Story Reader / Affection / ナナミ·芒星ノ跡·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ナナミ·芒星ノ跡·その4

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これがドラゴンに奪われた宝物――ナナミ様があなたと探していた宝物です

ナナミがここを離れたあと、礼儀正しい青年と自分は危険を冒して、ドラゴンがいなくなった巣穴で「宇宙騎士」ベルトを見つけた

それと、ナナミ様から伝言があります

「指揮官がどこに行っても、星はいつも空から指揮官が進む道を照らしてるよ」

それでは、お体をお大事に

ぼんやりとしたまま宇宙騎士ベルトを受け取ると、目の前に眩しく白い光が放たれた――

自分の魂が肉体から離れ、高い空へと浮かんでいくのを感じた

あ、来た……

果てしない宇宙の中で、灰色の長髪の少女と出会った

……簡単に自己紹介すると、私はこの世界の神様

再び目を覚ますと、この世界の神が目の前にいた

床まで届く大きな窓の外を、銀白の星が静かに光りながら流れていく。どれだけの色褪せた時間を越えてきたのだろうか

彼女はここで窓に手を当てながら、ずっとひとりぼっちでこの星空を見つめてきた。彼女が過ごした無数の日々を思うと、深い寂しさが湧き上がってくる……

[player name]?

謝らないで……あなたが会うべきなのは私じゃない。私はこの世界の神様なだけ

うーん……もしそうだとしたら、ちょっと寂しくない?

ふぅん……

彼女は窓の前のテーブルの脇に座り、こちらにも座るように促した

とにかく私に会えたってことは、あなたたちはもうすぐ宝物を見つけられるよ

ううん、それは本当の宝物じゃない

灰色の長髪の少女はすぐに答えず、少し困ったように微笑み、窓の外に輝く無数の光を眺めた

神様になったあと、私は少しずつ感情を感じ取ることができなくなった

神が星々を見つめる瞳には、迷いとためらいの色が浮かんでいた

これから話すことには、多分もう私自身の感情は含まれてない……

ただ、かつて私が書いていた……山積みの日記をなぞるだけ

あるいは過去の自分の代わりに、彼女の気持ちを伝えるだけ

寂しい星明かりの下で、神の姿がだんだんとおぼろげになってきた

彼女は立ち上がって、書棚に整然と並べられたノートの背をなで、そこから1冊を手に取ると懐かしむようにページをめくった

あなたならきっと覚えてる。ナナミと一緒に過ごした時間を

あなたの前では彼女はいつも笑顔で活発で、みんなを元気にしてくれる少女

彼女はどんな困難にも毅然と立ち向かい、自分の全ての感情を情熱的に表現する

ナナミはね、伝説の騎士なの!カード騎士!で、あなたはナナミの指揮官!

指揮官~~~!これでもくらえー!

彼らが世界を救ったかどうか、ナナミは知らない。ナナミにわかるのは……指揮官のゴーヤ顔を救わなきゃってこと!

