Story Reader / 本編シナリオ / 40 よりよい明日 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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40-20 最後の弾丸

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衝撃音を轟かせながら、結晶質の巨大な枝が折れてゆく。それはまるで死した巨人の四肢のように唸りを上げて落下し、大地を震わせ、天を覆うほどの濃煙を巻き上げた

最後の爆薬の爆発音とともに、天を貫くほど巨大な「黄金樹」が瓦解した。砕けた天蓋から差し込むひと筋の光が次々と、地上に降り注ぐ

衝撃が絶えず全身を襲い、いつ終わるともしれない戦闘の連続で体はすでに限界に達していた。口や鼻、耳には血が滲み続けている

滴るような陽光が暗闇の空間を照らし出した。赤い粒子が舞い散る柳の綿毛のように空中を漂っている

緩やかに消えゆく濃煙の向こうに見えたのは、ひび割れてほぼ崩壊したとはいえ、依然として堂々と屹立する「黄金樹」だった。幹は今この時も赤霧を吐き続けている

グォォオ――!!

凄絶な叫びを上げながら、鋼鉄の巨獣が霧の中から飛び出してきた。本能的に避けようとしたが、その鉄爪に胸の辺りを引き裂かれ、勢いよく壁に叩きつけられた

バキバキッ――足下から数mにわたって亀裂が走り、体のほとんどが壁にめりこんだ。骨が折れる鈍い音が聞こえ、激しい痛みが炸裂する

――!!

血の霧は視界を遮り、侵蝕体は咆哮し続けている。陽光の下で冷たい光を放つその姿は、血と炎に包まれた凶暴な獣のように見えた

侵蝕体は鋭い爪を振り上げて空中に跳び上がると、冷たい光の残像を残しながら、頭上から猛然と飛びかかってきた

引き金を引き、灼熱の弾丸が唸りを上げて飛び出した――

侵蝕体の砕けた眼窩から、煮えたぎるような熱さのオイルがどくどくと流れ出し、血の雨のように顔に降り注ぐ

鉄の爪は頭上の壁に突き刺さり、落下しながら壁に数mほどの傷を刻み、更にこちらの肩をも切り裂いた。爪は血肉を断ち、肩甲骨まで届いている

手甲が割れ、手の平に刺すような痛みが伝わってきた。ほんの少し力を入れただけで、錆びた刀が傷を抉るような痛みが広がり、肩の傷口から血が噴き出す

更に鮮血が噴き出し、激しい痛みで意識が遠のいた。時間は無限に引き伸ばされたかのようで、無意識の中で鋭い爪がメリメリと筋肉と擦れる音さえ聞こえる

ついに鉄の爪がドサッと落下した瞬間、自分も崩れ落ち、地面に倒れ込むように膝をついた

侵蝕体

ギィ――!

消えつつある煙と埃の中から、無数の冷徹な視線が浮かび上がる。その目はまるで獲物を狙う禿鷲のようだった

溢れる血の泡が口と鼻を塞ぎ、体には無数の鉄線が絡みついているかのようだ。体を少しでも動かせば、内臓まで引き裂かれそうなほどだった

だが切迫する目の前の状況に……自身を顧みる余裕などどこにもなかった

胃から湧き上がる熱い液体を、血とともに吐き出した

歯を食いしばり、拳を強く握りしめると、砕けた骨が耳障りな音を立て始めた

――グォォオ!!

血の臭いに敵は興奮し、狩猟本能をむき出しにして爪で土を掻きながら、今にも襲いかかろうとしている

朽ち果てた廃墟の中、傷だらけの人間はゆらりと立ち上がった

なんとか足を踏み出したが、切れた腱のせいで歩行が定まらず、再び地面に倒れ込んだ

気をつけて

その時、温かな力が自分の体を引き寄せた

足下に気をつけて、[player name]

頭を上げると、見覚えのある少女がこちらの手を握って微笑んでいた

朦朧とする意識の中、霧の向こうから更に数多くの人影が浮かび上がり、自分の傍らへと立った

彼らの中には武器を背負った者もいれば、ヘルメットをかぶった者もいた。顔ははっきりと見えないが、どこか見覚えがあるような気がする

ここに眠る労働者たちと兵士たちだ――

侵蝕体

ギギィ――!!

