Story Reader / Affection / ナナミ·芒星ノ跡·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ナナミ·芒星ノ跡·その3

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第5章 ドラゴンと勇者

騒がしい叫び声が聞こえ、徐々に意識が鮮明になる

なぜだかわからないが、今回も誰かが自分の側で「世界の終末だ」と叫ぶような気がする

??

指揮官、早く起きて!世界の終末だよ!!

声の主にゆっくりと起こされ、感覚が体に戻ってくると、全身に痛みが走った。体を見ると、包帯が何重にも巻かれている

大ケガをしたのか……

小さなため息をつくと、灰色の髪の少女はすぐに目の前に座った。心配しているのか、金色の瞳には動揺と戸惑いが浮かんでいる

頭はまだぼんやりとしているが、当然のようにその名前を呼ぶと、少女は嬉しそうに笑った

当然のようにその名前を呼ぶと、少女はすぐに反応した

うん、ナナミだよ!

微笑みながら目を瞬かせる彼女の金色の瞳に、自分の姿が映った。ただ名前を呼んだだけなのに、とても嬉しそうにしている

えっと……ナナミ、指揮官と一緒に宝物探しに行こうと思ったの!

ナナミは少し目を伏せ、この体に巻かれた包帯をぼんやりと見つめた

でもこの世界に終末がきちゃって、指揮官もみんなも……苦しんでる……

彼女はそう言いながら顔を上げ、周りの騒がしい人々を見た

ここは宮殿のようだ。周りにはボロボロの服を着た人がたくさんいて、何かを必死に話し合っている

彼らの大半は地面にしゃがみ込み、驚きと困惑の表情を浮かべている。人々の間には自分と同じようにケガを負った人も多く、時折苦しげな呻き声が聞こえてくる

自分でも疑問に思うような言葉が出た。過酷な現状の中だが、再び同胞と会えた喜びが胸の中で大きく湧き上がってきた

いわゆる「終末」にいても、長い苦闘と苦痛を経ても、人類は生き延びた……

指揮官が寝てる間に、ちゃーんと調べたんだから。この世界は……うわっ!

次の瞬間――宮殿が激しく揺れ、人々から一斉に恐怖の悲鳴が上がった

来た、あいつらだ!!!

ママ!!

激しく燃える炎が宮殿全体に広がった。ナナミは剣と盾を手に取り、威勢よく立ち上がった

みんな、慌てないで!敵はナナミと指揮官に任せて!

あ、あんたらは?

ナナミは……カード騎士!

ナナミは誇らしげに、手にした剣と盾を掲げた

こちらの手を握り、ナナミは誇らしげに胸を張った

……[player name]指揮官……あの伝説の勇者の!?

なんで騎士と一緒に!?騎士なんて、どっか行っちまえ!!

……どうして?騎士のこと、嫌いなの?何があったの?

人々が驚きと疑念を抱いているその時――騎士の格好をした一団が乱入してきて、人々を取り囲んだ

こいつらに逃げ場はない、やっちまえ!

重く素早い足音を響かせながら、騎士たちは一斉に人々を攻撃した

やめて!

みんなに近付かないで!

ナナミ様!ドラゴンが暴れている今こそ、騎士が王国を攻め落とす絶好のチャンスです!

ナナミは一歩も引かず、湧き上がる怒りのままに剣を盾に突き立て、取り囲んだ騎士たちに可変斧を振りかざした

一体何を――

やぁっ!

指揮官、みんなを連れて逃げて!ここはナナミに任せて!

人々はどよめきながら押し合い、危機に直面してパニックに陥った

危ない!

ナナミは軽やかに身を翻してこちらを庇うように前に立ち、騎士の攻撃を防いだ。しかしその代償で、彼女はずいぶんと痛ましい姿になってしまった

ドラゴンの咆哮が響き渡り、地獄の業火のような炎がますます勢いを増した。ナナミは今にも炎に呑み込まれそうだ

指揮官、ナナミはこんな結末見たくない……

だから、諦めない!

