Story Reader / Affection / ルナ·銀冠·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ルナ·銀冠·その4

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ルナは両手で木馬の頭をつかみながら、下を見た。下では機械体たちがわらわらとうごめいている

真っ白な少女はこちらを振り向いた。その表情からは何も読み取れない

オレンジ色の光が少女を照らした。吹きさらしの木馬を、強烈な風が吹きぬけた

おとぎ話から抜け出てきたような奇妙な観覧車は、ここが決して現実世界ではないことを教えてくれている

ルナは真っ白な髪をなびかせながら、向かいに座っている。よく見ればまつ毛まで白一色だ

白いまつ毛の奥に薄い金色の瞳。喜怒哀楽は読み取れないが、波立ってもいない。晩春のように暖かく、朝露に濡れているようでもあり、空虚で静謐な瞳

……何を笑ってるの?

何が急なの?

何が面白いのかわからないわ

……?

ルナは本当にわかっていないようだ

そう……なの?

ルナの頬が少し赤くなったような気がする

ふたりの間を流れる空気が、どことなく気まずいものに変わってしまった

観覧車なんて乗ったことないもの……わからなくても当然でしょ

……昔、姉さんとどこかの遊園地に潜伏したことがあって

乗り物に乗ってみたいって言ったら、姉さんが色々頑張って遊具の電源を入れてくれたの

でもいざ乗ってみたら、遊具の音が侵蝕体をたくさん引き寄せてしまって

その遊園地の観覧車がどんなだったか……よく覚えていないわ

……

あなたって、どんな状況でも楽しめる人なの?

さっきあなたが止めなかったら今頃全部倒してたのに。あのロボットたち、それほど強くないもの

……なんでこんなことをするの?

——目が覚めたら、君は意識海での出来事を全て忘れてしまうから

なぜ私を助けるの?

——君を助けなきゃ、自分もここを脱出できないから……かな?

……あなたの目的を教えて

……もちろん

分散系を通った光が散乱して、斜め方向や真横からでも光の通路が見えるようになる現象

何が言いたいの?

もし光の散乱が起こらなかったら?

あなたは……その自信は一体どこから湧いてくるの?

簡単に私を信じて、他の人まで信じるの?

……

何それ?

懐からプレゼントを取り出す。リボンも包装もなくなってしまったそれは……小さなナイトランプだった

ランプ……?

姉さん以外の人からプレゼントをもらったのは初めてよ

ルナは虚を突かれたらしく、しばらくためらってからそっと手を伸ばした

ルナの指先がナイトランプに触れそうになったその時、またしても世界が崩れ始めた