幻影は次第に増え続け、壮大な霧の壁となって押し寄せる侵蝕体からの攻撃を遮った

人々は霧の中に自らが渇望するものを見ることができるの。この土地も同じよ

少女が自分を助け起こした時、涼しい微風が頬をなで、陽光に輝く彼女の銀色の髪がふわりと揺れた

カヘティが私たちを呼んでいる、だから来たの

正確に言うと……あなたやネイティア、そしてまだ会ったことがないけれど、勇敢で優しいたくさんの人々が

彼女は頭を傾け、自分の視線を導くように、侵蝕体に立ち向かう勇敢な幻影たちを見つめた

赤霧は心の中の恐怖を呼び起こすけど、それと同時に光と希望を灯すこともできるの。例えば……今のようにね

なぜか、目の前のマルガリータは、自分の印象よりもずっと成熟して理性的に見えた

彼女はもう一方の手を上げ、崩れかけた中央の金色の幹を指差した

そこで眠っているのは私の体。「黄金樹」の心臓よ

それを壊して「枝芽」を取り出さない限り、赤霧は拡散をやめない

たとえどんなに光り輝く光でも、これほど厚い雲をたったひと筋で突き抜けるのは難しい

マルガリータはこちらの手を更にぎゅっと握りしめた。ぼんやりとだが、手の平の痛みが少しずつ和らいでいくように感じた

でも見て、彼らが来てくれた

彼女は侵蝕体と戦う朦朧とした人影を見つめた。声はとても小さかったが、これはなんら不思議なことではなく、当然なのだと言わんばかりだった

火の光は火の光を引き寄せ、勇気は勇気を呼び覚ます……私たちはこうして歩んできたの。世代から世代へ、前に進み続けた

あなたがここまで歩んでこれたのは、決してひとりではなかったからでしょう?

彼女はうっすらと微笑みながら顔を上げ、青く果てしない空を見上げた

あなたを信じ、あなたについてきた人たち……彼らの光も、ここを照らしているわ

ほら、風が吹いてきた――

気流は目に見えない巨大な手のように戦闘機を支え、赤霧の中に猛然と急降下した

計器盤の横に掛けられた遮断器は透明な障壁を形成し、機体全体を覆うと、鋭い刃のように濃霧を切り裂き、戦闘機の進路を開いた。その遮断器にはステッカーが貼られていた

そこには「飛べ、君こそが祖国の最後の弾だ」「頑張れ、やつらをぶっ飛ばせ」といった激励の言葉が書かれていた。恐らく、過去の地上勤務員たちが書いたものだろう

アウリス

もっと速く……

アウリスは傷の激痛をこらえながら、操縦桿を前に押し下げ、急降下による重力に抗いながら、正面の「黄金樹」へ全速力で向かっていった

アウリス

――来い!化け物!

「黄金樹」の幹が射程に入った瞬間、アウリスは親指を発射ボタンに力強く押し込んだ――

機翼の両側にある大口径の機関砲が同時に火を噴いた。焼夷弾が雨のように降り注ぎ、瞬く間に巨木のむき出しの外殻を燃え上がらせた

同時に、鋭い爆発音とともに赤い信号弾が地上から打ち上がり、木の根元にある破壊された構造部分に突き刺さった

アウリス

――!

アウリスは瞬時にそれがネイティアとグレイレイヴン指揮官からの信号だと気付いた――彼女は操縦桿を押し込んで急降下すると、信号弾がマークした部分へ猛攻を仕掛けた

焼夷弾の軌跡は輝く光の鞭となり、繰り返し「黄金樹」の弱点を打ち据えた。薬莢は暴雨のように排莢口から降り注ぎ、砕けた木の幹とともに大地に散った

外殻が次々と破裂するにつれ、着弾点の金色の光が異様に明るくなった。まるで沸騰する溶岩のように、輝く結晶を絶え間なく飛び散らせている

ドォォォォン――

巨大な金色の「樹皮」が猛然と剥がれ落ち、その下にある明るいオレンジ色をした灼熱の内部構造が露わになる

アウリス

崩れ始めた、次の攻撃で打ち抜ける!