自分がここに残ってもナナミの足手まといになるだけだ。それにパニックになった人々には道を示す「勇者」が必要だ

やむを得ず、生きる道を探すべく、人々を連れて宮殿から撤退することにした

宮殿から逃げ出すと、もうひとりのボスの姿がはっきりと見えた――ドラゴンだ

ドラゴンは人々がかつて頼りにしていた城郭を無残に踏み壊している。目の前に広がるのは、ドラゴンが吐き出した大きな炎と真っ黒い煙の海だった

ママ……ママ……

静かにしないか

炎の中から巨大なロボット騎士が現れた。手に小さな女の子を抱え、濃い煙を背にして、こちらへ向かって歩いてくる

この子を連れていってください、騒がしくてたまらない

彼は身を屈めて女の子を手渡してきた。迫りくる騎士に、群衆は恐れおののき後ずさった

大袈裟に驚かないでください。これもナナミ様の望みなのです

女の子は恐怖に震えてこちらの背後に隠れながら、顔を覗かせて騎士を見た

ナナミ様はすでに危機を脱しました

ナナミ様からの伝言です。すぐに溶岩が流れてくるので、できるだけ北の方へ逃げてください

高い場所から遠くを見渡すと、真っ赤な溶岩が唸りを上げながらこちらに押し寄せ、全てを呑み込もうとしていた

赤い潮流を見ていると、心の中に得体の知れない怒りが湧き上がってくる。過去のどこかで、それが自分の大切なものを奪っていったような気がしてならない

怪我を負ったまま長時間走ったせいで、傷口が次々に裂け始めた。歯を食いしばり、必死に体の痛みをこらえる

勇者様!ドラゴンに追いつかれました!!

(怒りの咆哮)

チッ……

ロボット騎士は全力でドラゴンに立ち向かったが、炎に押されて数十m吹き飛ばされてしまった

彼に自分を助けた理由を訊く暇もなく、ドラゴンが群衆に向けて突進してきた

体を引き裂くような痛みを我慢して、腰に差していた勇者の剣を抜き、力いっぱいドラゴンの頭を斬りつけた

(苦痛の咆哮)

この一撃がドラゴンの勢いを止めた。ドラゴンが息を整えている隙をついて、人々は素早く避難した

冷静に自分の怪我の具合を見極め、人々を導いて撤退した

(怒りの咆哮)

阻む者がいなくなったドラゴンは、逃げ惑う人々を容赦なく攻撃し、周囲は地獄と化した

人々を保護しながら、外の世界へ繋がる唯一の道までたどり着いたが、怪我のせいでこれ以上体を動かすことはできなかった

ドラゴンは怒りを増幅させ、深く息を吸い込んで力を溜めている。口の中で火の玉が形成され、どんどん大きく、熱くなっていく……

この一撃が放たれたら、誰も生き残ることはできないだろう

このひと振りが自身の死を意味するとわかっていても、苦しむ人々のために、この身を刃として最も輝かしい一撃を放った

そして火の玉に向かって突進する。燃え盛る炎が体を溶かそうとし、死の気配が目の前に迫ってくる……

??

指揮官!!ダメ!!!

第?+70章 最適解をロード!

いつの間にか隣に光り輝く姿があった。彼女の手が自分とともに剣の柄を握り……

指揮官、一気に行くよ!!!

(激痛の咆哮)

剣から光が放たれると、ドラゴンは体を大きくくねらせて、空に向けて苦痛の雄叫びを上げた。同時に火の玉がナナミと自分の間に天にも届く炎のカーテンを作り出した

傷だらけの体を引きずり、這ってでも絶望の境界線を越えてみせる

燃え盛る炎が体を溶かそうとし、死の気配が目の前に迫ってくる……

??

指揮官!!ダメ!!!

第?+70章 最適解をロード!

