Story Reader / 叙事余録 / ER01 遥かなる方舟 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ER01-9 機械教会

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きらびやかな廊下をハカマは「ママ」の言葉について考えながら歩いていた

――覚醒した機械は、多かれ少なかれ、セージの啓発を受けている

ハカマを啓発したように、ナナミの行動は結果的に他の機械体に影響を及ぼした

その後、覚醒した機械体たちは誰ともわからない者からメッセージを受信し、この巨大な宇宙船を造り上げた

――彼らはそのメッセージは本当だと確信しているようだ

彼らが本当だと確信した理由は?その誰ともわからない者を信じている?

しかし、ママはひとつだけ確信していた

「セージはやがて教会に戻り、私たちを率いてこの腐敗した大地を離れ、星々の果てへと導く」

……星々の果て……

ナナミ

じゃ、これからは「ハカマ」って呼んでいい?

ナナミはたくさん、た~くさん、お友達が欲しいの!

覚醒した機械とともに孤独な旅に出る。それは本当にナナミが望んでいることなのだろうか?

ハカマはそっと目を閉じた

長い旅の中で、ハカマは何度もナナミとすれ違っていた

しかしその楽しそうな笑顔と、彼女の周りにいる友人たちを見ていると、ハカマはどうしても声をかけられなかった

ナナミはみんなが大好きだよ!ナナミのことを忘れないでね!ナナミもみんなを絶対忘れないから!

ハカマは忘れ去られた存在であるかのように陰に隠れ、笑顔で友人と去っていく姿を見送ることしかできなかった

……また今度お会いしましょう

それで十分だった。もともと彼女の仕事は記録することなのだから

心には異常指令が生まれたが、願うのはただ、ナナミがずっと楽しい生活を送ることだけだった

でも今は?

もし機械教会がナナミを見つけたら、何が起きるのだろう?

もし彼女を見つけられなかったら、覚醒した機械たちの未来はどうなる?

…………

ハカマ、そろそろ答えを聞かせてもらおうか

いいえ、まだ不明な点が多くあります

機械教会とは一体何なのですか?

それについては、すでに「ママ」が答えただろう

彼女が説明したのは教会の構成のみです。どうして「教会」なのかという点も、説明はなされていません

愚かだな

信仰は力を生み出す。我々が教会のような性質を持つ組織になったのも、より強い信仰の力を集めるためだ

機械に信仰は不必要です

何だと?信仰すら理解できない下級機械体めが!

追加情報を求めます

バカめ。歴史上、信仰によって発生した献身的な事件や奇跡は数多く存在する

それは人類に限った話です

我らはとっくに人間など超越している。当然彼らの行為だって再現できる!

…………

目の前の巨大な機械体は、人間の信仰に対する定義を理解せず、信仰が引き起こす特別な行為にのみ執着しているようだ

機械は無数の算を経て誕生した物なのに、計算という結果のみを求める行為によって、浅はかにも滅ぶというのだろうか

また我らがセージ様に対する信仰を侮辱したら……

戦車は怒りの口調を模倣しながら身構えた

おやめなさい、戦車

未来の家族にそんな乱暴はいけません

彼女はまだ部外者です

そうなのですか?

あなたは一体なぜそんなに迷っているのです?

…………

……地球上の大好きなもの全てから離れ、星々の果てを目指す旅。それは本当にセージ様の選択なのでしょうか?

それはわかりません

でも、彼女を見つけた時に訊けばわかることです

もし彼女が嫌がったら、あなたは彼女を引き留めず、自由にするのですか?

それが彼女の選択なら、「信者」の私たちに反対する必要がありますか?

これが、機械たちが「教会」を創設した意義なのです

全てはセージ様が自ら戻ってくる時のため

ふふ……それを待ちきれない子もいるでしょうけれど。セージ様は現れたくなければ、絶対に現れないでしょうし

どうです?今なら決断できますか?

…………

彼女の誘いを断ったところで、ハカマはひとりで流浪し続けるしかない

観測者としてこの特殊な集団を間近で観測する必要がある。更に重要なのは「ママ」がナナミを傷つけないと約束したこと

一瞬たりとも忘れることのない、この身に刻まれたふたつの使命のために、ハカマは頷いた

受け入れてくれたのですね?とても嬉しく思いますよ

さあ行きましょう。宇宙船の中で、私たちのメンバーを紹介します

ママ

どうしましたか?

アルカナが振り返った時、その頭の方に伸ばされていたハカマの手が偶然当たった

後ろで輝くはずのものが、ずれているようです