操縦桿を引き上げ、また押し下げ、戦闘機は半円を描いた。アウリスは信号弾でマークされた区域を完全に粉砕するため、最後の急降下の準備を整えた

アウリス

――死ねッ!

ゴォォォォ――

次の瞬間、節くれだった枝が突然バリバリと裂け、狂った触手のように唸りをあげながら空気を裂き、戦闘機を斬りつけた――

アウリス

――くっ!!

機体から歯が浮くような金属が裂ける音が響き、アウリスは頭をキャノピーに激しく打ちつけた。戦闘機は巨大なハンマーで叩かれたように急激に左にロールした

左翼エンジンのオーバーヒートを示す警告灯が点灯し、油圧計の針が急激に赤いエリアにふれた。その瞬間、飛行機はまるで腱を切られた馬のように反応を遅くし、力を失った

天地がぐるぐると回転する中で、アウリスの目に、破片が貫通した機翼の付け根、まさに弾薬供給槽があるのがちらりと見えた

アウリス

立つ……んだ!!

血がアウリスの左目に流れ込む。激しい揺れの中で彼女は歯を食いしばり、必死で操縦桿を後ろに引き、なんとか機体のバランスを保った

突然、再び爆音が響き渡り、巨大な枝が濃煙を引き裂きながら、戦闘機に襲いかかる

アウリスの瞳孔が一気に縮み、氷のような寒気が心臓を締め上げた――もう避けられない

シュッ――

その時、重く圧するような、今までとはまったく違う轟音が遠くから近付き、戦場の喧騒を引き裂いた――

今にも襲いかからんとする巨大な枝と戦闘機の間に、巨大な熱い火球が濃煙と破壊的な衝撃を伴って現れ、轟然と爆発した――

アウリス

――!!

天から降り注ぐ砲弾が木の幹を直撃し、金色の枝が瞬く間に砕けて飛び散った。その激しい衝撃で、アウリスの戦闘機は遠くへ押しやられた

アウリス

これは……?

アウリスは呆然と振り返った。その弾道は戦場の空を越え、霧に包まれた廃墟を越え、カヘティ人が育んだ河岸へと続いていた

激流が流れる川の上で、「スパルタクス」がその枷を断ち切ってこの地へと全速力で進み、最後の戦いを繰り広げている

錆びた甲板の上では、掛け声と労働歌が混ざり合い、絶え間なく響き渡っていた

1号ボイラー!出力は70に達した!持ちこたえられるか?

この程度の熱気で俺たちは死にゃあしない!前に進むんだ、後ろは俺たちに任せろ!

拡声器からの声は熱風に歪み、まるで熱い油に投げ込まれた火花のように、抑圧されていた叫び声を瞬間的に燃え上がらせる

機関チーム!主軸の状態を報告せよ!

いけます!全力で冷却中です。このジイちゃん船、息切れはヒドいけど骨は頑丈だ――俺たちと同じだ!

突然、船尾の蒸気パイプから甲高い破裂音が響き、噴き出した高圧蒸気が瞬く間にそのエリアを覆った

一瞬の迷いもなく、数人の影が死の白い霧に突進していった。彼らは水に浸した毛布や厚い帆布、更には自分の背中で、高圧蒸気が噴き出す裂け目を必死に押さえつけた

肌が高温の金属に触れ「ジュッ」という音を立てたが、人々の怒声にかき消され、焦げた臭いだけが立ち込める。蒸気の咆哮は、その体によって抑え込まれた――

主蒸気隔離弁のバルブが……動いた!緩んだ!

ギリギリという鋭い金属音とともに、巨大な歯車はついに労働者たちの体によって回された――

通路が開いた!主砲への動力が回復した!

主砲チーム!戦闘配置につけ!目標位置は変わらず、方位2-7-0!

リン長官の命令は、まるで戦鼓のように、全員の心に響き渡った

了解!高性能爆弾準備完了!送弾よし!

