Story Reader / コラボ / 黒炎廻る迷城 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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結論

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スコアボード上で、黒の「クイーン」「ナイト」のマークが色を失っていった

さて……まだ続けるつもりか?

まさかあの「雑魚」に期待しているのか?

……なぜそこまで勝ちを望むのだ?

当ててやろう。仲間を守ろうという責任感か、私から何かを奪いたいという欲か、あるいは仲間との絆などという綺麗事で純粋培養した良心か……

それとも、単純な競争心か?

残念だが、その目的はひとつも達成できないだろうな

そなたの望みは私を通じて「元の世界」に戻る方法を見つけることであろう?

何の前触れもなく、わけのわからない事態に巻き込まれ、奇妙な場所に……そうだな、「魔王の城」といったところか?

更にそこには邪悪な企みがありそうな敵もいて、世界はまさに滅亡の危機に瀕している

そうして仲間とともに最後のボスの城へとたどり着き、胸の高鳴る冒険をする

自らの卓越した才で逆境を打破し、犠牲になったはずの仲間たちも生き返る。全員で涙ながらに抱き合って喜び、事件は筋書き通りに解決する

万事解決、めでたしめでたし。これがそなたの望む結末か?

困難な問題でも解決方法はあり、たとえ絶望的で悲惨な道のりであっても、最後にはいつもささやかな慰めがもたらされる

似たような経験ばかりするものだから、どんなに無茶な展開でも、結局は合理的な結末に落ち着いていく

それは辻褄の合うロジックではあるが、むしろそれこそ「矛盾」の働きの原理なのだ

そなたの想像では、私の計画を挫けば、全ての矛盾が解消されるのだろう

当たっているか?

残念ながら、そんな物語は信じんな

私と敵対したとて、何の意味もない

最初から、「戻る」ことなど無理だったのだ

おや?その事実に驚いてはいないようだな?

回廊は1枚の「鏡」……

あの「ワーカー」とやらがそう言ったのか?

……最初からじゃない

思いの外、意地が悪いのだな、αよ。もしそなたがもっと早く素直に打ち明けていたら、この騒ぎもすぐに収まっていたやもしれん

「キング」

この回廊の全ては、鏡の中の影にすぎない

「キング」

そなたも、αも、ルシアも、「元の世界」から来た訳ではない……

そなたたちは「始めから」ここにいたのだ

「キング」

回廊は「スピリッツ」を映し出す

「キング」

そなたは、そなた自身の思考、感情、過去、現在、そして未来だ

だが、鏡の中の影は、どうしたって鏡の外へは出られない

この物語には始めから「矛盾」が存在せず、そなたと私の闘争から得られるものなど、何もない

この「ゲーム」は自身にとって何の意味もない、ただの「ゲーム」だ

私が嘘をつくとでも?

では、このゲームが終わったあとに残るのが何かを、一緒に見届けようではないか?

前もって答えを教えておくが――何も起こることはない

ドラゴンを討伐する勇者の心意気はよかったが、挑むべき相手を間違えたな、[player name]よ

何よ、真実を教えてくれなかったって私を責めるつもり?

長い沈黙の後、軽く溜め息をついて、αに愚痴をこぼした

あなたのやりたいことに少しでも影響した?

ふん……

こちらがどう反応するか、全てわかっていたかのようにαは笑った

あなた、間違っているわ、自称「キング」の臆病者さん。「矛盾」は存在している

少なくとも、私とあなたの間にはね

αは「キング」を見つめている。こちらの考えとは無関係に、彼女の態度は始めから終始一貫していた

なぜだ、α

回廊のスピリッツは私たちを「外来者」と呼ぶ

ワーカーが言っていたわ、私たちの存在は回廊の「エラー」だと

回廊という鏡は本来私たちを映す物じゃない。それなら、「媒介」になっている何かがある

ルナの意識……あるいはその破片が、確かに「ここへ来た」んだわ

それはここに留めてはおけない。彼女は戻るべき場所へ戻らなくては

あなたも本当の昇格ネットワークではなく、鏡に映したルナの影でしかないわ

では、その影の向こうに何を見た?αよ

全てを本当に理解しているというのなら、自分がどちらに立つべきかわかるはずだ

……あなたが消したかったのは最初からたったひとり

α

あの黒い服の少女、彼女は何があってもあなたの前に立ちはだかるでしょう

「私」という制御できない要素をゲームから排除したのも、彼女の退場を確実にするため

全ては彼女を仕留めるためだった。だから[player name]に勝敗は無意味だと言ったのよ

もし[player name]が本当に負けたら、「キング」である[player name]に、ルシアと引き換えにしてあの少女を諦めさせたんでしょう

このバカはたとえ知り合って1日も経たない者であっても、簡単に見放さない。そう知っていたからこそ、難局をふたつも作ったのね

これがあなたの言う「お遊び」?見た目を綺麗に取り繕ったただの人殺しね

私の願いは「闘争」のない世界を創造すること。黒服の少女がいる限り争いは生まれる。彼女と私の望む「平和」は、端からかけ離れているのだ

その願いはどこから来たものなの?

