Story Reader / Affection / リーフ·醒夢·その7 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

リーフ·醒夢·その3

>

小さな灰色のカラスが寄り添ってくれるお陰で、少女はもう孤独ではありませんでした。でも、カラスは彼女の疲れが溜まっていくのを感じていました

彼女が生き物を折り上げる度に指先から光が零れ落ち、その光は新たに生まれた命へと移っていきます

日が経つごとに少女の背中から羽が失われ、その体は透けるほどに薄れ……

……もう紙を繋ぎ合わせるなと言っているの?

違うの……これはただの紙切れじゃないのよ。元はみんな尊い命だったの。ただ傷ついて、こんな姿になっただけ

みんな、苦しんでる。もうこれ以上、泣いてほしくないの

そう言って、彼女はまた紙片を拾い上げ、折り、繋ぎ合わせ、生まれ変わった姿を見守り、笑顔で手を振って見送る……

けれど、なぜか地を渡る風はどんどん強くなり、紙片たちは高い空へ、遠い山々へと吹き飛ばされてしまうのです

少女はよろめきながら立ち上がり、風に身を委ねて歩み出しました

カラスはその無力な姿に耐えられず、高い空へ舞い上がり、遠い山々へ飛び、散り散りになった紙片を咥えて戻ってきました

ありがとう、カラスさん

小さな灰色のカラスにできるのは、ただ黙って彼女に寄り添うことだけ

なぜ、彼女はこんな孤独な世界でひとりぼっちなんだろう?カラスは胸を痛めながら、問い続けました

――『エデンの園の少女·III』――

リーフを部屋に迎え入れ、スイッチを押すと、古びた配線が呻くように鳴り、ランプが僅かに黄昏色の光を絞り出した

不思議な感じがします……あなたが扉を開けてくれた瞬間、グレイレイヴンの休憩室に帰ったみたいでした

ランプも机も椅子も……ここの家具たちは、一度も「おかえり」なんて言ってくれませんでしたから

ふふ……もし「おかえり」以外にも、聞きたい言葉があると言ったらどうしますか?

彼女は麦わら帽子をハンガーにかけ、茶目っ気たっぷりにこちらにウィンクを投げた

いつか、きっと自分から言います

彼女は意味深に笑った。白い頬がランプの灯りに照らされ、そっと赤く色づく

今はまだ秘密です。ここでは「おかえり」と言ってくれれば、それで十分です

……母が亡くなってから、ずっとそう感じていました。父が再婚して、ここで新しい家族と暮らしていましたから

母が私のために雇ってくれたメイドのカーリッピオも出ていきました。だから、家にいるより「秘密基地」にいる方が好きだったんです

父が残してくれた小さな木造の小屋です。子供の頃は、父もよくそこで遊んでいたそうです

どうしてリーフは、子供の頃の自分にとって温もりのない場所に戻ってきたのだろう?

幼い頃に読んだ本を見つけたくて……

これじゃない……これでもない……

それは父の本です。探しているのはそれではなくて……

えっ?そんな本、ありましたか?

も、もう……変だと思ったんです。そんな本、あるわけないって……いえ、変というのも変ですが、その――

……ここの本棚に、そんな本があるわけありません

彼女はふいと顔を横に背け、髪先を指で弄りながら取り繕った

童話の絵本です。よく母が読み聞かせてくれました

不思議なことに、家の中から母の痕跡がなくなっています……庭に置いてあった飛行機も、櫛も本も全部ありません

銀灰色のグライダーのような飛行機です。私が軍に入るまでは、確かに家にあったんですが……全てなくなっています

それはないと思います……父は新しい家庭を持ちましたが、母のことをずっと愛していました。母が遺した物は、大切にしていたんです

でも、倉庫は全部調べましたし……あっ、もしかしたらあそこかも……!

帰宅した時には戸惑った様子を見せていたリーフだったが、自分を外へ連れ出す時には一変し、足取りは軽く、鼻歌まで口ずさんでいた

そして、先ほどまでいた森に戻ってきた

はい。小さい頃に、色んな物をそこに隠していたんです。きっと父は、私がそこへ戻るとわかっていたのでしょう

木々の影が、少女の無邪気な歩みに合わせて揺らめく。どれだけ時が経っても、大人になっても、「秘密基地」はいつだって胸が躍るものだ

けれどそこには、思いも寄らぬ「サプライズ」も待っているかもしれない

??

…………

黒い影が一瞬、視界を横切った

「狙われている」――戦場で鍛えた直感が働く。即座に警戒態勢に入った

……幽霊でしょうか?

浜辺にいた子供たちが教えてくれたでしょう?どうやら、正しい道を進んでいるみたいですね