾い上げ、同期を繋ぎ止めようとした。αは胸を押さえ、次第に力を失っていく。それでも無数の眷属たちは彼女を取り囲んでいた

エリーナは急いで[player name]を起こした。その人その人は暁光に縋るように膝をつき、呆然と前を見つめながら呟いた

αは最も凄惨な死をもって、この陰謀に抗った。それがここへ来る前に交わした約束。彼女を殺すためにも、救うためにも、刃を突き立てる場所は同じだった

人間が深く息を吸い込むと、物悲しい霧が胸の奥まで染み渡る。しかし、その静寂を破ったのはαの指先だった

私の勝ちです。最後に勝ったのは、やはり私……ああ、女爵の座が目の前に……そして、私の未来もまもなく訪れる

すると――幾重もの視線の中、「α」が起き上がった

「α」が手を上げると、暁光は人間の手から離れ、主のもとへ戻った

やがてαは目を開けた。そこにあったのは夢の水辺に浮かぶ花のように、深く静かな蒼い瞳

……ふふ、また会えたわね

オルゴールの音色が響き渡り、背筋が凍るほど優しい旋律が奏でられる。それはルナの声だった。意識の深層で出会った、あの少女と寸分違わない

記憶が大きく混乱し、意識世界にいるのか、現実世界にいるのか判別できなくなった

こんにちは、臆病なコレドール

危険を察した人形たちは後退し、コレドールも距離を取ろうとする。しかし、見えない力に阻まれた

多重人格……?執念、それとも自己救済?ルナはとっくに死――

見えない手が、確実に医師の頬を打った

そんなこと言わないで、お姉ちゃんが悲しむから

ルナはとっくに死にました……!あの夜、αが彼女を呑み込んだからこそ進化が叶ったのです

これは私がこの目で見たこと……そして組織の結論なのです!

目で見たものが、全て真実だとでも?

ルナは亡霊のようにコレドールの背後へ漂い、彼女の顎を掴んだ

死にゆくあなたへのささやかな慈悲として、一度だけ教えてあげる。あれは呑噬ではなく、共生よ

ルナはコレドールの正面へ回り込み、なおもその顔を包み込む。その口調は、再び甘く穏やかなものへ戻っていた

お姉ちゃんはね、絶対に私を傷つけたりしない。たとえ自分自身でも許さない

進化の階段で、私たちは力を分け合ったの。それぞれ「暗い面」と「好戦的な面」があるだけ

ルナの宣告とともに、1本の手がコレドールの胸を貫いた。そこにあったのは血肉ではなく、糸だけ。ルナは手を引き抜き、手の平に残った糸は自然に燃えていった

残念だけど、そのどちらもが私のもの

さあ、死の時間よ……コレドール