Story Reader / 祝日シナリオ / 一陽来復 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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砂漠の子供たち

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ワタナベさん、ここでのテスト任務は完了です……

ただ、空中庭園のテスト任務を盾に、周辺の侵蝕体を駆逐するのはどうなんでしょうね?

それは気にしなくていい。空中庭園はあくまでも有用なデータを収集したいんだ。それには実戦こそが最適だろう

その時、倒れていた侵蝕体が突然動き出し、凄まじい速度でワタナベに向かって這い寄ってきた

しかし、次の瞬間その頭部は粉々に踏み潰された――補機が即座に反応し対応したのだ。そして、素早くワタナベの傍に戻ってきた

あ、ああ、よくやった……

ワタナベはとまどいながらも補機の頭をなでると、どこかぎこちない微笑みを浮かべた

……気のせいだろうか、ワタナベさんの態度は自分たちよりあの鉄の塊に対する方が優しいような……

おい……言うなって。泣きそうになるだろ

その時、補機が突如として頭を上げた。そして辺りを見回し、目標を見つけたかのようにある方向に向かって走り出す

あーらら、壊れたんじゃないか?逃げ出しちゃったぞ……

しかし、ワタナベが不審に思っている様子はない

総員、すぐに後を追え!

え、いきなり何です!?

車で追うぞ!補機は、侵蝕体がパトロール区域外に現れたことを感知し、そこに全速力で向かっている。目標は――

――目標先を聞くや否や、全員が車に飛び乗って追跡を開始した。補機の後を追うその方向は、彼らの帰る場所だったからだ

ワタナベらが基地を出発した後、子供たちの興味は空中庭園からきた見知らぬ人物に集中した

ふたりの男の子よりも先に、隠れていた少女が恐る恐る近寄ってくる

[player name]さん?初めまして。私たちは「オブリビオン訓練兵K-107」のチーム1のメンバーです

そう。私たちは見習いなの……大きくなったら、正式にK-107のメンバーになるんです!

とにかく、ワタナベさん……じゃない、リーダーがいない間は、私たちがあなたと行動をともにします

ご心配なく。あなたの安全は保証しますから

そんなによそよそしくしなくていいよ!

言うじゃん!じゃあ、作戦の練りっこしようぜ!

じゃあ、さっきの作戦の続きを考えましょ。あっ、でも[player name]がいるから……

一緒にさせてあげようか?もう終わりかけなんだけど……

任務を遂行しながら作戦立案だよ。一石二鳥じゃん!

一石二鳥……?使い方、合ってる?

うーん……ちょっと違うと思うけど……でも同時にやるしかないし!

3人は再び真剣な表情になり、何かを隠すように、後ろを向いてひそひそと話し合っていた

結論が出たらしく、3人はこちらに振り向いた。小さな顔には興奮が隠しきれず、うずうずしているようだ

ねぇ――これ見て!

少年はいかにも誇らしげに、手に持っているランタンを見せてきた

少々粗い作りだが、子供の手にあるそれは特別な魅力を放っていた

僕たちがこれを作ったんだ

そう……ワタナベさんたちのために作ったの!

ふふ。私のアイデアだよ~

もちろん飾るためだよ!

想像してみて――ワタナベさんたち今、出かけてるでしょ

これを基地の入り口に飾っておいて、みんなが戻ってきたら――

あっ、あっ、それ言っちゃダメ!私たちはほんとは基地の外に行けないんだから!

そうビビらなくていいじゃん、ワタナベさんたちは今いないんだぜ

……もう、なんで言うのよ!監視対象に、教えちゃうなんて!

ほんとにあんたたちは!

大丈夫だって!ランタンを飾るだけだし!ひとり増えたからって、どうってことないよ!

一緒に行けば時間を有効に使えるし、[player name]をずっと見張ってたことにもなるし

共犯者なんて大げさな!

あなたのせいで、ワタナベさんはこんな日まで仕事をしなくちゃいけないんでしょ――

それに、僕たちの臨時任務だって、そっちのせいじゃん

だから、これは一緒にやらなきゃいけないんだよ!僕たちに協力してくれなくちゃ

ふたりの少年は、断固とした強い口調で話してくる。どうやら拒否する余地はなさそうだ

彼らの後ろにいる少女は、隠していたものを取り出して、丁寧に整理していた

……やっぱり今、別行動するのは無理ね。物資商人さんを連れて行くしかないわ

でも……具体的に何をしてもらおうかな……飾りつけ……ランタン……

基地の入り口の荷物整理かな。それから、これらも上手に使おう

少女はそう言うと、整理していた装飾品を三等分して皆に渡してきた

アニー

物資商人さん、あなたの住んでるところでは、新年の飾りつけをする習慣はある?

やっぱりね!

ないところもあるんだ……

こんな素敵な習慣がないなんて、残念だね

女の子は下を向いて、しばらく考えてから、口を開いた

うん……せっかくだからもうひとつ作ろう!そして、飾り終わったら、物資商人さんにあげる!