Story Reader / Affection / カムイ·暉力·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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カムイ·暉力·その4

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3日目

生態園の外では、依然として豪雨が降り続いている。だが天幕のお陰で、ここには疑似陽光だけが優しく降り注いでいた

居住エリアの権限は解放され、空気循環システムも再稼働した。1日かけて、生態園内にこびりついていた錆やカビの匂いが取り除かれた

今では、清々しい土と植物の香りが優しく広がっている

[player name]、ここの空気がかなりよくなった。旧時代の設備の安定性は予想以上だな

カムイはこちらの横に立ち、深く息を吸い込んだ。清らかな空気に包まれ、表情は穏やかで落ち着いている。その瞬間、ふと思い出したように口を開いた

そういえば、生態園のエネルギー供給の状況は?

自分が運転してきた装甲車の前に、カムイを引っ張る。以前は物資で満載だった荷台は、底が見えるほど空っぽになっていた

……食料が足りない

先ほどまでの余裕や落ち着きは消え去り、眉間に深刻な皺が刻まれる

今日中には終わるだろうな。物資を運ぶために使った2台の車も、侵蝕体から逃げる時に使えなくなったし

[player name]、これを見てくれ

空っぽの装甲車の前で表情を沈ませていると、カムイは何かを思い出したように、端末でマップを表示した。そこには比較的大きな緑色のエリアが示されている

前にここの環境を確認した時に、マップをダウンロードしておいたんだ。ここは生態園だから、相応の生産施設が残ってるはず

試しに、ここに行ってみてもいいかもしれない

背を向けてルートを確認していたカムイは、こちらの言葉に軽く体を震わせる

……コホン。[player name]、このルートならいけると思う。執事ロボットを呼んで、行ってみよう

執事ロボットの案内に従い、巨大な隔離扉の前にたどり着いた。重厚な扉がゆっくりと開くと、湿った土と草木の香りが混ざった空気が流れ込んできた

目の前に現れたのは広大な農耕エリアだった。少し暗い天幕の下、古びてはいるものの、畝が整然と並んでいる。長らく手入れされていないせいか、雑草が生い茂っていた

静けさに包まれているが、かつて作物が繁茂していた名残がうっすらと残っている

土壌状態は良好だ。黄金時代の早生品種なら十分に育つと思う

畑の端には、干上がった全自動用水路が血管のように張り巡らされている。今は沈黙しているが、次の稼働の時を待っているようだった

[player name]、ここの灌漑システムとパイプ構造は問題なさそうだ。保存状態もいいし、水さえ通せばすぐに使える

畝の間に足を踏み入れ、無秩序に伸びた雑草に足を取られそうになっていると、カムイが素早く手を差し伸べ、支えてくれた。腰辺りまで伸びた雑草を見て、彼は小さく首を振る

[player name]、足下に注意して。雑草が多すぎるから

振り返り、ずっと後ろを追従していた執事ロボットへ視線を向ける

すると、キーワードを検知したかのように執事ロボットが反応し、素早く前へ移動してきた

キーワードを検知。生態園システムは、皆様が「食料」及び「生存」に関して不安を抱いていると判断しました

家族メンバーを召集し、タスクの第2段階を開始しますか?

[player name]……また新しいタスクがあるみたいだ

執事、みんなを呼んでくれるか?

執事ロボットは即座に放送システムに接続し、被災者たちに農耕エリアへ集まるよう呼びかけた。すぐに、事情を知らない被災者たちが集まり始める

ん……?

人々が揃うと執事ロボットの音楽も一変し、当選発表前のようなメロディが流れた

高まる興奮と張り詰めた緊張感が漂い、答えが明かされる瞬間を待つかのようだった

居住エリアの権限解放と同時に、生活と生産に必要な最低限のエネルギー使用権限も付与されています

今こそ「巣作り」シリーズタスクの第2段階を開始する時です。現在の畑には何もありませんが、皆様の勤勉な労働に応じて、先人たちが残した恵みがもたらされるでしょう!

……つまり、ここに食料の備蓄があるということか?

