……七夕のプレゼントは何がいいか、ですか?
30分ほど前、ルシアに訊ねていた
じゃあ……手を繋いでいただけますか
彼女は長い間言わなかった、いや言えずにいた言葉をようやく口にした
そして今、手を繋いでのんびりと街を歩くふたりがいる
そうですね
ルシアは顔を上げると、満天の星空をその瞳に映した
今日は、織姫と彦星も手を繋いでいるのでしょうか
心が強いふたりですよね
愛する人と銀河に隔てられ、1年に1度しか会えないんです。待ち続ける寂しさと、会ったあとの別れの辛さ……
どんなに苦しくてもふたりは諦めず、たった1日しか会えなくても、その1日は何物にも代えられない……ふたりはずっと、その日を待っているんです……
こう考えると、ふたりは心が強いなと思いました
それは、永遠に?
彼女は笑いながら頷き、「私もそう思います」という眼差しを向けた
もしかしたら本当に完璧な永遠なんて、存在しないのかもしれませんね
でも私たちは……会いたいと思えば何度でも会うことができます
仰るように長く待つことになっても、困難が多くても……
私は指揮官の夢を固く信じています。パニシングを消滅させ、もう誰も同じ苦しみを味わうことはない。世界が元の姿に戻る、そう信じています……
指揮官、パニシングがなくなったら、一緒に旅行しませんか?
はい。指揮官と一緒に平和を取り戻した各地へ行き、秩序が戻ったあとの人々や建物を見たり、料理をしたり、家で夕焼けや朝焼けを見たりしたいんです……
指揮官は、まだあの出来事を……気にしておられるんですね
彼女は少し落胆したようで、うつむいてしまった
前回は、なかなかだと言ってくださったのに……
……わかりました
指揮官と手を繋いで、たくさんのことを経験して、たくさんの思い出を残したいんです
パニシングを消滅させられる日は、すぐには来ないかもしれません。それでも指揮官とは約束を交わしたい……
美しい未来への期待が、いつだって私を支えてくれるんです。絶対に諦めないようにと
お互いの温もりと力を感じる
どんな未来が訪れようとも、ふたりの手は繋がれたままだ