Story Reader / Affection / 蒲牢·華鐘·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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蒲牢·華鐘·その5

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うん、でも他の点心のためスペースを空けておかなきゃ……

物凄い食欲だね、これからどこかに行くの?

指……[player name]はまだ東区に行ったことがありませんから、東区にお連れします。あそこではバイオニック演劇と曲芸が観られますから

東区ね、ちょっと気をつけたほうがいいよ

気をつける?

蒲牢は真剣な面持ちで聞き返した

何か悪質な事件でも起きたのですか?それとも犯罪集団が事件を起こしているとか?事件が起きたエリアと時間は?いつから始まったのです?

それとも大規模な窃盗事件とか?放置された倉庫の物品が盗まれたり?

倉庫?何だいそれ?ていうか、そんなに重大なことじゃないよ

でも半分は合ってるかな、窃盗事件だったから

誰が盗んだかわかる?答えはね、幽霊なんだよ

彼は低い声で、真実を語っているように話した。しかし残念ながら、蒲牢はそんなことでは驚かない

東区の申家班の坤さんが、ある日夜中に起きた時、偶然、屋根で人影が横切るのを見たんだ

そして次の日、彼の腕を鍛えるための鉄の器具がなくなっていた

2番街の狗娃がビー玉で遊んでいる時、頭の上に何かが飛んでいくのを感じて、見上げるとそこには何もなかった

そして彼が再び頭を下げた時、何が起きたと思う?

彼の足下にあったビー玉が一瞬で全部消えていたんだ

その後、変な影が見かけられる度に次から次へと物がなくなるんだ。ビー玉とか、飴玉とか、ネジとか色々なものが

なぜ蒲牢衆に報告しないのですか?

なくなるのはいつもたいした物じゃないからさ。だから皆も気にしなかった。お嬢さんがオモチャを大切にしているから、教えてあげてるだけだよ

次第に、皆が互いに似たような経験をしていることに気づき始めた。そして噂が広がった。夜市には怪しい影がいて、それにでくわすと物をなくすって

客は興奮しながら、都市伝説を語るように話していた。それは、世にはびこるデマそのものだった

わかりました。ありがとうございます

[player name]、いきましょう

お嬢さん、君は、実は……

客の声が後ろから聞こえてきた。蒲牢が困惑気味に振り向く

……いや、何でもない。くれぐれも気をつけて

飲茶店を後にすると、蒲牢はパンダのぬいぐるみを抱えて、考え込んだ

指揮官、どう思いますか?

蒲牢もそう思います

そうですよね。この世に怪しい影や幽霊なんか存在しませんよね

一番不自然な点は――盗まれた物です。もし盗人が値打ちのある物が目当てなら、盗んだものには大した価値がないのに……

もしかして名声のため?

うん、そうですね。名声のためならもっと難しい金庫とかに挑戦するでしょうね。恐怖を掻き立てるため?でも現実はただ噂のネタになっただけですし

ダメですよ、指揮官。あのおじさんが一歩踏み出そうとしているのと同じように、蒲牢だって一歩踏み出さないと

蒲牢はこれまで、報告を受けてから行動していました。だから多くのことを見落としました。もう同じ間違いはしません。今度こそ、自分から行動するんです

どんなに小さなことでも見落とさず、九龍のリスクを排除することが蒲牢の仕事です。いつか恥じることなく、正々堂々と皆さんの前に立つために

そして蒲牢は他の情報も握っているんです。この件をそう簡単には片づけられません

あ……口を滑らせちゃいましたね……

蒲牢は少し悔しそうな表情を浮かべたが、すぐに元の顔に戻った

秘密ではありませんし、指揮官に教えてもいいかな……

実は昨晩、ある窃盗犯を捕まえたんです。彼の供述によると、東区の倉庫から盗んだということでした

その可能性を排除はできません、そうでしょう?

そうなるとこれ以上、指揮官と一緒に遊んであげられないですね……エンジニアリング部隊まで送っていきます

でも指揮官は九龍の人ではありません。ご迷惑をかける訳には……

指揮官がそう言ってくれるなら、これ以上、遠慮し続けるのもよくありませんね

じゃあ、出発しましょう!目標は東区の幽霊事件を解決すること!

蒲牢が小さな拳を突き上げると、身につけているオモチャがガラガラと音を立てた。これでは調査というより、ピックニックに向かうみたいだ

後ろからの目線を感じたのか、蒲牢が振り向いて、不満げな表情を見せた

指揮官、その目つきはちょっと失礼じゃないです?蒲牢の調査能力を疑っているのですか?