はい。突発的な事態に備え、農耕エリアの恒温倉庫には、全家族メンバーが1カ月使用できる食料備蓄と、貴重な原種種子が保存されています

よし、皆で運び出そう

しかし、執事ロボットは鋭い警告音を鳴らした。青色から黄色に変わった単眼が、警告音に戸惑うベルニーを捉える

警告!家庭内における、あらゆる強奪行為は禁止されています。違反者には家族メンバー権限の凍結措置が行われます

なるほど……居住エリアの時みたいに、タスクを完了しないとダメってわけか

「家長」よりタスク要請を検知。「巣作り」シリーズタスク、第2段階を更新……全家族メンバーに農耕エリアの使用権限が付与されました

皆様は畑を整備し、最初の希望の種を蒔いてください。そして、タスクを完了すると……

農耕エリアの恒温倉庫の使用権限が、全家族メンバーに付与されます

当選発表のような音楽とともに、執事ロボットはタスクの報酬を告げた

タスク開始前に、システム規定に基づき、主人からの「耕作」に関する映像を再生いたします

人々は自然と集まり、カムイや自分と並んで、執事ロボットが投影する映像に見入った

……あの時、思ったんだ。もし自分たちの家を持てたなら、必ずこんな畑を持とうと

映ったのはあの女性ではなく、作業服に身を包んだ男性だった。裾には泥がつき、息を弾ませながらも、太陽のように生き生きとしている

映像は相変わらず鮮明ではない。しかしその笑顔や楽しげな口調から、カメラの向こうで彼を記録しているのが、以前の映像で見た慈愛に満ちた女性であることが伝わってくる

土が汚いと嫌がっていたけど、見てごらん。生命は、この土から生まれるんだ。僕たちの絆だって同じさ。丁寧に耕せば、必ず実りがある……

そこで映像は終わり、再び執事ロボットの無機質な声が響いた

各家族メンバーはタスク内容をご確認ください。各種道具の使用権限が一時的に付与されています。皆様、頑張ってください

そのあと、丸々とした執事ロボットは、陽気な音楽を流しながら農耕エリアを去った

照明システムもそれに呼応するかのように静かに点灯し、農耕エリアの輪郭がくっきりと浮かび上がる

かなり広いな……今日は大忙しだ……

カムイくん、[player name]。皆の食料なんだ、ふたりだけにやらせる道理はないだろう

背後から、リュークの年老いていながら力強い声が聞こえた。振り返ると、リュークの隣にはベルニーを筆頭に、若く屈強な被災者たちがすでに袖をまくっていた

畑仕事なら得意分野だ。俺たちの食料のためだしな

おう、任せておけ!

役割分担が決まると、被災者たちは次々と道具を手に取り、それぞれの担当区画へ散っていく。先ほどまでの賑やかさが嘘のように静まり返り、カムイと自分だけが残された

カムイに鍬を渡し、お互いの区画へ向かった

各区画に散らばった人々の、活気に満ちた声があちこちで響き渡る

少し離れたところで、カムイは鍬を構え、目の前の地面をじっと見つめていた

カムイ

……多分、こうだな

少し迷ったあと、カムイは真剣な表情で鍬を高く持ち上げ――

全力で振り下ろした

バキッ!

乾いた音とともに、木の柄が一瞬でまっぷたつに折れ、鍬は地面深くに突き刺さった。弾け飛んだ土が勢いよく舞い上がり、カムイの顔に容赦なく降りかかる

カムイ

ッ……

カムイは少し恥ずかしそうに小さく息を吐き、突き刺さった鍬を見つめ、壊れた原因を確かめようとしていた

顔が土だらけの彼を見て、笑いながら近付く

カムイ

いい、自分でやる……うわっ!?

