Story Reader / 祝日シナリオ / 新年の寿ぎ / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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拝火灯籠

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元の姿で生き残っていた食材はあっという間に切り刻まれた。しかし文字通り「焦土」と化したキッチンは元の姿に戻らなかった

まだ少しは役に立つんだな。オレに捧げ物をするには十分だ

ふん、かまどの神のオレ様だ!

キッチンがこうなったのはあなたの仕業ですか?

ルシアは頭を下げて、手に包丁を握りしめている。ここから見ると、包丁の鉄の部分が強く握られて窪んでいるのがわかった

そう……オレがしたんだ、お前らがなかなか捧げ物をしないからな

今日はかまどを祀る日だろ、知らないのか?

十分な捧げ物をもらってないのに、どうやって天に帰って、お前らを評価しろってんだよ

かまどの神様もちょっとやりすぎたと思ったのか、声はあいかわらず大きいものの、最初のような威張った感じは消えている

呆れてしまい抗議することにした。ここでもまた、自分はキッチンの修理費用を支払う立場なのだろうか?

ただ力をうまくコントロールできなかっただけだって。捧げ物が足りないと、できないことがたくさんあるんだよ

腹が減ると冷静に考えられなくなっちまうんだ

逆に、捧げ物が多ければ多いほど、何でも簡単にできるってことだ

今はもう十分な捧げ物をもらったからな、今からならなんでもできるぜ!

では、キッチンを元通りにしてもらえますか?

お安い御用だ。オレのことを舐めているのか?

全ての……

ゴホンゴホン、これじゃないな

全てを爆破せよ!

「バアアアァンッ」

爆発の激しい光と舞い上がる塵によって視界が遮られた

ようやく視野が回復すると、目の前のキッチンは見事に元の姿に戻っていた。更に――

へっ、こんなのオレにとっては朝飯前だ。オマケは特別プレゼントだと思ってくれりゃいい

――無残にバラバラになっていた食材が料理に変身し、美味しそうな湯気を立てていた

「グシャ」

ルシアの手にある包丁が握り潰される音がした

どうやら、料理を作る機会を奪われたことが、キッチン破壊の事実よりも辛かったとみえる

じゃオレはずらかるぞ。まだ何か他に話があるか?

オ……オレは礼が言われたくてやった訳じゃねぇぞ、ふん!

かまどの神様は光となって、再びかまどの中に入っていった

ルシアから溜息が漏れる。その表情は、明らかに落胆していた