Story Reader / Affection / ロゼッタ·凛烈·その5 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

ロゼッタ·凛烈·その4

>

これが終われば、任務が完了したも同然

指揮官、その装置のセッティングが終わったら、こちらに来て欲しい

ロゼッタは手元のモジュールを起動し、装置と同期させ始めた

出力正常、自動モードに切り替え……と、よし

それでは、テントの設営について講義を始めよう

任務の最後に一晩モニターしなければいけないから。今のうちテントについて学んでおいた方がいいと思う

そう。任務の最後に一晩モニターする必要があるから……

空中庭園が支給してくれた装置を使えばあっという間に設営できるけど、私はやはり手作業がいい

指揮官、テントには自立式と非自立式があることは知ってる?

プロフェショナルな軍人に対して愚問が過ぎた。では説明は省こう

自立式はフレームが入っていて、初心者でも簡単に張ることができる。組み立ても簡単で、航路連合の漁師たちはほとんどこのタイプを使っている

それに対して非自立式はフレームが入っておらず、そのままでは文字通り自立できない。当然、張り方も難しくなる

だが非自立式にもメリットがあって、張る場所を選ばないし、収納にも持ち運びにも便利だと思う。張り方を知っておいて損はない

だから……指揮官、今日は非自立式のテントを張ってみよう

……別に、私がフレームをなくしたとかいうことでは決してないから

最後の一言は小声だったが、雪の上でははっきりと聞こえてきた

この非自立式テントは樹木を支柱に使うから、まず最初に適当な木を探さなければならない。2本の木……間隔は3mほど離れているといい

……そうはいっても、ここらの木は航路連合によってほとんど伐採されている。そう簡単には見つからないと思う

ロゼッタは簡単に言うが、辺りは一面真っ白だ。木なんて一本も見当たらない

うん、ない

昔はこの辺りに薪を拾いに来ていたのに……本当についていない

またもや落ち込んだロゼッタは、地面の小石を拾うと、小さく息を吐いてから放り投げた

今度は12回。前より上手くいった

???

おおおおい!クソったれが!石を投げたのはどこのどいつだ!?

聞き覚えのある怒号とともに、見覚えのある顔が海から現れた

またあんたらかい!わざとだな!わざとやったな!!

ご冗談!陸に立派な持ち家一軒家があるっつうの!ちょっとばかし日焼けを楽しんでたんだよ!

さすがは高性能バイオニック。日光浴を好むというホッキョクグマの性質が完璧に再現されている

気象ステーションの仕事帰りの度に石をぶつけられてよ!いい加減たまんねえよな!

って……またあんたらかい!?人間と構造体がこんなところで油売ってて大丈夫なのかよ?

油を売っているわけじゃない。前にも言ったが、任務を遂行している

まあそんなこと言ってたよな。それで?なんでまた石を投げやがった?また何か失くしたのか?

テント……ここでキャンプすんのか?

あんたらお仲間だろ?誰が投げたって同じことさ。てか、そのシートはなんだよ??キャンプでもすんのか?

最後の任務に備えて、指揮官にテントの張り方を伝授しようと思ったのだけど

上手くいかないことだらけで、テントひとつも張れやしない

そりゃ難儀なこって。まあ雨風しのぐ程度でいいなら、いい案があるぜ

なんちゅう呼び方だ……まあいい、悪いことは言わねえ、かまくらを作ってみな

そんなわけあるか!案ってのはなぁ、かまくらのことよ

確かにかまくらは野営拠点として使えるし、本当の意味でどこでもできる……そんなことにも気づかないなんて

おら、ボサーっと突っ立ってんじゃねぇよ。構造体は雪のブロックを切り出せ。[player name]は雪玉を作るんだ

あんたの腰くらいかな。それほど大きくなくていい。そういやこの前よ、10mはあろうかっていうどでかい雪玉が転がってきやがって、死ぬかと思ったぜ

…………

とにかくかき集めりゃいい。どのみち人間じゃあそうそう精確な加工は無理だろ?

作業安全を標榜するクマ型の指揮の下、かまくらが順調に組み上がっていく。ロゼッタもスピアを巧みに使用し、見事なカーブを持つ雪塊を作り出していた

そして——

あんたら、本当によくやったよ。クマスターは感動したッ!!

目の前には、立派なかまくら。完璧な弧を描く半円の屋根に、純白の壁。全てが雪だけで組み上がったかまくらは、日差しをきらきらと反射させている

かまくらの入り口には非自立式テントのシートで扉を作った。これで防風防寒も完璧だ

いやあ、実によく頑張った!早速中に入って保温性を確かめてみようじゃないか!

皆は一列に並んでかまくらに入った。中には照明もなく、ほとんど真っ暗で何も見えない

クマ型

ほう、そこそこ温かいじゃねぇか

クマ型の言う通りだ。中に入った途端に、体感温度が上がったことを感じる。だが——

ロゼッタ

狭い

作り方をわかっていても、実際の従事者は皆、建築経験のない素人だった。ゆえに、思いっきりサイズの計算を間違えていた

正直言ってこれは……子供用の大きさだ

クマ型

あのよ、構造体さんよ。武器は外に出しといてくんねぇか。さっきからツンツン痛ぇんだが?

ロゼッタ

我慢して欲しい。戦闘ではあらゆる状況が起こりうる。最後まで生き残るには忍耐強さが肝要だ

クマ型

いやいやいやいや、おいら戦争しに来たわけじゃないんですけどッ!

ロゼッタ

あっ!

渾身のツッコミために立ち上がったクマ型の頭が、子供サイズのかまくらの天井を貫いた。怒涛のごとく崩れ落ちる雪塊、あっという間に埋もれる3人……

本当に……ついてない!