短い逡巡ののち、ネイティアが差し出した手を握り締めた
これまではネイティアの理想を受け入れることなどできなかった。だが、彼女の歩んだ道、彼女自身がたどってきた痛みの全てを目にした時、心の奥に変化が生じた
彼女の言葉は正しいのかもしれない。三大法則を覆し、大地そのものを作り替えなければ、未来永劫に続く苦しみは終わらないのかもしれなかった
その返答を聞いたネイティアの顔に、安堵の笑みが浮かんだ
もちろん……全ては望み通りに
私の「血の契約者」
黒い翼の内側から、数百の白骨の棘が一斉に突き出した。それらは歪んだ「牢」を形作り、聖堂残庭に留まっていた自分と天使たちを包み込んだ
ネイティアは両手を広げ、骨の檻を操りながら、彼らの体を優しく抱き上げるように持ち上げた
宙に浮かぶ彼らの瞳は開かれたままだったが、その奥から魂の光は消えていた。皆、ただ「新世界の王」の手に操られる傀儡と化していた
さあ、グレイレイヴン。彼らと血の契約を結び、「仲間」として迎え入れて
白く細い指先がこちらの胸に触れる。その下では確かに心臓が脈打っているはずなのに、もはやその鼓動は少しも感じられなかった
新しい世界の幕開けは、あなたの手で始めるべき……
この冠を戴く資格があるのは、あなたしかいない
耳元で響く彼女の甘い囁きが、深淵へと誘ってくる
胸の奥に、微かな違和感が広がった。言葉にもならない微かな拒絶の感覚
……私は信じている。英霊たちの魂が、彼らが深く愛したこの地から離れることはないと
彼らは風となり、岩となり、愛した全てとなって……いつまでも人類の子孫を見守り、ともに歴史の波に乗り続ける
私はあなたと他3人の「騎士」と一緒に聖堂を討つ契約を結んだ。もし失敗したら、私はあなたたちの体を飲み込み、次の30年後を待つ……次の30年は必ず来るんだから
……ほら、こんな風に――永遠の命って、終わりなき拷問なのよ
見ようとしないなら、僕が代わりに教えてあげる。人間という種族は、永遠に恐怖に屈し続けるような存在じゃない
絶望の淵にあっても誰かが必ず善を信じ、未来を望む
でも……その言葉はつまり、あなたがこれから私の人生を背負う覚悟を決めたってことですよね?
だから、これからは今の何百倍……いえ、何千倍、何万倍も素晴らしい経験を私に与えてもらわないと……
それができないなら、私の腹の中の糧になってくださいね?血の契約者様
霞む意識の中で、
なぜ、
どうしたの、血の契約者。何か心配なことでも?
顔を上げると、傍らで彼女が微笑んでいた
心配しないで。引き金を引けば……世界はすぐに生まれ変わる
いつの間にか、自分の手に見覚えのある銃が握られていた。ネイティアがそっとこちらの指先を導き、撃鉄に触れさせる
小さな「銃声」の後……全てがよくなるわ
代償を気にしているの?大丈夫、問題ないわ
それは、悲願を叶えるために必要な犠牲だから
悟りにも似た確信が胸に広がった瞬間、心の迷いは消えた
――!
