戦場は、防御装置の攻撃とレーザー、ライフルの音が響き渡っていた
左舷30、発射!
九龍は甚大な犠牲を払って、ようやく防衛線を死守することができた。しかし、曲が部隊を指揮して防衛線を再建している時、城門の上から大きな音が聞こえた
見ると、何人かの蒲牢衆が城門から転がり落ち、そのうちのひとりは侵蝕体によってバラバラに引き裂かれていた
曲様、ここは私どもにお任せを。早くあちらを見に行ってください
……ええ
兵士に後を頼み、曲は素早く、落下した蒲牢衆の元へ向かった
曲が近づいてきたので、蒲牢衆の周りを囲んでいた人たちは曲のために道を開けた
外骨格の保護のお陰で、兵士は地面に落ちた衝撃で命を奪われることはなかった。曲は兵士の顔の血を拭った
上で何か起きたのですか?
襲撃です。彼女は突然私たちに襲いかかり、反撃する間もなく……
わかりました。冉遺(ゼンイ)に知らせてください。適切な治療をさせるように
曲は周りの兵士に命令を伝え、城門の上に向けて歩き出した。負傷した兵士は最後の力を振りしぼって、曲に向かって手を伸ばした
曲様、お気をつけて……
……ええ
曲様、いらしたんですね
曲が城門に上がった時、そこにいた兵士は皆、険しい表情をしていた。ライフルを持ち上げ、輪になって警戒していたが、誰も中央にいる侵蝕体に向けて発砲しなかった
曲は兵士たちの壁の向こうに、見慣れた顔を見つけた
——!
目の前にいるのは嘲風衆の責任者、墨鳶だ。しかし彼女はすでに侵蝕体と化していた。全身が人類の血と侵蝕体のオイルに染まり、口からははっきりしない言葉を呟いていた
しばらく沈黙したあとに、曲は周りの兵士に命令を下した
各自防衛線に戻り、侵蝕体の主力軍の防衛を優先。ここは私に任せて
その場にいる兵士たちは、これからここで何が起きるのかを理解していた。彼らは黙って武器を収め、秩序よく城門から離れていく