Story Reader / Affection / 常羽·遊麟·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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常羽·遊麟·その2

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「秘密基地」で2時間ほど待っていると、常羽が扉の隙間から急いで入ってくるのが見えた

はは、さっきはスルーしてごめんな

笑いながら体の雨露を払うその表情に後ろめたさは微塵もない

なんであんなとこに?まさか空中庭園の闇市のこと?

そいつは厄介だな

常羽はあたりを見渡し、片隅でぐったりしているひとりに目を留めた

指揮官、えらく疲れてるじゃん。雨の中を走ってきたの?

常羽は後ろの棚によじ登ると、上から箱をひとつ投げてきた

よし、何か食いもん作ってやるよ

まあ詫びだと思って。それに、実はちょっとばかり手伝ってほしいことがあって……

ははっ、カンがいいな。実はちょっとばかり手伝ってほしいことがあって……

それはまた、おいおい話すよ

常羽は投げた箱の中から缶詰や調味料、簡易コンロを取り出す

見ればわかるだろ、この倉庫に貯蔵されている食糧さ

物資転売もアディレの商売の一環だ。たまに上の倉庫から食いもんを「収集」してここに置いとくんだ

……ほら……みんなで食卓を囲んでいた昔を懐かしむためにさ

今は食べる必要がなくなったけど、料理を作るのが好きでさ。人が食べているのを見るのも好きなんだ

常羽は慣れた手つきで赤い缶を開き、調味料を入れて混ぜた。更に白い缶を開け、中から丸くて白い物を取り出した

これは……小麦粉で作った薄い皮ですか?

そう、「餃子」の皮さ。待っててくれ、九龍料理を食べさせてやるよ

指揮官、お許しいただけますか

はは、料理の腕を褒めてんの?それとも心配してんのか?

九龍で生産された缶詰だけど、味は前よりだいぶ落ちてる

彼はスプーンで缶から餡を取り出し、皮の上に置く。それから手を合わせて包んでいったが、仕上がりはよれよれだ

ほんとはもっと綺麗に包むんだけど、めんどくさいから。これで我慢してくれ

しかし手際はよく、しばらくすると皿いっぱいの餃子が出来上がった

そう?いつも練習してる拳法と似ているからかな、見てな

常羽は左手で皮を取り、右手でスプーンを持ち餡を掬って左手に合わせるという動作をゆっくりやってみせた

こうやって包めば、ほらできた

だろ?だから速くできるんだ!

ちっ、あんまり好き嫌いを言うなよ、他は糧食しかないぞ

常羽は蛇口から水を容器に入れ、簡易コンロに乗せた

ここには水道もあるのですか?

水道じゃないよ。ただの浄化機。雨水を集めて浄化しているだけさ

安心しろよ。濁ってるけど、飲めるくらいには有害物質も取り除かれてるから

常羽は餃子と塩を容器に入れる。しばらくすると水が沸騰した

そろそろだ

常羽は湯を皿にかけた

今のは?

湯をかけたこと?あ、これは九龍の習慣でさ。みんなこれで消毒できると思ってんだ。身体のためだって

常羽は沸騰した湯から何とも表現しがたい物体を取り出した

出来た!食べてみてよ

まともな舌してたら絶対美味いって

全員の視線を感じながら、フォークを持ち上げる……

な、言っただろ?

糧食じゃなくて出来立てなんだからフーフーしろよな

餃子の断面を見ると褐色と黒色の物体が混ざっている。そこからは不思議な香りが漂ってくる

……見た目はアレだけど、確かにおいしい

それを聞いた3人は少し動揺しているようだ

構造体は食べる必要はありませんが、指揮官がそう仰るなら……

ルシアはしばし考えたのち、ひとつを口に入れた

これが九龍料理なんですか?確かにおいしいです。皆も食べてみてください

じゃ、ひとつだけ……

リーフはルシアからフォークを受け取り、ひと口食べた

あ、確かにおいしいです。成分分析……うん、栄養バランスも素晴らしいですね。指揮官、ご安心ください

リー、食べてみます?

僕はちょっと……指揮官、どうぞ

よし、じゃあ食べながら説明するよ

物資に偽物が混入してる件では、アディレも被害を受けてるんだ

物資に混入された偽物を見分けるのは難しく、1個1個調べるのは無理だ。でも、急ぎで大量な物資が必要になると、やつらから買うしかない

確かに、空中庭園の地上拠点にも被害が出ています

とりあえず……

常羽は椅子の背にもたれ、何か考えながらスプーンで遊び始めた

俺はもうすぐやつらのボスに会えるようになる。みんなが欲しがってる情報をそいつが持っていると思う

取引しないか?俺に張り付いてる監視を倒してくれ。それであんたらはあの男の古銭を奪えばいい

そのあと監視の男のフリをして俺と一緒にボスに会いに行こうぜ

ここの港がアディレに派遣したスパイ。今は俺の監視役だよ

余裕だよ。でもあっちはそれに備えて、俺の体にあるものを仕掛けたんだ

大丈夫、あいつだけやってくれれば、ほかは俺が何とかする

指揮官、これは危険が伴うかもしれません

そちらの「事情」は僕たちの知ったことではありませんしね

そんな冷たいこと言うなよ。あの時はしょうがないからそう言っただけだよ

古銭を手に入れれば、一緒に港のボスに会いに行ける。そっちだって情報を入手できるだろ?

商人はそれを——

「ハイリスクハイリターン」と呼ぶ

「相互利益」だよ!

まあいいや、とりあえず[player name]が来てくれれば。どう?

よし、やっぱ話せるぜ!

じゃ、これからの指揮よろしく