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ノアンが現れたことで、昇格者が人間を構造体に改造できることが判明した。現在、ノアンは昇格者と関わりがあることから空中庭園に監視されている。監視や研究、検査に協力することに不満はないようだが、「事情を知る人」の多くが距離を感じるほどに礼儀正しく接してくることに少し寂しさを覚えている。002
機体名の「逆旅」は、ノアンが自ら名付けた。アジール号から離れた後、とある少年構造体から教えられた詩から取ったものだ。「天地は逆旅なり、全ての悲哀は塵と化す。」天地はひとつの大きな宿である。そう、この体も。彼は命の終点へと向かう新たな旅を始めた。003
塗装を試着後、髪を虹色に染めるか真剣に悩んでいた。しかしバロメッツ小隊の全員に強く反対され、世界政府芸術協会の会長アレンにも「抽象的な表現だな」と辛口評価を受けた。その黒髪に映える白く染められた髪は、彼の意地の表れである。004
巧みに武器を使いこなし、どちらの手でも字を書くこともできるが重たい武器はあまり得意ではない。非力というわけではなく、俊敏な戦闘法に長けているためである。エナジーブレードの設計図は、17歳の誕生日にレイチェルからもらったもの。もう片方の手に持つ剣は、輸送隊に加入して以来ずっと使用している。エナジーブレードを得るまで、ノアンの武器は銃と剣だった。005
遠距離武器はあまり熟練していない。以前は銃を使っていたものの、射撃の精度もあまり高くない。外したかと思えば、たまたま重要な目標に命中した程度である。窓を3枚貫いた弾丸が向かいのビルの広告看板に当たり、その看板が落ちて強盗のリーダーに当たったこともある。006
たったひとりで昇格者からの干渉と幻覚から抜け出した。のちの監視によって、彼の意識海の安定度に特化機体の適応性があることが認められた。ノアンがもともと持っていた特質なのか、それとも昇格者の干渉による結果なのか……。科学理事会はいまだ結論を出せずにいる。