Story Reader / 本編シナリオ / 40 よりよい明日 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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40-22 巨匠とマルガリータ

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マルガ……リータ……

――「誕生」の瞬間、世界は彼女をそう呼んだ

暗闇を切り裂き顔に降り注いだ日の光で、目が痛い。少女はぼんやりと目をしばたき、この見知らぬ世界で茫然としていた

ごめんね……もしお母さんがもう少し早く走れていたら……

ゴホッ!

女性は少女の上に身を投げだし、囁きながら抱きしめていた。抱えているものを失われまいと、強く抱きしめていた

彼女は誰?

ポタッ、ポタッ――戸惑う少女の顔に、温かい液体が絶えず流れ落ちている

少女

……?

崩れた瓦礫の間にある1本の鉄筋が女性の脇腹を貫いていた。廃墟に差し込む残照の淡い光が、その鉄筋を冷たく照らし出している

血は雨のようにポタポタと滴り続けていた

あの日……もしお母さんがもう少し早く走れていたら……

私たちがはぐれることはなかったのに……マルガリータ……

……お母さん?

濁った意識が神経を刺激した。少女はこの名前に聞き覚えがないのか、僅かに口を開き、確かめるように訊ねた

お母さんは世界中を探したの……でもあなたを見つけられなかった……

女性はか細く声を震わせながらも話し続けた

……お母さん、私はここにいるよ

…………

女性は少しためらい、僅かに微笑みを浮かべると、両腕にそっと力を込めた

そうね……いい子ね

彼女は少女の長い髪を優しくなでた

この廃墟を出ると、とりとめのない荒廃した世界があなたを待っている……そこでは毎日、さまざまな別れや悲しみが繰り広げられているの……

あなたが出会う貧困や飢餓、戦争は……あなたを悲しませ、途方に暮れさせ、疲れ果てるまで何度でも引き裂くでしょう。あなたは疲れ切って、自分以外の世界に無関心になる……

更に色々な人にも出会うはずよ。彼らは理由もなくあなたを憎み、鋭い棘で傷つけ、裏切る……あなたの純真さを少しずつ削り、不信感を植えつけ、子供の頃の夢を忘れさせる……

あなたを待つ世界はそれほど残酷なの……それでもお母さんは、わがままにも願っているの。あなたは決してそのことに失望しないで、ってね

なぜなら……あなたは私の愛に包まれて生まれてきたからよ

一滴の涙が彼女の目からこぼれ落ち、血と混ざり合って少女の顔を伝った

私はそれを経験し、無償の愛も与えてきた……だから私は信じたことがないの。この世界が最初からこうだったなんてね

私たちは殺戮を止めることができるし、荒れ果てた世界に花を咲かせることもできるのよ

命を生み出すのは、決して偏見や憎しみからではなく、魂の無私の愛によるものなのよ……

母親の声は弱々しくも温かさと慈愛に満ち、少女に大きな勇気を与えた

この世界を勇気を持って愛しなさい、たとえそれが荒野であっても……

他人を勇気を持って愛しなさい、たとえ彼らが心の中に高い壁を築いていても……

……最も勇敢な人になるのよ……世界は……やがて花で満ちると信じて……

あなたを愛しているわ……マルガリータ……

女性は目を閉じ、頭をそっと少女の肩に預けた

……お母さん?

彼女は世界に最後の無私の愛を捧げ、絶息しながらも冷たく凍る廃墟を支え、彼女の腕の中で息づく命を明日へと送り出した

お母さん……

うっ――!

重く遠い記憶が体にのしかかり、マルガリータの眉間に刺すような痛みが走った。時空を超えた思考が集まり、意識の空白を素早く埋めていくのがわかる

……こちらはカヘティ救助隊、侵蝕体の交戦エリアに突入、生存者を発見!

早く!全員手伝え!

彼女は、次々と手が差し伸べられるのを見た。目の前の暗闇がひとつ、またひとつと切り分けられ、金色の陽光が大地に降り注ぐのを感じた

この子は……構造体か?

危険な出血はない……こんな濃度のパニシングの中で、どうして無傷でいられるんだ?

