Story Reader / 外伝シナリオ / EX00 凍てつく闇 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

守林人

>

指揮官、指揮官っ!目を覚ましてくださいっ!

……真っ先に感じたのは……骨まで沁み入るほどの冷たさ

目を開くと、口から吐き出された白い息が灰色の空を遮っていた

ようやく、意識が戻った……よかったです……

周囲を確認する。辺りには一面の樹海が広がっていた……

ふぅ……よかった……

シベリアの北東部です

その通り……

リー、どうしてわかるんですか?

日付と太陽の高度、それからこの地域特有の……

電離放射線量。放射性廃棄物が埋められているんです

リーさんがそういう分析をするようになったのは、ワタナベさんのいい影響みたいですね

……関係ありませんよ

コホンッ……とにかく、空中庭園は宇宙ステーションの軌道に合流してしまったので、救援を派遣するにしても14時間はかかります……

現在、あなたたちは北極航路連合の領内にいますので、そちらの生存者に保護を求めてみるのもひとつの手でしょう

北極航路連合……免疫時代に極度の排他的政策を取るようになったと聞いていますが……

グレート·エスケープにも反対して……一部の人しか空中庭園へ行かなかったと……

仰る通り、北極航路連合は空中庭園との接触を拒否しています。しかし、敵対関係でないのも確かです

それならよかった……

北へ向かって移動し、針葉樹林を抜けて「新ムルマンスク」と呼ばれる拠点を目指してください

そこで救援部隊の到着を待っていていただけますか

了解しました

指揮官……動けますか?

指揮官の制服は高海抜寒冷地仕様なんですよね。まさか……こんな形で役に立つ日が来るなんて……

ですが、放射線は防げませんよ

急いで移動しましょう。まずは指揮官に抗放射線薬を

はい!私が持っています!

指揮官、あーんしてくださいね?はい、あ――ん……

……この辺り、僕たち以外の足跡がたくさんありますね

住民のものか、あるいは侵蝕体の……

なかなか思うように進めませんね

雪の中ですから、仕方ありません

こんな状況で侵蝕体に遭遇してしまったら……

……ガサ……ガサガサ……

――ギ!――――ギギギ!!

……なんともまあ……絶妙のタイミングでご登場だ……

油断しないでください!相手が少数でも、地形的には私たちが不利です!

――――――ギィ!

ちっ……!まだいるのか……!

ギギギ――ッ!!!!

――っ!?まずい、指揮官!!

どけッ!!!

勇ましい声が響き、同時に雪の森から何かが飛び出してきた

はぁッ!!!

目の前をスピアが掠める。侵蝕体が真っ二つになった

何者!

森から続々と人影が現れ、次々と戦闘に加わる

ナスティア、そちらだっ!!

ナスティア

はいっ!

――――――ギィ!

グレイレイヴンが状況を把握する間もなく、周囲の侵蝕体は尽く地に倒れた

……

謎の人影たちはグレイレイヴンを取り囲むように、ゆっくりと近づいてくる。やがて、その姿がはっきりと見えるようになった

……

皆、細身で上背がある。そのうちの何人かは身を屈めて、闖入者をまじまじと見つめている

どうやら全員が全員、完全武装した機械のようだ。頭には角のような形状のものを備えている

角――これは、構造体の特徴である逆元装置、なのだろうか

そして、何より特徴的なのは……

ケンタウ……ロス……?

機械は皆、上半身が人間で下半身は四足……まるで、半人半馬のケンタウロスのような外見をしているのだ

……

他人の驚く目つきには慣れているのか、リーダーであろうケンタウロスが毅然とした態度で一歩前に出る

我々は守林人。許可なく領内へ侵入する者を駆逐するのが役目

あの……実は私たち……

下がれっ!!

あっ!?

ケンタウロスはスピアを振り回して、リーフを制止した

リーフっ!

ルシアは慌ててリーフを後ろに庇う

この度のご助力、感謝します。私たちは地球奪回戦線執行部隊グレイレイヴン。想定外の事故により、この地に不時着しました。現在は北の新ムルマンスクを目指しています

言ったはず。許可なくして進むことは許されない。さもなくば――

ケンタウロスが再びスピアを振り上げた時――

怜悧な声

ディアンナッ!!!

まるで矢のように鋭い声が、森の奥から飛んできた

怜悧な声

やめなさい……

ロゼッタ?

背の高い影が、ゆっくりと雪を踏みしめながら姿を現す

真っ白な雪に映える、無機質な横顔。やすやすとは逆らえないような威厳に満ちている

あっ……あのスピア……!!

そう……あなたたちを助けたのは私

まさか……地表から大気圏すれすれの距離まで……槍を投げたっていうんですか……?

では、先ほどロゼッタがスピアを放ったのは……

ええ、ただの気まぐれ

しかし……我々の伝統に反する……

ディアンナ……伝統に従うのであれば、あなたは即刻この者たちを葬るべきだった

あなたは十分に動揺してる。この者たちと、死闘を繰り広げる覚悟があるの?

……

それに……あなたは守林人の姉妹でも、特に外部の者と接触したがっていたのでは?

ロ……ロゼッタ!!

ナスティア

ぷっ……

銀鈴のような笑い声が、グレイレイヴンの周りで広がった

一体……どういう状況なんだ……

グレイレイヴン、ですね……

ディアンナ、キャンプに案内して

本当に……?

わ、わかった……