Story Reader / Affection / 常羽·遊麟·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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常羽·遊麟·その5

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暗闇の中でもがいているうちに意識がだんだんと戻ってきた。雨が屋根に落ちる音のように周りから話し声が聞こえてくる

アディレも落ちぶれたな。こんなガキを寄越すなんて

外見だけで人を判断するといつか痛い目見るぜ。おっさん

フン、連れて来たから、ここは良しとしよう

ともあれ、今は寝たふりをした方がよさそうだ。引き続き黙って横たわることにした

すると、近づく足音が聞こえてきた。誰かが胸の上に手を置いたようだ

おい?!近寄るな、[player name]に手を出すのは早い!ブツは?

常羽の怒声と攻撃音が聞こえ、よろよろと後ずさる足音が聞こえた

お?安心しろって。この薬の効果は弱いからすぐに醒めるさ

厳しそうな女の声

何をする?!

取引のルールを守ってほしいだけだ。ここで反目しあっても何にもならない

それとも構造体とやりあいたいのか?

今日、左手にアレをつけたんだよね。今見せようか?どうよ?

常羽のヒントに気づくやいなや、こっそりと左手に手を回して発信機を起動させた

厳しそうな女の声

アレ?何のことだ?

常羽は答えず、ただ鼻で笑った

ブツを持ってきて見せてやれ

パスワードが入力され、スーツケースが開く音が聞こえた

好きにチェックしろよ

常羽が傍から離れていく足音が聞こえ、それは少し先で止まった

悪くない、確かにこの機械なら、混入されたまがい物をすぐに識別できる

優しい女の声

品物の確認が済みましたら、「手付金」の交換を

契約後、アディレには我々の敵の排除に協力してもらいます。その代わり我々はアディレの倉庫に不良品を混入させない。これでアディレの評判も救われるわね

優しい女の声

でももし契約を反故にしたら……

列車に潜り込ませたスパイが何かするんだろ?

部屋の一角から常羽の笑い声が聞こえ、彼はゆっくりとこちらに歩いてきた

視界はまだぼやけているが、常羽が手を回しながらこちらへ歩いて来るのが見えた。満足げな表情で、さきほどの嘲るような声音とは全然違う

よ、起きた?

ごめんよ。あとでちゃんと謝るから

ご名答……実はひとりじゃ対応しきれなくて

動きを抑えたつもりだったが、やはり気付かれてしまった

起きたのか?

説明は後だ、まず逃げよう

常羽が言い終わらないうちに守衛の女が武器を取り出して常羽に突進する。だが、身を翻してそのまま守衛の女を蹴り飛ばした

お前?!くそっ、かかれ!!先に空中庭園の指揮官だ、あのガキは後で構わない

夢見てんなよ、おっさん

ここにいる、心配するな

常羽は軽快に攻撃を交わし、上フックで相手を気絶させた。それから身を乗り出して識別器が入ったスーツケースをこちらに放り投げてきた

ナイスキャッチ!逃げるぞ!

人間では構造体に勝てないと知ったボスが警報を押すと、そこら中から大量の守衛ロボットが出現した

あちゃ……これは大変だ

常羽が嘆いた瞬間、部屋に入った守衛ロボットが扉ごと切り刻まれた。爆破による埃が舞うなかに、グレイレイヴンの3人が立っている

指揮官!大丈夫ですか?!

顔色が悪いですね……

どういうことなのかきちんと説明してもらいますよ

今はその暇はない、まず逃げようぜ

止まれ!!自分のやっていることがわかってるのか??!契約を破棄すれば、アディレがどうなるかわからないのか?!

フン、わかってないのはお前だ。あのおっさんとちゃんと連絡してるのか?

でたらめを言うな!ついさっき定時連絡を受けたぞ!

これのこと?

常羽はポケットからキューブを取り出した。ひねると音声が流れだした

「こちら異常なし。ボス、ご安心を」

あのおっさんが俺を見張っていた数日間、しゃべったことを全部録音したんだ。あ、それと列車に潜り込ませたスパイだっけ?ほら、連絡とってみなよ

ビンゴ。時間を稼いでくれてありがとな

こいつらを殺せ!!

怒号とともに、周りの守衛ロボットが一斉に攻撃を始めた。倒壊した扉や窓、換気パイプからも守衛ロボットが現れ、状況は悪くなる一方だ

こっちだ!

狭い部屋の中に大量の守衛ロボットがひしめきあい、混乱を極めている

幸い撃破した守衛ロボットが絶好の盾になっている。しかし、倒せば倒すほど可動領域が少なくなっていく

扉のところにいる3人と合流できず、常羽とも徐々に部屋の両端にまで距離が離れてしまった

おいおいおい、逃げるが勝ちだぜ?!

守衛ロボットの残骸の壁から出てしまえば、大量の守衛ロボットに瞬殺されることは確実だ

常羽は溜息をつき、何とか体をこちらに向け、拳法の動きで突き進んでくる

その時、突然のカウントダウンがどこかから聞こえてきた

しまった!!![player name]!!!

常羽は必死になって激しい攻撃を繰り出すが、あと少しで残骸の壁が突破できない

——どけよッ!!!!

常羽の方向から激しい振動と衝撃波が伝わってきた。目前にあった守衛ロボットと残骸の壁が一瞬で粉々になったその時……

ピ————

目を射るような眩しい光が部屋中に満ち、鋭い音が耳をつんざいた。だが常羽の絶望した声だけは、はっきりと聞こえた

常羽(ジョウウ)

[player name]!!!!!!

…………つまり常羽はすぐそばにいる?