天真爛漫なひと言ひと言が耳元で鮮明に蘇る。どんなに色褪せた終末の中でも、それは唯一の色鮮やかな思い出だ

ナナミが羨ましい……今の私は、彼女みたいに自分の感情を表現できなくなっちゃった

神は微笑みを浮かべながら小さなため息をつき、次のページをめくった

でも、その彼女でも……どうしてもあなたに言えなかったことがある

あなたたちはそれぞれの使命と、あまりにも多くの人の運命を背負ってる……

私のわがままだったのかな?せめてこの世界では、あなたとナナミは余計なことを考えずに、宝物を探す旅を楽しんでほしかった

神はノートから顔を上げると、無垢な輝きに包まれながら、こちらの目をじっと見つめた

指揮官、あなたは終末の時代に生まれた。それは、私にはどうすることもできない

この世界は、あなたとナナミの想像によって構成されてるの。そしてあなたたちは、自分が信じられない世界では生きられない

あなたの気持ちが強すぎるのか、あなたたちが経験した262537412640768673回のループの中で、あなたはいつも無意識に世界を修正してる

膨大すぎる情報量は人間の意識を崩壊させるから……私が勝手に、いくつかの特別な思い出だけを残したの

無数のループを経験したのは事実だけど、時間的にはそれほど経ってない

私はただ、あなたたちがその中で本当の宝物を見つけることを願ってるだけ。そしてあなたも、もううっすらと気付いてるはず……

さっき言った通り、ナナミは自分の感情を情熱的に表現できる。だからこそ、それが別の感情の隠れ蓑にもなるの

記憶のフィルムが再生され、ナナミの顔が浮かんだ

指揮官!ナナミ、指揮官と一緒にいる時間が大好き!

ナナミの言葉は街の喧騒にかき消された。彼女の唇が微かに動いて、微笑みながら音にならない願いを口にした

しかし、少女の言葉は激しい波の音にかき消された

どうやら、「宝物」はずっとすぐ近くにあったようだ

いい答えだね、でも70点

いい答えだね、100点だよ

神は頬杖をついて、優しくこちらに微笑みかけた。そして再び手にしたノートのページをめくった

少女がまだ神様じゃなかった頃……自分の愛する故郷を救うためには、彼女がその世界から離れるしかなかった

でも、立ち去るその瞬間まで、彼女は自分の想いを最愛の人に伝えることができなかった

もしかしたら……その時の彼女は、その衝動から逃げる必要があったのかも。もし彼女がそれを口にしたら……彼女の決心が砕けてしまうから

……ナナミもそうだった

満点の答えだね。ナナミ自身も、自分の気持ちに気付く必要があるから

これは、あなたたちふたりの宝物

もうわかったよね?そうでないと、私には会えないもん

本当の宝物は宇宙騎士ベルトじゃなくて、ナナミが何度もあなたに伝えようとして、何度も心の中に押し込めた……

…………

少女としての想い

神は静かに微笑んでいた

目の前の光景が徐々にぼやけ、意識と体が引き離されるような感じがした

必死に意識が体に戻ろうとしている時、神の声が響いた

「行って、指揮官。その宝物を見つけに」

…………

……

??

[player name]、早く起きて。世界の終末だ

これで何度目の終末なのか、もうわからない。しかし、以前は「世界の終末」と聞いてもデジャヴしかなかったが、今回ははっきりとした記憶がある

今まで通りであればナナミ……あの明るく元気な灰色の髪の少女が自分を起こすだろう。そして笑顔で意味不明な会話をしたあと、強引に自分を宝物探しの旅に連れ出すはずだ

しかし、今までと違うのは「謎」はすでに解かれた。今度こそ、彼女と自分が「本当の宝物」を見つけ出す時間だ――

??

早く起きなさい。起こしてほしいの?

何度も声をかけさせておいて、仕方なく起きるとは……

さすがドラゴンを退治した大英雄。いいご身分だな

ナナミ?誰だそれは?

ドラゴンを退治した大英雄が、目を覚ました瞬間にジョークを?

目の前に立っているのはナナミではなく、軍服を着た颯爽とした軍官だった。その顔には諦めと皮肉の笑みが浮かんでいた

誰のこと?寝ぼけてるのか?

くだらないジョークはさておき、今日は君のドラゴン退治記念の祝典だ。主役なんだからしゃんとした方がいい

軍官は呆れたようにため息をついた

皆が待ってる。顔を洗ってきて

最後まで彼女は質問に答えなかった。ナナミはどこだろうか?

薄暗い部屋の外で、人々の騒がしい声が響いている

この古びた扉を開ければ、あの元気いっぱいの少女がいつものように目の前に現れるかもしれない――

[player name]指揮官……勇者様ではありませんか?

勇者様がドラゴンから娘を救ってくださらなかったら、生きる希望を失っていました……

先祖代々受け継がれてきた果実酒が、危うく私の代で途絶えてしまうところでした。ドラゴンを退治してくださったなんて夢のようです!

