Story Reader / エターナルユニヴァース / 霧に啼く挽歌 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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独りきりの孤城

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冥界は人間の想像の産物だ。しかし地獄の様相は、時に現世の惨禍にも及ばないことがある

数々の異様な光景が視界に飛び込むより早く、αは瞬時にエリーナの傍へ寄り、マントを広げて彼女を抱き寄せ、その目をそっと覆う

……見なくていいわ

エリーナは暁光の鞘を握りながら前に進むが、絶え間なく死体安置所と湿った森が混ざり合ったような匂いを感じる

イーファよ。結婚式の最中ね

彼女の腐敗した体は、ウエディングドレスごと糸で繋ぎ止められている。ゲストに酒を注いでいるようだが、その瓶から流れ落ちているのは酒ではなく血だった

続いてαの目に映ったのは人狼だった。常人の2、3倍の体躯を持つ母狼は、仔狼に乳を与えている。しかしあまりにも飢えているためか、母の肉を貪っているようにも見えた

これはシスター·ジョヤと私のために証言してくれた婦人よ

このプレートは……博物館のものね。ラテン語で……「母なる天国」

ようこそ、女王の紡績工場へ。ごきげんよう、女爵様。ここには最初の王党派の者たちがおります。我らは世界の終わりまで、女王に忠誠を捧げます

前方の巣は、蜂の巣のような構造をしていた。宙に浮かぶ玉座を中心に、木炭の人形たちがその足下へ群がり、眠ることなく糸を紡いでいる。腕が千切れても縫い繋がれていた

かつての組織のメンバーよ。始末したはずなのに……

お探しなのは人形の創造主、組織の継承者、闇市の夢想家――コレドール様でしょうか?人形にはわかりません、わかりません、わかりません……

人形は一瞬停止したあと、不意に外来者たちを見上げた。口を開き、何度も何かを繰り返しているが、声は出ない。αはその口の動きを真似て、音にする

こ、ろ、し、て……

αは刀を抜き、そして鞘に収める――人形は崩れ落ちた。そこに苦痛はなく、あるのは解放だけだった

コレドール、どこにいるの?

α、私はここです

αは疾走するように、その声の源へと向かった。人間のふたりは必死にその背中を追う。そしてたどり着いた先には、女王を模した操り人形を縫い続けているコレドールがいた

今までは、いつもあなたが診療所に来てくれましたね。私はカウンターの中で、ずっとあなたからの召喚を待っているようでした

今度は、あなたが私に会いに来る番です……女爵様

昔のよしみで、理由を聞いてあげるわ

あなたの壮大な企みが、私を説得できるかどうかやってみなさい

もう忍耐も限界に近いわ。単刀直入に言って

あなたが欲しいのです

実験の果てに、あなたは唯一の可能性を切り開きました。そのためには、あなたが完全に制御を失う必要があります。そうすれば、私があなたの体を支配できますから

そのために、私の血が暴走するように仕組んだの?獣化を加速させるために?

その通り……私には仲間が必要です。飼い慣らされた犬のように、私だけに従う仲間が。それこそが私たちの最終目的なのです

これまで数多の人間の血を試しました。最も成功に近かったのは、あの嘘つきの聖女だけ。でも結局、安定した作品を生み出せる血を持っていたのは、あなただけなのです

ですが、あなたの血を抜く度に僅かな材料を得るのでは足りません。だからあなた自身が私の人形となれば、全て解決するでしょう?

それで、私は何を得るの?

永劫計画の一部となれるのです。それでは不十分ですか?

本気で言ってるの?

必要とあらばルナの体を操って、あなたのために……

コレドールの言葉が終わらぬうちに暁光が閃いた。コレドールの半身が一瞬で断ち切られる

あの子の名を口にしないで

だが、コレドールの断ち切られた肉体は瞬く間に糸で縫い戻され、何事もなかったかのように再生した

あなたの無礼を許しましょう、α。ただし、次はありません

実際のところ、私は欠陥のない夢を皆に与えているのです。あなただけでなく、全ての人が永遠に幸せに暮らせる世界を

あの人形たちが「幸せ」?おままごとなんて時代遅れですよ

コレドールがエリーナを一瞥する。しかしその前にαがエリーナの前に立ちはだかった

妹の代わりを見つけたのですね?あなたがそんなにも姉であることに執着しているとは……

「幻夢」は理由もなく現れるものではありません。この街で一番売れている禁制品ですよ?それだけで十分な答えでしょう?

あら、また別の異種……もしかしたら、私は自分だけの「天啓の騎士団」を持てるのかもしれませんね

誰が味方すると言った?

なぜ味方しないのです?異種が受け入れられたことなんて1度もありません。利用価値がなくなれば、いずれ捨てられる運命です

街を守ることに何の意味がありますか?人間にも、街にも、あなたの居場所なんてない。ずっと孤独だったでしょう

この街は救う価値なんてありません。少なくとも私の下なら、あなたの願いも憎しみもちゃんと見てもらえます。あなたは永遠にここにいられる――私の心臓の場所に

どうして認めないのですか?神に選ばれたのが、この私である可能性を。私が選んだ未来こそが、正しい道である可能性を

もし「主」を選ぶなら、「グレイレイヴン」にするわ

……来なさい、コレドール。本当、話が下手ね

αはふとロランを思い出した。もし彼がこの狂気を語ったなら、ここまで醜悪には聞こえなかっただろう