Story Reader / Affection / 常羽·遊麟·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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常羽·遊麟·その4

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重いマントをまとい、常羽に渡された特殊な仮面をつけて、ふたりは港湾施設の奥へと向かった

守衛に厳重に監視されながら、なかば崩壊しかけている部屋に誘導される

ボスはすぐ来る、ここで待っててくれ

守衛は部屋の奥を指さした

了解です~

常羽は軽い返事をして部屋に入ると、倒れている石壁の上に腰を下ろした

座りなよ。まだちょっと時間がかかると思う

常羽は声をひそめて自分の隣を指さした

ったく、何ビビってんの?食やしないよ

ちょっと休憩しとこう

隣に座ると常羽は笑顔を見せ、こちらに体を寄せてきた

ボスは守衛をふたり連れてくる。指揮官は顔を伏せたままでしゃべらないで

常羽はぐっと近づいて小声で計画を伝えてきた

あの監視はもともと闇市のスパイだったけど、港の人間とは面識がないはず

何かを確認するように、常羽はこちらのマントのチップを触った

マントと古銭さえあれば、気付かれないさ

そう言って常羽は口をつぐんだが、ふと自嘲するように笑った

俺のこと、信用してる?

ははっ、友人か……

……選択肢ってなんだよそれ、冷たいなぁ

常羽は振り返ると、マントにくるまれているこちらを見た

あぁ、前は気づかなかったけど……

常羽は手を伸ばしてフードを上げ、顔をまじまじと見つめてくる

いい顔してる。昔の「あの場所」なら、いい値が着く

常羽は答えなかった。ただ笑ったまま、顔に手を伸ばしてくる

常羽が手を触れた瞬間、チクッとした痛みが走った

常羽は顔に触れた指をそのままゆっくりと下に滑らせ、首筋で止めた

いきなり、常羽が触れている場所にチクッとした痛みが走った

意識が朦朧とし、視界がぼやけ始める

リーの発信機が頭をよぎるが、体は微動だにせずそのまま地面に倒れていく

おっと、あぶない

次の瞬間、常羽に受け止められた

怪我するだろ

なんとか足掻こうとしても呼吸が苦しくて動けない。誰かが自分の体を支え、顔に何か柔らかいものが触れたのを感じる

まだ教えられない。きっと納得してくれないさ

意識が沈みゆく中、常羽の声はまるで水中にいるかのようにぼんやりとして、はっきり聞こえない

全てが終わったらきっと説明する、約束するよ

お?安心しろって。この薬の効果は弱いからすぐに醒めるさ

もう常羽の服を掴む力すらない。しかし、胸の心拍が救援のカウントダウンを始めたようだ

ちっ、心拍が上がると気づかれちまう!

俺を信じろ、[player name]!

しかしカウントダウンが終わる前に、その声すらも聞こえなくなった。視界から光が消え、混沌の闇の中へ落ちていった