目の前に光り輝く姿が現れ、盾となった。火の玉は彼女が振り出した刃に阻まれた

次の瞬間、天にも届く炎のカーテンと化して彼女を包んだ

指揮官がどこにいても、ナナミは駆けつけるよ!

炎のカーテンの向こうで、彼女がこちらに微笑みかけているのがわかった

もうちょっと指揮官と一緒にいたいけど、この火の海は止められそうにないや……指揮官、早く逃げて!

ナナミは息を吸い込み、大声で叫んだ。炎に取り囲まれながら、彼女が発する光はますます強くなり、体が少しずつ透けていく

指揮官……ナナミ、今すっごく嬉しいの。指揮官が必死に頑張り続けてくれなかったら、ナナミはもう二度と指揮官に会えなかった……

だから指揮官、ナナミと約束して。生き残って……

掠れた声でナナミの名前を呼んだが、致命傷に近い傷のせいで体が自由に動かない。瞼がどんどん重くなっていく……

重傷を負ってはいるが、まだ理性的な判断はできる。振り返って、人々を引き連れて撤退しようとしたが、傷のせいでどんどん意識がぼやけていく……

勇者様?

再び目を覚ますと、ナナミの姿はなかった。代わりに目の前に立っているのは、優雅で物憂げなきざみ海苔頭の紳士だった

皆は宮殿から逃げ、かつて住んでいた街を出ました。荒野と山を越え、遠くへと旅立ちましたよ

逃亡の途中、彼はこの世界の終末について語ってくれた

昔々――かつて栄華を極めたこの国では、忠実な騎士たちが彼らの民を守っていた

しかし、ドラゴンの襲来が人々の平和な暮らしを打ち砕いた

騎士と民は勇敢に戦ったが、ドラゴンの前ではなす術もなかった

ドラゴンの炎は溶岩と化し、人々が平穏に暮らす故郷を呑み込んだ

この苦難の時――一部の騎士たちが、かつて自らが守っていた民に刃を向けた

迫りくる溶岩に耐えられなくなったのか、あるいは新たな時代を切り開こうとしたのかはわからない

ただ、民がわかっているのは――対峙すべき災難はドラゴンだけでなく、かつて自分たちを守ってくれた騎士だということ

伝説によると、海の遥か向こうにはドラゴンと戦いながらも騎士と民がともに幸せに生きる答えがあるそうです

しかし、その答えを求める者は愛する人に永遠の別れを告げ、長い旅路を彷徨う運命となります

ナナミ様から、伝言を預かっています

全身を巡る血が凍り、心臓が止まりそうな感じがした

あちらです

彼は集落の外の波が打ち寄せる場所を指差した。ナナミは騎士団を率いて船に乗り、遥か彼方を目指して出航していた

遥か彼方を進む船の上で、長い戦いを強いられたナナミは傷を負いながら、ひとり言を呟いた

ナナミが騎士たちを連れて離れれば、みんなが殺し合うこともない

ナナミはこの王国を愛してる……民も、騎士たちも

この海の果てには、きっと希望に満ち溢れる未来がある

ナナミの視界の中に、慌てて岸辺へ駆け込むひとりの姿が入ってきた

大丈夫だよ、指揮官。ナナミは痛くないから。本当に大丈夫……

相手はナナミに向かって何かを叫んでいるようだ。ナナミも身を乗り出して叫び返した

――――――

しかし、少女の言葉は荒れる波の音にかき消された

……遠いもんね、聞こえるわけないか……

彼女には、指揮官が岸で必死に両手を振る姿が、自分に別れを告げているように見えた

うん……バイバイ、指揮官

灯りのない野原、澄み渡った夜空

漆黒の空に無数の星が輝いている。ナナミが航行している海に星が映り、水面を美しく照らしていた

ひとりの子供が母親の服の裾を引っ張り、きらきらと光る水面を指差した

ママ、見て

……………………

――銀河だよ