「ニューオークレイ」ができたばかりの頃、この倉庫では武器を保管していた――あの頃の住民は侵蝕体だけでなく、他の脅威にも備える必要があった
だがオブリビオンの保護を受けるようになって、「ニューオークレイ」はだんだん武器を捨てていった
しかし今回……町を襲ったのは他の脅威ではなく、オブリビオン自身だった
炎は麦畑を燃やし、この廃棄された倉庫も炎に包んだ。夜明け前の夜空を赤く焦がしている
だが光があろうがなかろうが、倉庫の中央に立つ漆黒の姿の人物には関係ない――彼は静かに炎の音だけを聞いていた
ノクティス……来たのか
ノクティスは扉を押し開け、自分の兄弟であり親友……仇であり、そして宿敵である人物の前に立った
ナイゼル……
ナイゼルは笑みを浮かべ……ノクティスに向き直った
お前のその足音……今もまだ耳障りだ
うるせー……
もし指揮官を助けたいなら……俺を殺すしかないぞ
ナイゼルが指揮官の名を口にした途端、ノクティスの何かがプチンと切れた。負荷がかかるほど強く握りしめた拳からは、バチバチと火花が散っている
そうかよ、じゃあお望み通り、もう一度貴様を地獄の底へ突き落としてやらぁ!!!!
言うやいなやノクティスは拳を振り上げ、凄まじい速度でナイゼルに突進した
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炎が迫りくる中、吹っ飛ばされたノクティスはゆっくりと立ち上がった
粛清部隊で無数の任務をこなした経験上、怪我と「毒」の影響から、ノクティスはもはや立つことはできないだろうとナイゼルは考えていた
はっ――――
ノクティスは呼吸を整えた。体の傷は深いが、意識海に影響を与えていた毒は大幅に抑えられている
ノクティスの目の色が見違える。ナイゼルも明らかにノクティスの中で何かが変わったことを直感した
ここで死ねるかよ……相棒が……俺を待ってるんだ
ノクティスはゆっくりとナイゼルに向かって歩き出した
……
ノクティスの足音から乱雑さや騒々しさが消えた。静かで、落ち着いて……更に力強さを増している
ナイゼルの視覚はとっくの昔に失われているが、今、ノクティスの意志が炎となって燃え上がり、静かに怒号を放つのをひしひしと感じていた
珍しくナイゼルは微笑んだ。全てを知り尽くしていると思っていた親友に、こんな未知の一面があったとは
ノクティス……
自分が本気で戦おうと思うことは何年ぶりだろう。力を温存する、それは彼のポリシーであり……粛清部隊で生き延びる方法だった
相手を麻痺させ、油断させ、特殊な手段で殺す――かつて、ノクティスに対してもやったこと
しかし今のノクティスを倒すには、全力を出す必要があるだろう。さもなくば……
……死ぬのは自分だ
ノクティスはナイゼルの前で足を止めた。両拳を構え、その目には燃え盛る炎が映っている
俺はもう迷わねえぞ。オラ、準備できたかよ……
ノクティスは大きく息を吐き、いつも通りの笑顔を浮かべた
俺と相棒は全力で……お前をブン殴ってやる!