拒む暇も与えず、手を伸ばしてカムイの顔の土を拭い、髪に残った土も丁寧に払う

そして新しい鍬をカムイに手渡し、その隣に立った

自分の手を、カムイの鍬を握る手の上に重ねる。体勢を整え、力を入れすぎて強張っている彼の筋肉を緩ませるよう促す

カムイ

ちょっ、[player name]……

こちらの手の感触が伝わったのか、カムイの体が一瞬硬直し、呼吸も少し乱れる

カムイの手を支え、正しい力の入れ方を補助する。優しく導き、軽く持ち上げてしっかりと下ろす

鍬は滑らかに土に入り、柔らかい土を掘り起こす動きは自然で軽やかだった

――カムイは視線を下ろし、重なる手を見つめた。力を入れているのは相手なのに、なぜか自身の心臓が激しく打ち、顔も熱を帯びる。また、あの異様な感覚に襲われてしまった

カムイ

感じる……

声が少し詰まり、張り詰める。耳元に相手の息と声がかかり、周囲の労働の音が一瞬でなくなったように思えた。今の世界には、隣にある温もりしか残っていない

カムイ

[player name]……要領は掴んだ。あとは自分でやる

様子の異変を察知されたのか、更に声をかけられる

カムイ

い、いや、なんでも……

その複雑な感情を隠すように、体を横に向けた

カムイ

全体の進みが遅いから、急がないと

距離を取ると、カムイは微かに息をついた

その冷静な眼差しに、一瞬だけ落胆がよぎる

その後の作業では、カムイは沈黙を貫き、ひたすら機械的かつ効率的に鍬を振るった。まるで、余った力や感情を土にぶつけるように――

互いに、担当区画の一角で黙々と働き続けた。ぎこちなかった動きは次第に滑らかになり、ついには農耕エリア全体の土地が整えられ、希望と明日を象徴する種が蒔かれた

最後のひと粒に土をかぶせ終えると、広々とした農耕エリアに人々の歓声が響き渡る

システムがそれを検知したのか、タイミングよく放送が流れた

もうお馴染みとなった陽気な音楽とともに、丸々とした執事ロボットが姿を現す

皆様、おめでとうございます!完璧な協力の下、指定タスクを無事完了いたしました。システムによるタスク評価は……「優秀」でございます

優秀?じゃあ、倉庫の備蓄を使ってもいいか?

もちろんです。勤勉な汗は報酬を得る鍵のひとつですから。「巣作り」シリーズタスク、第2段階のタスク計画に従い……

恒温倉庫の権限が解放されました。皆様が得るにふさわしい報奨……豊穣の喜びを存分に味わってください

盛大な当選発表のような音楽が流れる中、遠くにある倉庫の分厚い扉がゆっくりと両側に開いた

まだ中の様子は誰も見ていないが、豊作の予感が辺りを満たす。人々は耳をつんざくほどの歓声を上げ、帽子を宙に放る者までいた

ベルニー、気をつけろよ。この先の食料なんだから、丁寧に運んでくれ

リュークの注意を受け、食料を担いでいたベルニーは、居住エリアのホールに積み上げられた箱の上へ慎重に置いた

恒温倉庫の使用権限を得たあと、自分とカムイは被災者たちを率いて、必要な食料と種子を全て居住エリアに運び込んだ

長らく空腹だった人々は、ホールに積み上げられた食料の山を見て、再び瞳に光を取り戻す

過剰な取り分による浪費を避けるため、事前に綿密な物資配分計画を立てた。現在の備蓄量と、今後届く支援物資も考慮されている

――そして部屋番号順に、食料を配り始めた

これが最後のひと箱だな。倉庫の残量を、[player name]に報告しないと……

カムイは最後の物資箱を置き、腰を伸ばして額の汗を手の甲で拭った。無意識に、その視線はレーダーのように、人混みの中の1点を捉えていた

[player name]は被災者たちに囲まれていた。誰もが我先にと手を伸ばし、感謝を伝えようとしている。笑顔と涙でできた輪の中心に、あの人がいる

……

本能が、カムイを前へと駆り立てた。戦闘が終わる度にそうしてきたかのように、自然とあの人のもとへ歩を進めようとする

しかし、踏み出した足は宙で一瞬止まり、そのまま音もなく元の位置へ戻った

……人が多すぎるな

低く呟いたその声は淡々としていたが、視線は人々の手元に注がれていた。あの人の手を握る者、遠慮なく肩を叩く者……

以前なら「友好的」と思えた接触が、今は異様に目に刺さる

(人が密集しすぎて、風通しもよくない)