うちの家族もあなた様のお陰で……

賑やかな人々が一斉に集まってきて、口々に感謝の言葉を浴びせてきた。しかし……

自分を取り囲む無数の笑顔の中に、彼女の姿はない

ナナミ……?ナナミって誰?

尊敬する「勇者」からの質問を耳にした群衆は一瞬で静まり返った。戸惑いの表情を浮かべ、互いの顔を見合わせている

これくらいの背丈で、灰色の髪のポニーテールで、金色の瞳のよく笑う女の子……?

説明した特徴に基づいて、目の前のスカベンジャーが手振り身振りで再現した

見たことありませんね……どこの子でしょうか?

うちの娘の髪は灰色ですが瞳は黒色だし、よく笑うってほどでは……

ナナミ……ナナミ……変わった名前ですね。そんな子いましたっけ?

人々はがやがやと議論し始めた。まるで「ナナミ」がこの世界に存在していないかのようだ

さぁどいたどいた。勇者様に道を開けなさい――

無事ドラゴンを退治して、もうすぐ祝典が始まるって時に……その落ち込んだ顔は何?

「大切な人を失った」と顔に書いてある

確か名前は……ナナミ

知らないが

……一体何を言っている?ドラゴンを退治したのは、最初から最後まで君ひとりだ

そのナナミとやらは君の妄想だろう?

太陽の光が眩しく、真っ直ぐに顔に注いで目が痛い……目の前の軍官は、先ほどからわけのわからないことばかり言う

その時、金属製のスーツケースを持った青年の紳士が視界に入ってきた

勇者様

青年は静かに微笑み、やはりその突飛なニックネームを気にする様子はなかった

青年は、自分が青年を知っていることに少し驚いているようだった。しかし、すぐに礼儀正しい笑みを返した

前回の終末で、彼はナナミのことを「ナナミ様」と呼んでいた。きっと何か知っているはずだ……もしかすると、彼は自分以外に唯一ナナミを知っている人物かもしれない

ナナミ……?

青年は初めて聞く名前を口にしながら、困惑した表情を浮かべた

申し訳ありません、勇者様。祝典が終わり次第、ナナミという人物を探してまいります

それより、本日はこちらを差し上げるために参りました。あなたがドラゴンを倒して獲得した宝物――宇宙騎士ベルトです

青年が話しながらスーツケースを開けると、中には1本のベルトが静かに横たわっていた。ベルトのお陰で神に会えたのだ。彼女にもう一度会えば、真相がわかるかもしれない

以前、何度も経験した終末と同じようにベルトを受け取った……しかし、何も起こらなかった

どんなにベルトを触っても、なんの変化もない……銀灰色の金属フレームはただの金属だった

銀灰色のベルトのフレームをじっと見つめた。ナナミが隣にいない今、そこには何の輝きもなかった

私にはよく理解できませんが……これが本当の宝物でなければ、本当の宝物とは一体何でしょうか?

本当の宝物は……ナナミと一緒に見つけるべきもの。しかし彼女が隣にいない今、本当の宝物の話をしても意味がない

それと「ナナミ」に関する情報を提供していただいても?

陽光が眩しければ眩しいほど、心の中の影が濃くなっていく。ナナミは、自分の想像の産物なのだろうか?

朦朧とする意識の中に、少女の明るい笑顔がくっきりと浮かび上がる

あなたの言う「ナナミ」とは?

そう、ナナミはナナミなのだ

ナナミは、ナナミ……

…………

美しい花籠が街の至るところに置かれ、人々は歌い踊り、ようやく手に入れた平和を祝っている

屋台にはゲームカセットや漫画、星型の甘いクッキー、びっくり箱等さまざまなものが並び、子供たちの楽しそうな笑い声で溢れている

ドラゴンを退治したことで終末は終わった。人々は幸せな生活に戻り、万物は蘇る

…………

しかし、この世界にナナミを知っている人はひとりもいない