すぐさま首を振って否定し、蒲牢の身につけている小物たちを指さす。少女はすぐにその意味を理解したようだ

……オッホン、失礼、これは気づきませんでした。少し興奮しすぎちゃいましたね

蒲牢が小物を預け、東区に連れていかれた。非公式な身分では聞き込みに支障が出ないか心配したが、ここの人々はそれを事件ではなく、ただ話のネタとしてとらえていた

蒲牢は正々堂々と牢蒲「ロウホ」という身分で、事件に興味を示した。人々は見聞きしたことを全部話してくれたが、中には誇張もいくつか含まれていた

だが……

まったく……手がかりがありませんね……

手がかりどころか、調査したところ被害者が3人も増えていた

まずはフルーツ飴露天商の呉さん。怪しい影が現れたあと、水あめを作るための角砂糖がなくなったらしい

今朝、出店した時、何か変だと感じていたんだ

角を見ると、黒い影がそこにあったけど、何なのかわからなかった

振り向いた瞬間に、箱の中に入れてあった角砂糖がいくつか減ってたんだ

まったく気味が悪い

でもたいしたことじゃない。運が悪かっただけだ。高いものでもないし

太鼓を叩く朱さんも、変な影を見たら、バチの帯がなくなったらしい

昼の演奏のあとのことだ、バチを腰につけて、ご飯を食べに行ったんだ

上から睨まれているような感じがして、上を見ると何かが屋根の裏に回ったのが見えた。その後、バチを触ると帯が消えてた。新しい帯を買うのに、午後は遅刻しそうになったよ

そうだ、赤色だった。幽霊は赤色だったよ、あれはきっと赤鬼なんだ!

それに加えて、手芸屋の展さんも、縫い針をなくしたのだとか

あれは本当に不思議でした。今日、生地を取りに行った時なんですが

中に入るとヘンな影が中をうろついているのが見えました。その頭は臼みたいな大きさでした

勇気を振り絞って近寄ってみましたが、誰もいませんでした。でも、いつのまにか側に置いてあった縫い針が消えていたんです

本当に気味が悪いですよ。針が見つかったとしても、もうそんな針はいりません!

盗難に遭った倉庫の持ち主は、変な影は見なかったと言っていました。そして他の倉庫の持ち主にも訊いてみましたが、盗まれた物はないそうです

どうやら倉庫の窃盗は昨晩のあの人が犯人で、幽霊とは関係なさそうですね

せっかく皆さんが親切に教えてくれたのに……

でもまったく収穫がない訳でもないですよね。そうでしょう、指揮官

蒲牢の左手にはフルーツ飴、右手にはでんでん太鼓、腰にはパンダのクロスステッチがかかっている。それを見て、頷いた

もらった物のことじゃないですよ!!事件のことです、事件の!

色んな人に訊きこみをして、グループ犯罪ではないかと思ったんですが

そうです。被害者たちはまず影に気を取られて、その後に物がなくなっていることに気づきますよね

そんな短時間で、物を盗んで遠くに逃げることはできません

えっと……蒲牢もわかりません。盗まれたのはたいした物じゃないから、蒲牢衆に報告はこない。蒲牢衆が来なければ、誰も事態を重く考えない……あっ、わかりました!

指揮官、オオカミ少年の話を聞いたことがありますか?

彼らは東区の人の警戒心を弱めるために、まずささいな物に手を出したんです。そうすれば蒲牢衆が来ることもありませんから

東区の人々に「金目の物を取らない」という印象も与えて、人々が慣れてしまった頃に、真の目標を狙うんです。この前、蒲牢が捕まえた盗人も、実は目くらましかも……

どうでしょうか?そう思いません?

うーん、割に合わないような気がする

そう思った時、顔に当たっていた光が少し影になった。顔を上げると、ひとつの人影が遠い屋根の上に立っていた

展さんの言う通り、その頭は臼のように大きく、そして赤色だった。その姿をはっきり捉える前に、影は瞬時に左の物陰の中に入っていった

指揮官、何か思いついたことでも?

本当ですか!?すぐに追いかけましょう!……ちょっと待ってください!

訊きこみによると、黒い影を見たあとに物が盗まれます。早く盗まれた物がないか確認しましょう

蒲牢が色んなお菓子を出して数え始めたので、自分も持ち物をチェックすることにした

銃、財布、端末、血清、アドレナリン等は全て元の位置にちゃんとあった

22、23……ふぅ、全部ありますね、指揮官、何かなくなっていましたか?