Story Reader / 外伝シナリオ / EX00 凍てつく闇 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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オーロラ

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守林人のキャンプに着いた時には、すっかり夜になっていた

我々の基地は森の南、かなりの奥地にある

しかし、北の新ムルマンスク港に向かうのであれば、こちらの臨時キャンプの方が何かと便がいいだろう

今夜はここで休むといい。不便があったら申し訳ないが

……そうだ。少し待っていてくれ

ディアンナはテントの中へと入り、何かの準備を始めた

正直言って……今の状況に理解が追いつかないというのが、本当のところです……

……私もです

本当に……こんな経験、滅多にできませんよね……

そもそも、あの種の構造体……単なる噂だとばかり思ってたんですが……

噂……?

恐らく、彼女たちは亜人型の構造体だと思うんです。構造体技術の中でも、滅多に見られない部類の

構造体は人間の意識を持っていますが、非人型の身体を使用したら、思考モデルはどうなってしまうんでしょう……

うーん、簡単に言えば意識の安定性と引き換えに強大な戦闘力を手に入れる、ということになりますね

何せ不安定なので、改造後の人格の完全性が担保されないんです。実際、空中庭園では禁止されている方法です

グレイレイヴン諸君。火を起こしたぞ

これは……?

特産の松葉茶だ。それから……

守林人特製のフルーツケーキ

ありがとうございます……うわぁ、美味しそうです!

(先に指揮官に薬を飲んでもらっていて正解だった……)

ところで、リーダーの方はどちらに行かれたんですか?

ロゼッタは夜警に出た。ここのところ、森の侵蝕体が増え続けているから

……実際、異常な状況なのだ

緯度が上がるに従って、パニシングの濃度は低くなるはずです。ですから、ここのように高緯度の地域では、侵蝕体の数も比較的少ないのが普通です

あなたたちが守っているのは、この森だけですか?

先ほどは、私たちが港に向かうことも阻止しようとしていましたが……何か理由があるんでしょうか?

別に、ただの……伝統だ……

伝統?

……

――み、皆さんっ!!見てくださいっ!!!

その場を覆った気まずい雰囲気が、興奮したリーフの声によって霧散した

リーフ

綺麗……!

ルシア

ゆらゆらと……リボンのようですね……

リーフが指し示した方向には、得難くも壮麗な自然現象が発生していた。その場にいる全員が、黙って大空を見上げる

日頃は何かとうんちくを披露しがちなリーも、この時ばかりはただ静かに飲み物をすすっていた

ルシア

地球で……どれだけ残酷な戦いが起きようとも……

山や川や……そして空は……何ひとつ変わらない……

リーフ

地球って……美しいです……

リー

だからこそ、取り戻さなければ

リーフ

はい……

ディアンナは揺らめく炎越しに、静かにグレイレイヴンを観察している

グレイレイヴンを通じて、自分の知らない物事をたくさん見たような気になったのだ

……ほんの一時の平穏であろうとも、それはあまりに贅沢な時間だった……

???

……――……ぁ――……!!!

……何の音ですか?

それぞれが手中のカップを置く。ディアンナも警戒し、スピアを強く握り締めた

人間の信号……北の方角からだ……

続いて……侵蝕体信号!

???

た――……助け――……て……!!!

この声……!!

イヴァンッ!?!?

ディアンナは前足を上げると、すぐさま森の奥目がけて駆けていった

指揮官……

はい!

地平線は、徐々に白み始めていた

森の奥深く、断崖の上に立つロゼッタは、長い間ブルーグレーの海面を見つめ続けている

そう……ドレーク……

……

でも……私はもう、決断を下している……

この災厄は……決して避けられぬ、新ムルマンスク港の運命……

どうか……私の選択をわかって欲しい……

……

なぜ……ドレーク……ずっと私のことを理解してくれていたのに……

なぜ……そうまでして……

ロゼッタは、悔しそうに唇を噛み締めた

ナスティア

リーダー!

……

背後の気配に気づいたロゼッタは、いつも通りの冷静な顔に戻った

???

ロ、ロゼ姉ぇっ!!

イヴァン?

イヴァンと呼ばれた少年が、雪をかき分けながらフラフラとロゼッタの方へと走ってくる

昨夜……またしてもひとりで森を越え、我々を探しにきたようだ……

ナスティア

私たちがすぐに気づいたし、グレイレイヴンの助けもあって事なきを得たものの、危うく侵蝕体の餌食になるところでした!

イヴァンはあなたに、直接お話ししたいことがあるみたいです

ナスティア

リーダーに会いたかっただけじゃないの?

ちっ、違うよ!

ロゼ姉、僕……

……何?

ドレークのことなんだ……ドレーク、また港に戻ってくるよ……

それなら、命を危険に晒してまで知らせに来る必要はなかった

もう、知ってる

でも……今回はいつもと違うみたいなんだよ!港のみんなが……武器を準備してて……

……

ここのところ侵蝕体も急に増えたから、大人はみんなピリピリしてる

昨日、港の船員がドレークを見つけて……戻ってくるとわかった途端、みんなして怒り出して……

僕、もしものことがあったら、どうしようって…………

……わかった

ロゼッタは身を翻した

では、私の背中に

う、うん……

イヴァンは羞恥から少しためらったようだったが、すぐに覚悟を決めてロゼッタの背に跨った

グレイレイヴン……新ムルマンスクへの行程、私が先陣を切る

無理はせず、私の足跡に沿って進んで

守林人たちはここに留まり、決して港へ近づかないように