それに体の機種番号も消されている……

私たちは一歩遅かった。あんなに多くの仲間を失ったのに、ここにはひとりも生存者がいない……!

いや……少なくとも、ひとりは救えた

彼は疲れたように笑みを浮かべ、廃墟の中の少女をそっと抱き上げた

たとえひとりだとしても……我々の努力と犠牲は無駄じゃなかった

彼女は、カヘティ人が無私の善意で自分を受け入れてくれたのを見た

君の体内には、出所不明の「枝芽」がある。これはパニシングに対抗し、周りの人々に安らぎを与えるが……一方で君の意識海を蝕み、記憶モジュールを曖昧にしてしまうんだ

君の意思に従い、我々は君の状況を公表せず、普通の人間の学生として他の子供たちと一緒に生活できるようにする

我々は「枝芽」を抑制するために最善を尽くす。白衣の者たちを怖がる必要はない。研究者として、カヘティ研究所は決して君を傷つけないと保証する

カヘティ人は黄金時代の残光を見届けた者たちだ。命を尊ばない技術に対し、私たちが尊敬を示すことはない

彼女は、カヘティ人が無私の善意で自分を尊重してくれたのを見た

この世界に降り立って最初に学んだことは、無私の愛と犠牲だった

だからこそ、彼女もこの世界に無私の愛を返した

えへへ、これはアウリスへのプレゼント。私が編んだんだ~

うん!今日から、私たち友達だから!

これからもよろしくね、ネイティア!

……「枝芽」のキャリアを変えることは、理論的に難しいことではない

これは適応性が非常に高く、構造体の機体と接続すれば、意識海にすぐ寄生して活動を維持できる

しかし……「枝芽」は君の体内に長期間寄生していたため、その出所さえわからない。それを取り出せば、君の体も死んでしまうかもしれない

ええ……わかっています

本当にそうすると決めたのか?マルガリータ

……

もしそれでもっと多くの人を助けられるなら、私は試してみたい

彼女は顔を上げた

消えることよりも……私は家族を忘れることの方が怖いんです

突然、ふたつの見覚えのある色が暗闇の中でピカッと輝き、マルガリータの濁った視界を照らした

……マルガリータ……私よ……!

――マルガリータ!!

……!

ふたつの影が長い時を超え、死の霧を突き抜けてじわじわと集まり、世界の遠くで人の姿となった

ネイティア……アウリス……

彼女たちはきっと多くの苦難と試練を経て、ようやくここに戻り、今、目の前に立っている

巨木は倒れたが、赤霧はいまだに消えない

<size=30>マルガリータは長い年月の洗礼の中でおぼろげに察していた。パニシングによって彼女の機体に災いの種を植えつけられていることに</size>

<size=30>赤霧が彼女を束縛していたのではない。彼女こそが赤霧を支配していたのだ――この機体こそがこの災厄の本当の原因だった</size>

ほんの少し前、赤霧は爆発直前で停滞した

<size=32>彼女はわかっていた。もし彼女が更に制御を失えば、ようやく再会した友人たちを、次の瞬間には彼女の手で殺してしまう</size>

今回の「再会」の裏で、家族がどれだけ大きな犠牲を払ったのかを、彼女は想像できた

絶対に彼女たちを傷つけてはならない。皆の努力を無駄にすることなどできない

どんな代償を払おうとも、彼女は何かをしなければならない

もしここが闇に覆われているのなら、私が最初の光になる……

彼女はあらん限りの力で震えながら立ち上がり、光の方向に腕を伸ばした

――本当にその足を踏み出すつもりか、「黄金樹」よ?

陰鬱に問う声が背後で響き、マルガリータはびくっと足を止めた

この赤霧に満ちた鉄の牢獄で、1秒ごとに千本の鋼の刃が肉をえぐるような痛みの中で……お前はその「枝芽」を頼りに20年以上も耐えてきた

この不死の体はお前の永遠の牢獄だ。私がお前を目覚めさせ、新たな命を与え、この幻の主としたのだ。苦しみもなく、全ての亡者と一体になれるようにと

侵入者を消せ。彼らの尊厳を守るのだ……

なぜ目を覚まそうともがく?夢は心地よかっただろう?

