21号の鋭い爪は、猛烈ながらも精確な手術のメスのように、暴風と敵を切り裂いていく
こんな環境では、ノクティスのクラスター爆弾はその機能を十分に発揮できない。だが3人はそれぞれの体術の長所を活かし、周囲に潜む敵を突破していった
おい!おい!?サンシチ……ゲホッ……ぺっ……隊長?
どっちへ行けば……ぺっぺっ……
口を開く度に、砂が風とともにノクティスの発声装置へと入り込む
北東よ
21号、何か感じる?
砂嵐で、たぶん磁場みたいな干渉がある……「髭」が感知できない
ゲホッ……なんで……お前ら平然と……ぺっ……
話せてんだよ……
ヴィラはニヤリと笑って耳を指差した
小·隊·通·信
無線で直接通信すればいいのよ
ぐ……
おーい?もしもーし!これでいいか?聞こえてるか?
聞こえてる、ノクティスうるさい
敵に出会った「髭」が、生きてるかわからない
死んでいたとしても死体は残るはず。今のところ、それも見当たらないわね
どうしよう?
ヴィラはしばし考えて、口を開いた
二手に分かれましょう。北東方面は岩だらけで面積もかなり広いの
ノクティスは1時の方向、私と21号は2時の方向を
捜索範囲は前方3km、見つからなければここへ戻ること
たった3kmか?
こんな天気じゃ構造体でも動きづらいのよ
ましてや彼は人間。1時間に2km移動できれば奇跡のレベルね
それに任務の予定期限も近付いてる。ここでダラダラ時間を無駄にできないわ
わかった
ノクティスは頷いて、黄色い砂嵐の中へと足を踏み入れた
う……すぐ出発?
砂嵐がやめば、きっと「髭」の位置もわかる
すぐ出発よ
生きてても死体でも……とにかく、見つけないと話にならないわ