Story Reader / 本編シナリオ / 40 よりよい明日 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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40-21 宿願の反響

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余燼が金色の細かな雨のようにはらはらと舞い落ち、静まり返る廃墟の中で、彼女たちは数多の困難と障害を越え、ついに互いの腕の中で寄り添った

ネイティアは力を込めた腕を震わせながら、痩せ細った体を抱きしめた。少しでも力を緩めれば、ようやく取り戻せたこの奇跡が目の前から消えてしまいそうだった

彼女はマルガリータの冷たい指が自分の背中にぐっと食い込むのを感じた。何年もの間抑え込んできたのであろう、微かで弱々しいすすり泣きを聞いた

ネイ……ティア……?

彼女の肩に顔を埋めるマルガリータの声はくぐもって掠れ、傷ついた雛鳥のように、必死に声を絞り出していた

彼女は恐る恐る顔を上げ、壊れた天井から差し込む光は、その汚れた顔をそっと照らし出した

本当……?本当に……ネイティアなの……?

彼女は手を伸ばし、儚く美しい夢を前にしたかのように震える指先で友達の頬に触れた

そう……私よ

ネイティアは彼女の冷えきった手を握り、同じく冷えきった、だが確かに存在する自分の頬に当てた

私は戻り、アウリスも戻ってきた……カヘティの皆も、それぞれ頑張っているわ……

この街を救いに、あなたを救いに……皆が戻ってきたの

マルガリータの口元が僅かに上がり、青白い頬をネイティアの手の平に擦り寄せた

なぜか、何かが自分の体温を奪っているように感じて、彼女は友達の温もりを求めて更に腕に力を込めた

ネイティアの手……あったかい……

彼女は呟き、目を閉じて更に友人の胸に身を寄せた

あなたに……皆に会いたかった……

ドンッ――

ぐっ……!

ぞっとするような震動が、マルガリータの薄い胸の奥深くから伝わってきた

それは心臓の鼓動ではなく、何か硬いものが体の内側で激しくうごめいたようだった

うっ!

……?

マルガリータは全身を震わせ、痛みに口元を歪めて胸を強く押さえ、苦しげに呻いた

いや……やめて……!

マルガリータ……?

ネイティアの眼に映ったのは、いきなり芽吹くようにマルガリータの体を貫いた光だった

――うわあああ!!!

胸を抉るような悲鳴が喉から迸り、空気を引き裂いた

マルガ――

うっ!

マルガリータの手に突然力がこもり、金鋏のようにネイティアの喉を掴みあげ、声を封じた

――――!!!

灰色の翼が羽ばたき、風が唸りを上げた。マルガリータはネイティアを掴んだまま真っ直ぐ突進し、折れた幹の間へと叩き込んだ。空間が震え、砕けた樹皮が轟音とともに落下する

ゴホッ――!!

……マルガリータ……私よ……!

侵入者……!

歪んだ殺意が再びマルガリータの顔に宿る。彼女の胸の中の金色の「枝芽」がはっきりと見え、呼吸するかのように明滅した。その光の瞬きとともに地の底から低い音が轟く

より濃密で大量の深紅の霧が、抑え込まれていた血のように裂け目から激しく噴き出し、広く静まり返った空間は瞬く間に霧で満ち溢れた

色褪せ、消えかけていた黄金樹の残骸が再び、微かながらも執拗な金色の光を放った。無数の細い蔓が霧の中でうねる恐ろしい音が迸る

ぐっ――!

パニシングが荊のように絡みつき、ネイティアの足下から這い上がる。破裂音とともに、彼女の胸元に焼けつくような激痛が走った

急激に高まったパニシングの侵蝕のせいで、薬剤を注入するための、胸元の淡く青いパーツの表面に無数の亀裂が走っている

誰も……傷つけさせない!!

縮み切ったマルガリータの瞳孔に、ネイティアの苦痛に歪んだ顔が映った。歪んだ視界は、顔を無数の深紅の糸に覆われたネイティアを恐るべき「侵入者」へと変貌させた

ゴホッ……目……覚まして!

消えろ……消えて!!

闇の中から現れた蔓と枝がマルガリータの背後にまとわりつき、死の刃となって蛇のように鎌首を持ち上げた

ネイティアは必死に抗いながら、霞む視界の端に、ふたつのぼやけた人影がこちらへ駆けてくるのを見たような気がした

次の瞬間、蔓の刃が空気を切り裂き、一直線にネイティアへと迫った

――マルガリータ!!

弾丸は唸りを上げて一瞬で蔓を粉砕し、この混乱を打ち破った

――侵入者!!!

マルガリータの怒号とともに廃墟内の霧が再び激しく渦巻き、地面の裂け目から飛び出した棘が人間の腕を貫いた

やめろ!!

同時にアウリスが襲いかかる蔓を弾き飛ばし、棘が体を貫き肌を腐食させるのも構わず、暴走するマルガリータに向かって飛びかかった

伸ばした彼女の腕に、ブレスレットが燦然と輝く

ほとんど同時に、偶然なのか、あるいはそういう運命だったのか――

ネイティアの胸元のパーツがパリンと砕け、長年、ずっと胸の奥深くに隠していた紫色のブレスレットのビーズが飛び出した

ひとつは黄色、ひとつは紫。それらが混乱するマルガリータの視界の中でくるくると舞いながら、まばゆい光を放った

赤霧が怒涛のように襲いかからんとした瞬間、数えきれないほどの過去の声が小川のように、彼女たちの頭の中に静かに流れ込んだ

この時、時間は凝固し、無限に引き伸ばされたかのようだった