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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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CER-18 荒野の三人

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砂嵐が陽光を遮って、もう長い時間ずっと荒野を支配している。夜闇ですらそのベールを突き破ることができなかった

チッ……ダルすぎるぜ

外で見張り番をしていたノクティスは、暇を持て余してけだるそうに身体の砂を払いながら、洞窟の奥へと戻ってきた

何よ、何かあったの?

逆だ逆、なーんもねえんだよ。外で柱みてえに突っ立ってても、ダルすぎるからよぉ

サボテンを数えるのがオススメ

ターコ、すげえ砂嵐で、なんも見えねえっつーの

ノクティスは頭を掻き、「髭」が休んでいた場所を見た――

あれ?あいつは?

え?

洞窟内の「髭」が休んでいた場所にその姿はなく、「髭」がいつも乗っているバイクだけが残されていた

彼が常に肌身離さず持ち歩いていた映写機も見当たらない

メモがある、石が乗ってる

ええと……「夜中にフィルムが盗まれた。俺は追う」

それだけか?

それだけ

ヴィラは21号からメモを受け取った。黄ばんだ紙には確かに走り書きでそう書かれている

泥棒?

俺たちも何かパクられてないか確認しようぜ

武器や装備以外に持ち物なんてないわ、盗まれようがない

……こんな悪天候で泥棒?21号、誰かの気配を感じる?

21号は辺りを見渡して、首を振った

天気が悪いし砂埃も酷い。嗅覚装置が利かない

誰かの気配どころか……「髭」の行方もわからない

こんな時に出ていくなんてよ、自殺行為だろ

待つしかなさそうね。どこへ追っていったのかもわからないんじゃ

あれは彼の所有物よ……それに告げてあるわ、たとえ取り残されたとしてもケルベロスが立ち止まることはない、と

でも……

ヴィラは「髭」が休んでいた場所にメモを置き、石を乗せた

……映画の結末が、まだ

ただの映画じゃない……空中庭園に戻ったら芸術協会に映画のアーカイブを調べさせればいい

自分の命も守れないのに、他人の大事な物を引き継ぐなんて……

ヴィラは背を向けて黙り込んでしまった

でも、ノクティス、「髭」と映画を撮るんじゃ?

バーカ、俺がいつそんなこと言ったよ?

「映画なんか俺にだって撮れるぜ!次の撮影には俺様を呼べって。今のB級映画よりはいい作品を撮ってやるからよ」

21号はノクティスの口調を真似て、10数時間前のノクティスのセリフをリピートした

ンなこと言ったっけ?覚えてねえわ……

あの時ノクティス、「髭」のお酒を飲んでた

アルコールで、頭が更にバカになってた

うーん……確かに言ったような

ノクティスは考えながら顎をさすり、自分の言葉を思い出そうとした

でもよ……もし俺がそう言ったんなら、そりゃ約束ってことになるな

じゃ、放っておくことはできねえな。探しに行くか

ノクティスはひとり合点すると頷いて、すぐに洞窟を出ていこうとした

待ちなさい

そんな勝手な行動を許可してないわよ?

なんだよ、ただの人探しだろ?

任務の期限まではまだ時間がある。どうせ砂嵐で何もすることはねえし

隊長……迷ってる

無関係の人間の行動に、何を迷うことがあるの

そうかよ、じゃあマーレイにそう報告しとくぜ

眼の前で物がパクられたけど、何もしなかったってな

言ってる意味がわかってるの?見張りをしてたのは誰?

でもよぉ、中には隊長もサンシチもいたんだぜ?

…………

私はね、誰かの願望を安易に背負って、その重さに気付かない馬鹿なんて大嫌いなの

ちょうどいいじゃねえか、じゃあ1発シバいてやりゃいいだろ?

ヴィラはノクティスと21号をギロリと睨みつけ、溜め息をついた

あの馬鹿は……北東へ向かったはずよ

見たのかよ?

忍び足でコソコソと出ていくところをね

行こう

21号がヴィラの袖を引っ張った

隊長と探しに行く、ノクティスも行け

おい、なんで俺がひとりなんだよ?

あなた、言い出しっぺでしょ?

ヴィラは側に立ててあった槍旗を掲げた。旗印が空を覆う砂煙の中ではためいている