Story Reader / Affection / ドールベア·解源·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ドールベア·解源·その2

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空港

ピンクの髪の構造体はかなり前に到着していたようだ。こちらが近付くと、軽やかに手を振ってきた

ここ――!

目的地は――コンステリア

その点は心配ご無用。ちゃんと工兵部隊副隊長の名で地上任務を申請してあるから……セリカさん、すぐ許可してくれたわ

でも私が求めてる「誠意」って、別にコンステリアを一緒に歩くことじゃない。それはせいぜい……前菜ってとこね

コンステリアで実施される、新しい輸送機の乗員耐圧テストに付き合ってほしいの

んー……

値引きをふっかけたら相手があっさり値下げしてくれたみたい、なんだか肩透かしね

彼女は訝しそうにこちらをじろじろと見た

じゃあ……

え、そんなことも覚えているの……

さすが、記憶力抜群な指揮官というべきかしら……

じゃあ決まりね

あなたの隊員、おっかなすぎるのよ。ホワイトリスト内にまで防御反撃なんて……

私の1日の作業量を指揮官の1日で弁償してもらう。これが妥当だと思うわ

はい、これが私たちの今日のスケジュール

彼女は端末を立ち上げバーチャルモニターを開いてみせた。上から下までリストがずらっと並んでいる

まずはコンステリアをぶらつきましょうか。あそこの機械体たちは黄金時代のレア物を持ってるから。中には偏屈なコレクターもいるの

ここ、ここ、それとここ……全部回ったら、新しい輸送機の乗員耐圧テストに行かなきゃ

私が練りに練った計画だから、大丈夫

意外と素直ね

……輸送機が来たわ、出発しましょう

さあ、まずはコンステリアへ

コンステリア

機械の街はとても複雑な造りだ。何度来ても、曲がりくねった通りや小道に迷い込みそうになる

だがドールベアはまるで全てを熟知しているといわんばかりに、迷うことなく地図には載っていない隠し通路に入っていく

蛇の道は蛇、技術者の道はエンジニア、色々方法があるの

知りたい?授業料を払ってくれるなら、時間がある時に教えてもいいけど

あ――待って

少女は急に足を止めた。驚くべきことにドールベアの目線の先に、その姿を久しく見ていなかったノルマン家の長男が立っていた

レオナルド!?

彼女は急いでこちらをぐいと引っ張り、妙に背が高く作られたゴミ箱の後ろに身を隠した

……どうしてこんなところに?

もう、なんでいるのよ……ヴィクトリアは十分な仕事を与えてないのかしら?

誰があんなやつと

気付かれる前に身を隠したつもりだったが、レオナルドは即座に気付いたのか、こちらに向かって歩いてきた

ここで見つかる訳にはいかないわ。あの、うんざりするほど長い無駄話に付き合わされて、今日の予定が全部台無しになるのは御免よ

周りを見回したドールベアは急に、こちらの体を力強く前へと押し出した

頼んだわよ――足止めしておいて!

彼女は素早くウィンクして、隣の店に入っていった

呆気に取られていると、レオナルドはもうすぐ側までやってきていた

……おや?グレイレイヴン指揮官?今……ドールベアを見なかったかい?

彼女と一緒に地上任務を執行中かな?

まさか、俺の愛する妹が俺のことを避けてたりはしないよな……

もしそうなら、兄さんは泣いちゃうよ~

本当に、ドールベア、ここにいないの?

そうか……

ああ、ちょっとした野暮用さ。ヴィクトリアにコンステリアの再建作業を任されて、しぶしぶ現地視察にきたんだ

誠意ある機械体と話すより、悪意だらけの議会の古狸と演じる茶番劇の方が、性に合ってるんだが

ドールベアの姿がここにないとわかると、レオナルドはいかにも社交辞令という体で会話をして、「つまらない人間だ」という表情で去っていった

今まであまり接したことはなかったが、今日の様子を見るに彼はかなりリラックスしているように感じられる

そのまま彼を見送って振り返ると、さまざまな店が立ち並ぶ景色が目に入った。ドールベアが入った店はどれだっただろう、すっかり忘れてしまった――

しーっ、こっち

彼女の声を頼りに角を曲がると、塗装を変えたドールベアが店の裏口にいて、キョロキョロと辺りを警戒していた

彼、本当に行った?

よかった……ちょっと、何をじろじろ見てるの?もしかして私の新しい塗装、見るのは初めて?

私自ら、黄金時代のトレンドを再現した塗装なの

ゲシュタルトを出てからずっと、こんな塗装を作りたかったのよね。評価はまずまずってとこかしら

レオナルドにバレないためよ。あの人、この塗装を見たことないから

この塗装ならもし兄にばったり会っても、気付かれずに人混みに紛れ込めるでしょ

恐らく……ね

ドールベアは力なくそう答えた。彼女にもあまり自信はないようだ

じゃあ、指揮官も……着替えておく?

新しい服に決まってるじゃない。どう?ちょうどここに、機械体が営む洋服店があるわ――

服を仕立てる時間はないけど、既製品から選ぶことはできるわ!

そう言って、新しい服に着替えたくないだけでしょ――

色々考えたあげく、ピンクの髪の構造体はこちらに新しい服を着せるのを諦めることにしたらしい

まあいっか、新しいヘッドホンをゲットするためだし。今回は見逃してあげる

この後、どこに行くかちょっと考えさせて……

いいわ、こっちね