――L-7を離脱、軌道に合流――
――低軌道侵蝕体還流帯を突破――
――システム、オールグリーン――
了解です、指揮官
17時間前、昇格者に関する新たな目撃情報を入手
目撃地点は、カンティセ山脈西部山麓「極浄僧院」という場所です
同時に、エリア内におけるパニシングの爆発的な拡散も確認されています。しかも、侵蝕レベルが極めて高い……
どうして昇格者はそんなところに……
まもなくカーマンラインを通過して大気圏です。詳細は一旦置いておいて、指揮官をお願いします。舌を噛んだりしたら大変です
は……はい……
――警報――危険性を伴う熱源接近中、量多数――
――警報――危険性を伴う熱源接近中、量多数――
何事でしょうか?
少々お待ちください、レーダーを確認してみます。誤報かもしれないですし……
どうですか?
……残念ながら、大量の遠隔兵器にロックオンされていますね。恐らくは星間巡航ミサイルかと
パニシング反応を検知しました!
パニシング……低軌道のミサイル攻撃……宇宙ステーションですか?
いいえ、宇宙ステーションは低空エリアを攻撃する術を持ち合わせてはいません
どうやら地雷原に突っ込んでしまったようです。僕たちの通過によって、被侵蝕戦艦の残骸が起動した……
本来は輸送機レベルのターゲットしか狙わないはずですが……
低軌道に長く留まりすぎたせいでしょう。安全のためにわざわざ長距離ルートを選択したのが仇になりました
————!!!
……ミサイルが迫っています!!
なんとか振り切れませんか?
間に合いませんね。大気圏突入時の初速はミサイルを遥かに下回る……
遅くとも30秒後には着弾……
僕が手動操作モードを強制起動させます
着弾まであと20秒……!!
よし……指揮官、操縦は任せました!!僕はプログラムの維持に専念しますので!!
ゴウウゥゥゥ――ン……!!
ミサイルが降下ポッドの近くで爆発した。爆風の影響で降下ポッドがクルクルと回り始める
し、指揮官……!大丈夫……ですか……!
落ち着いてください……!
光学定位、起動――
姿勢制御エンジン、最大出力――
スピン状態、安定――
あっ……あぅぅっ……遠心力が……大きすぎます……っ!
重りのついた牽引ロープふたつが発射され――
指揮官、今です!!
コントロールは……戻ったようですね
ええ、ずいぶんと優秀じゃないですか、僕たちの指揮官は
まだです……大量のミサイルが接近中です!!
旋回能力は僕たちの降下ポッドの方が上です。方向転換の速度差で距離を取っていきましょう
待ってください……まさか!?反対側からも!?
着弾まであと15秒っ!!
なんてことだ……!
待って……指揮官、地表からも何かが……超高速で接近中です!!
ゴオオオォォォ――ンッ!!!
――次の瞬間。ポッドの後方で、全てのミサイルが爆発した
い、今のは!?
一瞬だけ、槍のようなものが見えましたが……
どうなっているんでしょう……
気をつけてください!爆発の衝撃波が来ますよ!!
指揮官!
――ブラックアウトゾーンに突入、システムはサイレントモードに移行――
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