(無秩序な接触は病原菌の拡散リスクを高めるし、[player name]の体力を大きく消耗させる)

(しかも、[player name]は長時間の重労働を終えたばかりだ)

(最も合理的なのは、ここにいる全員を解散させ、[player name]を休ませて……そのあと、俺が各部屋に物資を届けることだな)

理性は必死に「[player name]を連れ出すための正当な理由」を100個並べ立てていた。それでもカムイは、その場から動けずにいた

あの人の、笑顔を見てしまったからだ

……そっか

(あの笑顔は、俺だけに向けられたものじゃなかったんだ)

胸の奥に、水をたっぷり吸ったスポンジを押し込まれたような感覚が広がる。重く、湿っていて、息を吸う度に言葉にできない滞りを感じる

目の前の景色は過剰に明るく、白飛びしているかのようだった。あの人から発せられる光があまりに強く、カムイは人波に押し出され、光から取り残されてしまったように感じた

……[player name]は人気者、それはいいことだ

ここでの絆が、少しずつできあがってきてる証明でもある

彼は自分を説得しようとした。論理的に、理性的に、模範的な「喜んでいる笑顔」を作ろうとする。しかし、口角の筋肉は思うように動いてくれなかった

無理に作った笑みはぎこちなく、どこか滑稽だった

……報告は、後にしよう

一刻を争う仕事でもなく、今すぐでなくてもいい。今かき集めている逡巡や言い訳は、全て自分でも認めたくない、あの微妙な感情を隠すためのものだ

あの優しい笑顔が、せめて今この瞬間だけは自分だけに向けられていてほしい。自分でも戸惑うような拗れた心情を自覚し、苦笑を漏らす

農耕エリアにいた時は……みんな、ここまで[player name]と話したがってなかったのに

カムイは人波から離れ、柱にもたれて両腕を組み、群衆をぼんやりと眺めた

先ほどまで静かだったベルニーは配給を手伝い、リュークは秩序を保とうと奔走している。本来なら、今あの人の隣に立っているべきは自分のはずなのに

あの人の疲れた笑顔を目にして、眉間の皺は更に深まる。どうにか理由をつけて救い出すべきか迷っているその時、ぎゅうぎゅうに詰まっていた群衆が、ついに少し動いた――

食料を受け取ったら戻って休め。1日中忙しかったんだ、[player name]も少し休ませてやろう

戻って飯でも作るか。じゃあな!

お疲れさま、[player name]さん

またな、[player name]。改めてありがとうな

……

労いの言葉が飛び交い、被災者たちは食料を抱えて散っていく。気付けば、残ったのは僅か数人。ベルニーはホールの外で、柱にもたれるカムイに気付いた

カムイ!どこにいたんだ?さっき、ちょうどお前のことを話してて……

言い終わる前に、世慣れたリュークが遮った

ベルニー、ワシらも行こう

え?

いいから行くぞ!

ベルニーはようやくリュークの意図を理解し、カムイに軽く手を振ってホールを後にした

外を出ると、柱にもたれて立つカムイがいた。拗ねたような表情を浮かべている

け、警備をしてた。人が多すぎると、混乱が起きやすいから……

外から見張ってたんだ。何かあれば、すぐに駆けつけられるし

口調は軽いが、視線は落ち着かずに泳いでいる。それだけで答えは十分だった。歩み寄り、自然な仕草で金色の髪をくしゃりとなでる

[player name]、髪が乱れる……

彼はその手から逃げるように身を引き、少し不満げに髪を整えた

核心を突かれたのか、カムイは慌てて言い訳を始めた

違う。ただ、みんながあんたを先に休ませようって考えてなかったみたいだから……俺ですら少し疲れたってのに……

労うより、まず休ませるべきで……でも、みんながあんたを大事に思ってるのは、悪いことじゃないし……

視線を泳がせるカムイの視界の端に、そう遠くないところで盗み聞きをするジェロムの姿が映った。目が合った瞬間、ジェロムは逃げるどころか舌を出してみせた

やーい!カムイ兄ちゃん、ヤキモチ焼いてる!

