Story Reader / シークレット / 12 九龍環城 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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12-5 偽装者

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ワタナベさん、外周の侵蝕体の数は落ち着いてきましたが……

……今度は街の中から湧いてきたか

オブリビオンは、降車ポイント付近に設営した臨時拠点で敵を迎撃していた。40名前後の少数編成ではあるが、元軍人ばかりの組織としては十分な戦力だ

辺り一面に散乱しているのは侵蝕体の残骸だ。使えそうなパーツを回収させながら、ワタナベは遥か遠方に鎮座する九龍コーポレーションを見つめる

一体どんな執念が、あれを作らせたのか……

威容を放つ都市を、ワタナベは「執念」と呼んだ。堅固な守りに人は安らぐが、あまりに度がすぎればそれは人を封じ込める檻と化す

広大な都市の割には、居住者はそう多くない。店舗が営業しているのかもわからない

外面は立派に飾られているが、昔日の栄華を形だけなぞっているだけのように見える

ワタナベさん、俺たちもいつかはどこかに腰を落ち着けられるんですかね……

隣に立つ兵士の問いに、ワタナベは視線で応えた

今の世界では、定住など過ぎた望みだ。望むべくもないものだ。そんな妄想はおのれの刃を鈍らせるだけだ

ワタナベは手のナイフをくるりと回すと、瞬時に兵士の首へとあてがった

ワタナベさん!?

な……何を……

こちらに近づくな、散開しろ!

事情がわからない隊員たちは、それでもワタナベの命に従って散っていく。その場には、ワタナベと隣に立つ兵士だけが残された……

こんなに早くバレちゃうなんて……

目の前の男の勘の鋭さに驚きながらも、戦いたくないラミアは本来の姿を現した

昇格者のおでましか。我々に潜入して何を企んでいる?

手ぶらってわけにもいかないし、ちょっとしたお土産が欲しかったんだけど……何もないみたいね……

というわけで、オジサン。謝りますから、解放してくれません?

……

……

……貸しということにしておいてやろう

本当?やった、バンザーイ!じゃあお礼に、引き連れてきた侵蝕体をあげますね。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ

要するに厄介事を起こしにきただけってことか……

ワタナベさん!先ほどの昇格者、逃がしちゃっていいんですか?

今はどの道勝てないだろう。目と鼻の先まで近づかれて、やっと気づいたレベルだぞ。もしあれに殺意があったなら……

……すみません、ワタナベさんのお荷物になってしまって

とにかく油断するな。敵はいつ何時、どこで現れるかわからない