あなたがグレイレイヴン指揮官?
私はアイラのマネージャーです
あなたのお陰で、アイラがまた面倒なことになってしまったんです
……とにかく、直接ご覧になってください
……
昨日は作業台の上に収まっていた「積み木」が、今は部屋中に溢れている
部屋の隅の作業台に向かい、アイラは夢中で何かを掘っている。台の上には機能エナジー液の缶が散乱している……
いらっしゃいましたか
あなたがアイラの「謎かけ」を解いてしまった指揮官さんですよね?
……
芸術家にとっては、「ネタバレ」が一番気に障ることなんですよ
もし自分の「謎かけ」があっさりと解かれてしまったら、芸術家はこう思うんです
自分が愚かすぎるのか、相手が賢すぎるのかのどちらかだと
そして、自分が愚かでないことを証明するために、躍起になって新たな「謎かけ」を創る……
もう。本当にぶつくさうるさいんだから……
……えっ?指揮官?どうしてここに!?
あなたが徹夜で作業に没頭する時は、たいていが同じような理由でしょ
トラの首にかかった鈴を外せるのは、それをかけた人だけ――あなたの首に誰が鈴をかけたのか、システムの記録を調べれば簡単にわかるんですから
そう?
……まったくもう
私はただ、もっといい「謎かけ」があるんじゃないかって思っただけよ
自分ひとりであれこれ格闘するよりも、外部の意見を取り入れた方が建設的なんじゃないかしら?
音程が外れてないかを確認するには、誰かに歌を聴いてもらうのが一番よ
そうそう、展示会責任者からの伝言だけど、あなたの作品の展示は次回に先延ばしするって
でもまあ……今日の展示会にも行った方がいいと思うわ
他人の作品が、思いも寄らないヒントになることもあるもの
……まったく、いつもこういう時に限って、ぐぅの音も出ない正論を吐くんだから
とりあえず、マネージャーとしてできる助言はこれくらいね
どう「問いかけ」るかは、創作者自身の問題なのだ……世界政府芸術協会のとある先人の言葉よ