砲栓室!弾薬装填完了!手動閉鎖完了!

注水機、準備完了!一斉射撃の反動は、俺たちに任せろ!

巨大な主砲がギギギギと回転し、リン長官は指の節が白くなるほど手すりを握りしめ、足下の響きを聞いていた。それは人が奏でる、鉄の獣を目覚めさせる咆哮だ

ドン――震えるような音とともに鋼鉄の衝突音が響き、主砲の配置が完了したことを告げた

最後の瞬間、リン長官は決然と腕を上げ、無数の怒りに満ちた視線を引き連れ、天をもしのぐ巨木に向かって指をさした

「スパルタクス号」――

撃て!!!

艦砲が轟然と炸裂した。空が全天を震わせ、凄惨な悲鳴を上げる

天地は鳴動し、燃え盛る巨大な枝が雪崩のように崩れ、縮んだ。そしてその枝は重なり合う幹の樹皮を引き剥がしながら、バラバラと落ちていく

はぁッ――!!

回転翼が霧を裂き、爆弾の業火がマークした位置を次々と爆撃した

壊れかけた機体がギシギシと不穏な音を立てる。アウリスは叫びながらボタンを押し込み、空から急降下した

何層もの樹皮が弾雨に打たれて剥がれ落ち、ひび割れから漏れる無数の光が炎のような輝きを放っていた

あと少し、あと少し――

カチッ――

次の瞬間、焼夷弾の音が急にやみ、火花が消え失せた

アウリスは愕然とした。計器盤に目を走らせると、弾薬カウンターは「29」で止まっていた。まるで溶接されたかのように、トリガーを引いてもまったく動かない

突然、彼女は窓の外をのぞき、自分の推測を確かめた――先ほどの攻撃が原因で翼が損傷し、弾薬供給槽が詰まってしまっている

*!

エンジンは絶望的な唸りを上げ、冷風が裂け目から流れ込む。アウリスは大声で喚き散らし、全ての針が赤いエリアに落ちた計器盤にガンッと右拳を叩きつけた

推力を失えば上昇は不可能だ。機体は翼が折れた鳥のように制御を失い、地面に向かって急降下していった

その時、視線の端で、アウリスは拳の下にあるメッセージを見つけた――

……

どうして……私はいつもこんなに運が悪いんだろ

彼女は髪をかき上げ、苦笑いを浮かべた

重力に全身の神経を引き裂かれながら、彼女の視線は雲海を越え、1度も離れたことがない大地を見つめた

アウリスはぼんやりと、星々が輝くあの夜に戻ったように感じていた。仲間たちに呼ばれながら彼女は家の扉を開け、遠くの空を仰ぎ見た

彼女の目の前を、無数の蛍のような光が、眩い尾を引きながら飛んでいく。それは火に飛び込む蛾のように、墜ちゆく星々に向かって決然と飛び立っていった

この瞬間、彼女はふと思い出した。遠い昔のある夏の夜、自分もこの広大な星河に触れたことがあったような――

パパ!もっと高く!

おいおい――パパはつま先立ちしてるんだぞ。まだ届かないのか?

うっ……星が遠すぎて、届かない!

パパの身長じゃ届かないみたいね。じゃあ、アウリスが大きくなったら、星を捕まえに行こうか?

お星様!私もパパとママみたいにパイロットになって、星をたくさん集めて、家に持って帰る!お星様をママの頭に乗せて、他の子たちにも分けてあげるんだ~

うーん、でも私が大きくなったら、お星様はもう逃げちゃってるかな?

