Story Reader / 祝日シナリオ / 純白の想い / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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温かな舌上

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日が暮れるにしたがい、市場の人々は露店を片づけ始めた。しかし人出は途絶えることなく、めいめいが用意したプレゼントを意中の人に渡している

そのプレゼントは、ずっと想っていた気持ちを形にしたもの……

これからもずっと一緒にすごす友達との友情を表すもの……

またはシンプルに、いつも助けてくれることへの感謝……

指揮官、「ホワイトデー」とはカップルではなくても、プレゼントを贈っていいものなんですか?

目の前の光景が、自分が説明した風習と違っていたせいだろう、ルシアがそう質問してきた

彼らはただ、誰かに感謝を伝えるためにイベントを口実にしているだけなのだ。たとえ感謝すること自体は、いつでもできることだったとしても……

それを聞いたルシアは、再び幸せそうな人々を眺めた

私は指揮官や皆にプレゼントを用意していませんでした。ちょっと残念です

彼女は悔しそうにため息を漏らした

でもプレゼントは自分で……

……

わかりました。では指揮官、急ぎましょう

「パーン!」

話が終わらない内に、背後から雷のような音が鳴り響いた。条件反射でルシアを伏せさせて、ルシアも刀に手をかけている

しかし、辺りには甘い香りが漂っており、周囲の人々がクスクスと笑い始めた

どうやら爆発音は事件や事故ではなく、そして花火でもない……

振り返ると、黒い筒が置いてあった。筒には気圧計やレバー等がついている。中に金色のポップコーンがぎっしり入っており、周囲に美味しそうな香りを漂わせている

その装置は前にも見たことがあったが、まさかポップコーンを作る機械だとは思わなかった

ポップコーンメーカーを操作していた人は、露店の主人にいくつかの圧縮ビスケットを渡し、ポップコーンを手に去っていった

どうやら自分で作れる店のようだ

あれです

ルシアはじっとその機械を見つめ、試したくてうずうずしているような表情を浮かべた

指揮官と皆に渡すプレゼントは、あれに決めました

構造体は食事をする必要がないので、通常、食べ物と飲料水を携帯しない。幸い自分は出発前に、緊急用の食糧を準備してきていた

今度こそ、指揮官を失望させたりはしませんから