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ヴィラ·麗酷·その3

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空中庭園中央資料閲覧室、18:34

確か、これだったはず……

士官学校の講義が役に立った。ヴィラの取引品のリストには、確かに薬物と思しき名前があったのだ。ぼんやりとした記憶を頼りに、片っ端から資料に当たる

「ホルエオス製剤、循環液の主要成分のひとつ……」

「意識海を刺激する作用があり、注入することで構造体の感覚を拡張させ、意識海を明瞭に保つ。効果範囲は構造体の痛覚、聴覚、ネガティブ感情等に対する感知を含む……」

戦場で、私より長く持ちこたえられる者はいないわ

他のゴミどもを私と同じように強くするなんて、望むべくもないわ。けれどせめて、足を引っ張られないように、対策くらいはしなきゃ

え?ホルエオス製剤、ですか……?指揮官、なぜそんなことを?

そうですね、構造体用の感覚増幅剤です。意識海の交感神経を刺激して、短時間のうちに構造体の感知能力を大幅に強化することができるんです

感知強化と言っても、実際はほぼマイナスの感知を強化させるだけで……例えば、痛覚ですとか、感情の起伏ですとかが……薬剤の注入直後から数倍に跳ね上がるんです

苦痛に対する感知を敏感にすることで、強制的に構造体の意識をはっきりさせることはできますが……空中庭園では濫用が禁止されています

でも、指揮官。どうしてそれを……?

あっ!指揮官!もしかして誰かがその薬を使って、指揮官をだましたんじゃ――

構造体用の薬ですが、指揮官もそういうものに不用意に触れたりしないでくださいね!

本当ですか?

そういえば……指揮官、ここのところ私の代わりに補給を受け取りに行ってくださって……ありがとうございます

ええ、指揮官がご存知かはわかりませんが……派遣された2個小隊に、大変な被害が出て……戦死が確認されないまま、消息不明の隊員もいるんです……

上層部は今回の戦闘の情報をかなり重視しているようですが……戦死した隊員の脳は完全に破損していて、私たちでは修復できないんです……

今はグレイレイヴン所属ですし、前線の救助活動は担当外だとわかっているんですが……それでも……

……指揮官、ありがとうございます。お話を聞いていただけただけでも、少し元気が出ました!

ヴィラは、暗闇の中の光のようだ。高いところからこちらを見下ろしている

フン、やはり人間はもろいわね

それから――かき氷を持ってパラソルチェアに腰を下ろす彼女……

…………

……礼を言うことなんかなくてよ。たまたまアドレナリンが残っていただけですもの

……それにね、私が救命措置を施した人間が生き残ることなんて、ほとんどなかったの

……指揮官?

あの、これで失礼しますね!また何かご質問があれば、いつでも聞いてください

指揮官のお役に立てて、リーフは嬉しいです

ヴィラは、一体何をしているんだろう……?