背後から少年の声でからかわれる。正体を隠す気もないような茶化す口調で、ジェロムは背中で手を組みながら、こちらへ歩いてきた

ち、違うから!

あまりにストレートな言葉に防御を貫かれたのか、カムイの顔はみるみる赤くなり、必死に弁解した

ベルニー兄ちゃんの忘れ物を取りにきただけ

でもまさか、こんな場面が見られるなんてな~。だからカムイ兄ちゃん、ずっと外にいたんだ?[player name]に構ってもらうためにさ!

囃し立てるジェロムは、全てを見抜いたような顔をしている。どうやら、自分がカムイを構う場面を期待していたようだ

一瞬、ジェロムはきょとんとした。こんなにも真面目に返されるとは思っていなかったらしい

その言葉の端々に漂う僅かな疲れを感じ取ったのか、カムイは手をそっと伸ばして支えてくれた。その目には、心配と自責が入り混じっている

[player name]……

チェッ、つまんないの。忘れ物は見つけたし、俺は戻るよ

後はごゆっくり~

舌を軽く出し、茶化すように言い残すと、少年は去っていった

辺りには誰もいない。カムイの視線がこちらに向けられる。先ほどまでの距離感や戸惑いは一瞬で蒸発し、その眼差しには、鈍く生ぬるい自責だけが残っているようだった

俺の不手際だ……俺が手伝うべきだった

カムイは、彼自身を責めるように呟いた

……いや、なんでもない。部屋に戻ろう

――夜も更け、外では雷鳴が低く響いているが、園内は穏やかだった。エネルギー制御センターが静かにそびえ、明かりが呼吸のように明滅し、闇の中で柔らかな光を放っている

カムイの見張りは順調で、暇ですらあった。夜更かし気味のジェロムさえ現れず、そのまま夜の任務を終え、強い眠気と疲れを抱えて「未命名部屋」へ戻った

同室の相手の睡眠を邪魔しないよう、カムイは足音を忍ばせて部屋の前に立つ

扉の隙間から、まだ明かりが漏れていた

[player name]が消し忘れたのか?

扉を開けると、部屋の明かりはついたままだった。[player name]は上着を羽織って机に向かい、端末から展開されたホログラム画面に、何かをびっしりと入力していた――

カムイが帰ってきたことに気付き、端末を消して振り返る

[player name]、今は休む時間だろ?何を入力してたんだ?

穏やかな表情の中で、僅かに眉が動く。それさえなければ、彼の言葉に潜む微かな好奇心と不満に気付けなかっただろう

手伝おうか?

機密内容……

一瞬、言葉に詰まった。「機密」を理由に断られるとは思っていなかったのか、口角が僅かに下がる

[player name]、早く休んだ方がいい。昼間の作業だけでも相当な負担のはずだ。これ以上は体に障る。俺……みんな、あんたがいないと困るし

そう言って自分の隣へと歩み寄り、疲れの滲むこちらの顔を心配そうに見つめた。「みんな」という言葉に、本当の気持ちを隠しながら

やっぱりこのあとの見張りも俺がやるよ。あんたはもっと休んで

端末をしまい、見張りに向かおうとするこちらを見て、カムイはそう提案してきた

遠回しに、かつ穏やかに却下した

迷いなく却下した

じゃあ……

カムイはこちらを見つめる。その表情も声も、気遣いに満ちていた

[player name]、ちゃんと暖かくして。さっき、雷も聞こえたし……夜は気温も下がってる。悪天候があと何日続くかもわからない。体調を崩さないようにしてくれ

何かあったら、すぐ俺を呼ぶこと。わかった?

襟を整え、懐中電灯を手に取って扉へ向かう。カムイの横を通りすぎた時、彼は反射的に手を伸ばし、ずり落ちかけていた上着を引き上げてくれた

おやすみ、[player name]。気をつけて

扉が音もなく閉まり、部屋にはカムイひとりだけが残された。歩みを進め、まだ静かに燃え続ける焚き火の側へ向かう

ゴロゴロゴロ……雷鳴は鈍く響き、次第にその重みを増し、確実にこちらへと迫ってきていた