……私は痛みを恐れたことはなかった。この夢は最初から間違っていたのよ

マルガリータは負傷した肩を強く掴んで体の震えを抑えながら、遠くで揺れる微かな光にずっと目を向け続けていた

私は絶対に許さない……あなたが私の体を使って、私の友人や家族を傷つけたことを

ふん、これほど年月が経ったんだ。パニシングはお前の体の隅々まで染み込んでいる。たとえ自分の意識海を取り戻せたとしても、長くは持たないだろう

「枝芽」でどれだけ時間を稼げると?1秒?2秒?お前は何もできない。次の瞬間には目の前で友人たちが苦痛に喘ぎ、絶望して死んでいくのを見つめるしかない

過去の苦しみを思い出してみろ。ままごとのような無邪気な選択をしたせいで、20年もの苦刑を受けねばならなかったことを。それに価値などあったか?

この先お前を待つのは、残酷な世界だけだ。誰もお前の名前を、痛みを、気にかけることなどない

それでもお前は目覚めることを選ぶのか?

私はそんなことのために犠牲になるのを選んだわけじゃない!

彼女は叫び、空虚なノイズを払いのけた

たとえこの災厄が何百万回繰り返されたって、私の答えは絶対に変わらない

彼女はキッと顔を上げ、歩き続けた

カヘティや皆が、こんなにも心から私を愛してくれているから……

暗いぬかるみを歩き続ける彼女の体に、深紅の蔓が毒蛇のように絡みつく。棘を突き刺し、血肉を引き裂き、彼女が自我を取り戻すのを妨げてくる

ネイティアとアウリスが私が戻る日を待っているから……!

たとえ体中が傷だらけになり、血まみれになっても、愛に包まれて成長したこの少女は必死に歩き続けた。待ち続けた長い年月を振り切り、声を上げて叫んだ

私は信じてる――私の小さな命が、やがて小さな苗木となってここに根を張り、自分という痕跡を残すことを

彼女が荊を踏みしめ、鎖を引きちぎると、金色の光が濃霧を切り裂いた

私は信じてる――

辺り一面に光が輝いた瞬間、彼女は高々と振り上げた腕を、自分の灼熱の胸に突き刺した

美しく華やかな明日には、奇跡と花が満ちると!

まばゆい光が長い夜を照らし、煮えたぎるような血をまとわせた「枝芽」が繭を破って飛び出した

マルガリータ

ネイティア……アウリス……

暖かな陽光に包まれ、マルガリータは最後にもう一度、自分の能力を使った

世界は静かに全ての動きを止め、時間はその瞬間に凝固したようだった――彼女が以前、爆発現場でネイティアと教官を守ったように

マルガリータ

皆を守るため、これが私が思いついた最後の方法……

ごめんね……また勝手なことをしちゃったかも……ハハ……

彼女は目の前の静かな友人たちを見つめ、必死に笑顔を作った

マルガリータ

アウリス、ネイティア……もうそんなに背が高くなってたんだ……いつもしっかりご飯を食べているんだね……よかった……

あなたたちにもう一度会えて、本当によかった……

彼女は声を詰まらせ、目にキラキラと涙を浮かべた

マルガリータ

怒らないでね。悲しむのもダメ……私はカヘティの皆と同じ。ただしばらく過去に留まっているだけだから……

振り返ることを覚えれば、必ず再会の瞬間がやってくる……

赤霧が消えるにつれ、マルガリータの瞳の色も次第に褪せていった

マルガリータ

まだ……たくさんたくさん話したいことがある……たくさんたくさん訊きたいことがあるの……

でも……少し疲れちゃった……ちょっとだけ寝るね……

マルガリータ

ふたりともありがとう……奇跡のように私の人生に現れてくれて……

ありがとう……

…………

そよ風が吹き、火花が雪のようにはらはらと舞い落ちた。ほんの一瞬が、まるで1世紀のように長く感じられた

時間が再び流れ始めた瞬間、マルガリータの最後の声が、ひと筋の細い流れのように頭に流れ込んだ

――彼女たちの全ての喜び、悲しみ、記憶が、たった1秒で溢れ出す

マルガリータ!!