まだわからないのか、αよ

そなたと彼女はともに多くを経験し、同じ世界を見てきたではないか

闘争の本質は互いを憎み合うことだ。その結果は互いの破滅をもたらすだけ

そなたと彼女はどちらも悪意の犠牲者、なぜこんな簡単な願いも理解できない?

私の改造したこの世界に留まれば、彼女は永遠に傷つかず、穏やかな温もりを享受できるというのに

姉であるそなたとて、それを見たかろう?

……

[player name]、そなたもだ

何度も地球を救うことにうんざりしてはいまいか?大切な者が絶えず危機に晒されることを望んでいるのか?

私がそなたの理想の未来を約束しよう、過去の重荷を背負う必要もない

真の「楽園」では、永遠に色褪せることのない「幸福」が手に入るのだ

夢でも、演算でもない、知らんぷりのできる可能性でもない

ここに存在する「そなた」だけが経験できる「現実」だ

「キング」は手を差し伸べてくる。本当に和解を求めているかのようだ

彼女は回廊の中で自分だけのエデンを作りたいと願っている。全ての者がここで幸せに暮らせるように、と

スピリッツは彼女の管理下で闘争をやめ、より高度な文明を育めばいい

たったひとつ――

ただひとりの少女を犠牲にするだけだ

何かの代償を払う必要すらない

こんなにもたやすく、すぐ手の届くところに――

……本気か?

そなたは……本当に今の状況を理解しておるのか?

我が提案を拒絶したとて、他に新しい道を探す方法などないのだぞ

私が嘘をつくのではと心配しているのか?私に全てを成し遂げる力があるかを疑っているのか?

やはり……人間は傷つけ、奪うことが骨の髄まで染みついている生き物なのだな……

私が消し去るのはただひとりだけ、そなたから何かを奪うつもりはないというのに

そうだとしても、私の「敵」でいることを選ぶのか?

愚の骨頂だな……

……

何度も言ったでしょう。あなたは人と向き合う勇気のない臆病者

あなたの創造する物の全てに、何の価値もないわ

妹の望みを否定するのか?

ここを離れた彼女に何が待ち受けているか、そなたは知っているはずだ

「あちら」にいるそなたは彼女を守り続けられないが、「ここ」のそなたにならできる

これは選択ではない。放棄したら、そなたたちの存在は本当の無意味になるのだ

……それでも私は、ルナが作り出した牢獄に彼女自身を留まらせる訳にはいかないの

これも選択じゃないわ

……

では、今のそなたたちに何ができるというのだ?

我が「クイーン」はすでに玉座だ、そして「ナイト」が王の前を守っている

あの少女はすでに退場し、私の望みはもう叶った

残されたのは「ポーン」ただひとり、さあ、何ができる?

サイコロの数を示すスコアボードの側で、金色のサイコロが輝き出した

それはブラック★ロックシューターの最後のイベントで得た特殊な報酬だった。任意の駒にサイコロをひとつ追加することができるというものだ

退場した駒に使ったとしても、スタート地点に戻るだけだ

「ビショップ」「ナイト」「クイーン」……誰が復活したところで無意味、ゴールにはたどり着けまい

ゴールする必要はないの

そなた……

わかっているわよ。あなたが私を「ルーク」に選ぶことで、なんとしてもゲームに参加させないようにした理由を

チェスでの「ルーク」は「キング」を守る盾であり剣、そして戦車でもあり、城でもある

必要とあれば、「ルーク」は「キング」と位置を交換してでも、敵の攻撃から王を守る

だけどルナ、いくら私がそうしたくても、ずっと守り続けることはできない

……

待って……

行っちゃ……駄目……

言ったじゃない……あなたはずっと……

私は行くわ、ルナ

金色のサイコロがαの前に舞い降り、スコアボードでずっとグレーアウトしていた「ルーク」が僅かに光り始めた

……

彼女は最後の長い廊下を歩いていた

廊下の先にある大きな扉の向こうはチェスボードのゴールだ

扉の前には白い騎士が静かに立っている

ひび割れた剣には氷の粒が付着し、騎士の周りはまだ溶け切らない氷で覆われていた

フェクダには、それがルシアという少女が残した戦闘の痕跡だとわかっていた

……しばらくぶりですね、フェクダ

一体どういうことなんです……メラク

ここを通す訳にはいきません

まだ……訊きたいことがたくさんあるのに

……ごめんなさい、もう答えることはできないのです

これが……避けられない運命ってやつなの?

運命ではありませんね

いつでも、どこでも。私たちは他人をたやすく傷つける欲望の中に存在しています

これは私たちが予想していた通りの結果

剣を抜きなさい、フェクダ

今回ばかりは、逃げられませんよ

……!