止まり……なさい…………!
戦闘不能となったルシアに、αは興味をなくしたようだ
——▄——▆▁——▃
これが最後のチャンスね
まさか、ここまで面倒なことになるなんて……
αは昇格者の力を指先へと集めた。そして、キカイイッカクの角へ――
う……ぐ……!
――?
――背後から聞こえる敗者のうめき声。諦めの悪いことだ、と思いながらαは振り返った
予想に反し、そこにいたのはロゼッタだった。パニシングに操られ……完全な侵蝕体に成り果てている
重傷のルシアにスピアを向け……凄まじい熱気を身体中から発して……
く……っ……!!
今のルシアでは、ロゼッタの一撃を避けられないだろう
……
キカイイッカクの目を見つめるαの表情は、心持ち残念そうだ。αは指先に集まっていた昇格者の力を分散させた
――!
スピアが凄まじい勢いでルシアへと振り下ろされる――
同時に、αが姿を消した
な、なに……!?
ロゼッタのスピアは、轟きを上げながら彼方へ弾け飛んだ……攻撃は空を切ったのだ
ルシアはαに抱き締められていた。スピアを避けた勢いで氷上を滑降し、そのまま冷たい深海へと落ちていく……
静寂の海……ルシアとαは互いに見つめ合った……
ぐっ!!
ルシアが抵抗を試みるも、すぐにαによって封じられる
αはルシアの耳元に口を近づけ、何かをささやいた――
——————
?
……
ルシアの目に映ったのは……αの妖しい笑み……
αはルシアを放すと、海面に向けて泳ぎ始めた
そして氷上へと戻り……
頭を振って、髪についた氷の粒を振り落とした
ウ……ガ……!
完全な侵蝕体と化したロゼッタは、ルシアの姿を探して氷上を彷徨っている
その背後では、抵抗をやめたキカイイッカクが海に沈もうとしているが……もはやロゼッタは何の関心も示さない
……
αは軽く溜め息を吐いた
このまま放っておくわけにもいかないわね……後始末をしましょう……
そう言うとαは、ついに全ての力を解放した――
ガ――ァ――!
血のにおいを嗅ぎつけた獅子のように、ロゼッタはその「力」へと引き寄せられる