彼女たちは手を伸ばし、本能的に駆け寄って友人の腕を支えた

しかし彼女たちの手が感じたのは、硬直しきった冷たい温度だけだった

いや……だめ……止血帯、止血帯を!!

アウリスは慌ててポケットを引き裂き、使えるものを探したが、彼女の応急セットはすでに先の戦いで使い果たされていた

マルガリータ……

――マルガリータ!!

彼女は思わず叫び、両手でマルガリータの胸の傷口を押さえた。熱い涙がこぼれ落ち、血で染まった手にぼたぼたと滴った

アウリス……

横から伸びた手が、そっと彼女の手の上に重ねられた

……

涙が頬を伝うに任せたまま、彼女は黙って首を振った

いやだ……やっと再会できたのに……どうしてよ……?

さっき……あなたも「あれ」を見て、彼女の声を聞いたでしょう?

「ドミニク班」の再会で……マルガリータはきっと……私たちが悲しむ様子なんて見たくないはずよ……

……そうよね?マルガリータ……?

彼女は震える手で、冷たい顔にそっと触れた

彼女が……最後にしたように……

ネイティアは声を詰まらせ、鼻をすすり、唇を震わせた。アウリスを見つめながら、彼女はまた目を潤ませた

――!

感情が堰を切った瞬間、アウリスは両腕を広げ、ネイティアを力いっぱい抱きしめた

…………

雲がようやく去り、まばゆい光が降り注ぐ。それは彼女たちが抱き合いながら泣き崩れるその瞬間を照らし出し、その影を長く引き伸ばした

数え切れない苦難を経て、3人の少女はついに再会した

長い歳月の中で、彼女たちは全力で愛し、戦った

人生を振り返れば、何かが変わったようでも、何も変わっていないようでもあった

だが結末がどうであれ、苦しみの終点にたどり着くその時まで、カヘティの全ての生命は最初から最後まで抗うことをやめなかった

そして今、彼女たちは自らの手で暗雲を払いのけた

霧は晴れた

空を震わすほどの音とともに、「黄金樹」が雪崩のように崩れ、消えていく。人間の指揮官はその近くで空に舞い散る火の光を見ていたが、ふと本能的に異常を感じ取った

崩れ落ちた巨木の間で青い光がチカッと瞬き、すぐに消えた

次の瞬間、ひと筋の鮮烈な光が迸り、爆音とともに正面から襲いかかってきた

身を翻し、転がると同時に即座に武器を構え、嵐の方向へ撃ち込んだ

チッ、お前はいつも私の邪魔をする、[player name]!

ぶ厚い装甲が地面に落下し、砂塵と瓦礫を巻き上げた。昇格者はこちらには一切構わず、ネイティアの方向へ腕を掲げた

炎が噴き上がり始め、鉄の装甲の裂け目の奥から深紅の輝きが滲み出した――

猛火が噴き出し、ジョン·ドゥはパニシングの炎の尾を踏みしめ、勢いよく煙塵の中へ突入した

――「枝芽」は!?

重い拳が轟然と叩きつけられ、地面を抉ったが、その時になって彼は3人の少女の姿が消え、そこに何もないことに気付いた

まだ立てる?

うん、大丈夫

ふたりは間一髪で脇へと飛びのき、マルガリータの体をそっと地面に横たえた

炸裂音を次々と響かせ、弾幕が唸りを上げて昇格者の装甲に降り注ぐ。弾丸は密集するように装甲に深く食い込み、いくつもの致命的な亀裂を走らせた

激痛に耐えながら大股で飛び出し、昇格者とネイティアの間に立ちはだかる

……!

