Story Reader / Affection / アリサ·エコー·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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アリサ·エコー·その2

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犯人や難民たちの処置がひと段落した頃には、夜になっていた

資料を調べる構造体は、104号保全エリアの近くにある「ユートピア」小規模収容所で忙しそうにしていたが、エコーは近くの荒れ地で物品の整理をしていた

彼女の足下には紙屑や汚れた包帯、古びた装飾品等が積み上げられている

エコーはしゃがみこむと着火装置を取り出し、山積みになっている持ち主のいなくなった品々に火をつけた

細かな灰が熱とともにゆっくり舞い上がる。その灰の塵が、エコーの身体に降りかかったかどうかまではわからない

先ほどのエコーの突然の謝罪と守衛リーダーの言葉を思い出した。エコーは不要なプレッシャーを感じているのではないだろうか

そう思うと、自然と彼女の方へと歩き出していた

だがなんと声をかけていいかわからず、しばらく気まずさが漂う

さっき連行された人たちのことですか?

少女はほんの少しだけ微笑んだ

彼らの価値観は……ピークマンによって歪められてしまったんです。正義を理解できないのは仕方ありません

指揮官、ご心配なく。あんな言葉で、私の心が折れることはありません

先ほどの謝罪ですか?

私が規則違反をして単独行動をしたせいで、指揮官や皆を危険に巻き込んでしまったので

どんな判決でも処分でも受け入れますし、謝罪もしなくちゃと……

はい、わかりました。これから気をつけます

……は、はい。次は規則に必ず従います

絶望的な状況でもない限りは……

ピークマンと飛行要塞本部の壊滅から、もうしばらく月日が経っています

外界に散っている「ユートピア」支部への連絡は、そのほとんどが飛行要塞本部からです。ピークマンのために働いていた人々も、おそらく気付き始めています……

エコーはこちらを向いて頷いた

昨夜、彼らは来訪者から何らかの知らせを受け取ったようでした

今日の午後、彼らは少しずつ難民たちの移動を制限し、いくつかの大きなテントに集合させていました

それから印刷物を燃やし始め……恐らく、その次は難民たちを「処理」するつもりだったのでしょう

はい。守衛の数をざっと見て、私ひとりでも対処できると思いました

でもまさか重火器を隠し持っていたとは……

とにかく……運がよかったです

ですが、救えなかった人もいます

エコーは足下で燃える火を見つめた。燃えているのは、戦闘で生き残れなかった人たちの遺品なのだろうか……

セシリア姉さんは物静かで、「仕事」が終わると、よく童話を聞かせてくれました。このファルコンの形をした飾りは姉さんの一番のお気に入りです

ナタ姉さんは明るくて好き嫌いもハッキリした性格ですが、意外と……没頭するタイプで、本を読むのが好きでした

それから……

「ユートピア」の平和が打ち砕かれるまでは、ここにある物も持ち主とともに「日常」を過ごしていたはず

私もあそこで育ったからこそ、あの人たちを救いたかったのかもしれません

指揮官ならきっと……こんな考え方は……

本当ですか?指揮官も……

私もです

大げさに両手を広げて見せるとようやくエコーは笑顔になり、険しい表情が少し和らいだ

グレイレイヴン指揮官にも、こんな一面があるんですね

これまでの印象からは……

ええと……

彼女は少しためらって口をつぐんだ

コホン……言葉を整理してからお伝えすることにします。こういうことは、失礼にならないようにしないと

とにかく、感謝しています。指揮官

慰めに来てくれたんでしょう?空中庭園の指揮官の行動原理には、すごく人間味がありますね。空中庭園の暮らしは、「ユートピア」よりもずっとリアルだわ

エコーの意識海の中に、ライナのものであるはずの記憶が浮かんできた

一時的に集まった小隊のさまざまな姿は、以前のエコーにとっては理解しがたいものだった

機会……

……機会があれば、ぜひ

何が彼女の脳裏をかすめたのかはわからないが、口ではそう言いつつ、その笑顔は言葉ほど軽やかではなかった