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初期構築と適応段階の予備用の機体。適用対象だったセレーナから宇宙ステーションへの連絡が途絶えたことで機体の開発も中断されたが、とある芸術家の後押しによって再開することができた。002
機体をデザインしたのは開発を推し進めた芸術家。胸元にある花の飾りが最も特徴的。その芸術家によると、機体のデザインの一部はセレーナ本人が手がけたものらしい。003
「彼女にも……見せたかった。」機体に入力されたデータは、そのほとんどが空中庭園の広域音波探査装置が得たものである。004
探査装置は地球上に移動する「声」を見つけた。そこからセレーナが作ったと思われる曲が聴こえたため、芸術家たちはそれを「クジラの歌」と呼んでいる。クジラの歌は地球上を自由に移動しているため、今どこにいるのかを特定するのは至難の業である。005
その名の通り、幻奏はただ静かに眠る躯体にすぎない。しかしその魂は常に地球にいる「歌うクジラ」とともにある。006
地球をさまようクジラの歌が振り向いたら、同じ歌を口ずさんでいる人がいたことに気がつくかもしれない。その時、彼女はもう孤独ではなくなるのだ。