ネイティアははっとマルガリータの方を見た。彼女の手の中に、なおもあの金色の苗が固く握られている

しかし同時に、「枝芽」は目に見えるほどの速さで輝きを失いつつあった

それが私の体の中で育ち、私の意識海を食糧にして、記憶モジュールを破壊するの……だから私はネイティアとアウリスを見分けられない

彼女はマルガリータから、「枝芽」は構造体の意識海を糧にすると聞いていた。だが、それが意識海を離れたなら?

枯れていってる……

これがマルガリータをこんな目に遭わせたんだ!叩き壊してやる!

アウリスは怒りに燃え、「枝芽」を拾い上げ、高く掲げた――

でも、もしこの力を誰かに渡せるなら?パニシングに対抗できるこの小さな苗木が、私より強い人たちの助けになるなら……

「枝芽」が空中で金色に瞬いた瞬間、ネイティアはふと、そこに無数の可能性を垣間見た――何度も自分を救い、起源は不明ながら、人類がパニシングに抗うための鍵となる武器を

それが求める唯一の代価は、滅びゆく定めにあるひとつの器だけだった

もし……今ここに、ボロボロの体がひとつあるとしたら?

彼女はぽつりと呟いた

これは適応性が非常に高く、構造体の機体と接続すれば、意識海にすぐ寄生して活動を維持できる

もし天に届くような大きな木となって育ち、あがいても必死に生きようとする命を守り、あなたを守ることができれば……

彼女はアウリスの腕を掴んだ

……ネイティア?

これはマルガリータが過去から託してくれた火種よ……

影の中でもがき苦しむ、名もなき生命を庇護するために、この世界はまだそれが光を放つことを必要としている

彼女は微笑み、「枝芽」をゆっくりと動かし、刃物のように自らの胸へ向けた

正気か?自分が何をしようとしているのか、わかっているのか!?

昇格者は狼狽して全ての防御を放棄し、こちらからの攻撃などお構いなしに、遠くにいるネイティアへの方へと突っ走った

「枝芽」を寄越せ――ッ!

もし誰かが犠牲になり、この闇を照らす火種を担わねばならないなら……

――私が、その重荷を背負う!

彼女は両手に力を込め、「枝芽」を胸に勢いよく突き刺した

時間が一瞬止まったようだった。だがすぐさま雑多で膨大な情報が奔流のように渦巻き、彼女の意識海に澱む影を押し流し、過去の虚無を次々と埋めていった

途方もない苦痛と充実感が同時に彼女の意識を締め上げ、何度も砕けては再生する。彼女は引き裂かれ、迷いかけたが、思考の彼方のマインドビーコンが頑として何度も引き戻す

彼女は顔を上げ、空一面の火の雨を見つめた。胸の激痛は体を引き裂くようだったが、手の側にあるその温もりはますます熱を帯び、ずっと彼女に寄り添っていた

ネイティア!

ネイティアは知っていた。苦痛の向こう側で、誰かが自分を待っていることを

もう、こんなに大きくなったのね……

マルガリータ

ネイティアははっと覚醒し、巨大な鎌をぐっと握り直すと、気合と殺意を込めて真向から迫る昇格者へ斬りかかった

――ぐあっ!

刃が冷たく煌めき、金属音を響かせながら昇格者が構えた両腕を一刀両断した。ジョン·ドゥは体ごと吹き飛ばされて背後の石壁へめり込み、数mにも及ぶ亀裂を刻み込んだ

ガハッ……あいつを……止めろ!

昇格者が叫ぶと、地面に散らばった鉄屑が電光を放ちながら宙へ浮き上がり、集結して無数の飛翔する刃となって、追撃するネイティアに襲いかかった

ここは私たちに任せて!

アウリスとともに同時に発砲し、弾丸が左右から空を切り裂き、交差する炎となってネイティアに迫る刃を弾き飛ばした

その轟音を背にネイティアは高く跳躍し、鎌を振るって無数の灯火を巻き起こすと、昇格者に向かって落下しながら勢いよく斬り下げた

――!

鎌は天地が揺らぐほどの轟音を響かせ、崩れて燃える塵を伴って、頭上で刃をぎらつかせた

ドォォォォ――ン

チッ……ハハ……

体が砕け散る刹那、彼は顔を上げ、不気味な嘲笑を漏らした