そんなことないさ、アウリス。パパとママはちゃんと見たんだ、風が吹こうが日が照ろうが、寒い時も暑い時も……

頭を上げれば、星はそこにある。パパとママも、そこにいるよ

やった!絶対に早く大きくなる!そうすれば……

そうすればパパとママと一緒に……星を捕まえられるね

アウリスはその言葉を呟いた。苦しみの中で成長するうちに忘れていた。自分がかつてこの空にそんな約束をしたことを

彼女はいつもこうだった。心の中で最も切望する願いに抗い続けていた。昔は温かい抱擁、今は愛憎が入り混じるあの「家」に

傷は、嘘をつかない……

長い苦難を経て、彼女はついに鏡の前で全ての仮面を脱ぎ捨てた。そして傲然と顔を上げると、心の中に刻まれた血塗れの傷を直視した

あんたたちって、本当にこの世で一番最低な親だよね

でも、あんたたちが星を捕まえるその姿、大好きだよ

ネイティア、あんたは昔、いつもひとりでヒーロー気取りで……

彼女は手首に着けたブレスレットに触れた

今度は、私の番だ

彼女は最後の力を振り絞り、揺れる機体を必死に操縦し、崩壊しつつある木の幹に機首を向けた

よーく見てなよ、あんたたちができることは、私だって同じようにできるんだから!

そう――あんたたちよりもっとうまく!

操縦桿を一気に前に押し込むと、戦闘機は煙の中を一直線に突き進み、崩れ落ちる火の海に突入した

パニシング!このバケモノ!耳をかっぽじって聞きな――

アウリスは操縦桿を折るほどの勢いで操縦し、目を見開いて信号弾の尾を食い入るように見つめながら、声を張り上げ、叫んだ

これがお前たちが踏みにじった星だ!これが、お前たちがあらゆる手で絶滅させようとしたって、どうしても死なない人間だ!

喰らえ――

私たちの最後の弾だッ!!

ドォォォン――!

冷たい風が耳元を掠め、濃煙と血に覆われた視界は、暗くぼんやりとした闇となった

重力が消えた。制御を失い、永遠でありながら短い一瞬の中で、時間はねばりつくように遅くなった

アウリスは空を仰ぎながら落ちていった。目の前に広がる空は幽玄で暗く、寂しい星空のようだった

これで……終わりだ

最後の瞬間、尽きることのない懐かしさが胸にこみ上げ、数多くの顔が彼女の前を通りすぎていく……

しかし、それは心の中に悲しみや哀愁をもたらすことはなく、拡がったのは温かい波紋だった

……さようなら

彼女は幸せそうに、そして誇らしげに微笑みながら、ゆっくりと目を閉じた

バンッ――

――!

いきなり重い一撃が背中に落ちた。しかしその衝撃は思ったよりもずっと軽く、予想していたような胸を引き裂く痛みではなかった

あちこちから力が集まり始め、彼女の背中を力強く支え、本来ならばバラバラになるはずの体をゆっくりと持ち上げていった

これは……

彼女は下を見た

透明で微かな光を放つ無数の手が幾重にも重なり合い、螺旋状の長い階段となって、彼女の落下する方向を阻んでいた

それらの手は、武骨で傷だらけのものもあれば、泥に覆われながらも細くしっかりとしたものもあった。 それらは無数の男女、労働者、農夫、兵士たちの手だった……

<size=31>それらの手は、かつて生きていた無数の命が、そして人々を救うために犠牲となった全ての戦士たちが差し伸ばしたものだった</size>

最後の瞬間、赤霧は徐々に退き、無数の金色の腕が集まった。それらの腕はまるで命を得たかのように

アウリスの落ちる体を次々と支え、頑強にその死を拒んだ

ここに眠る高潔な魂は、時空をいくつも越え、最後に両手を高々と上げて、子孫たちの空を支えた

<size=30>たとえ打ち砕かれても、彼らは微塵も引かずここに立ち続けた</size>

<size=30>この世に留まるその最後の執念を血肉に変え、自らを犠牲にして死神の手から命の光を奪い返した</size>

<size=30>たとえ歴史が何百万回と繰り返そうとも、彼らはやはり同じ選択をし、この時代の苦難に向かって、何百万回も逆らい続ける――</size>

<size=30>なぜなら、彼らはかつて輝かしい黄金時代をその目で見たからだ</size>

彼らは信じ続けることを選んだ。たとえ今日満身創痍であったとしても、命が続く限り

必ずや時間を打ち負かし、理想的で奇跡のような世界を再建できると

生命を愛し、生命の偉大さを理解しているからこそ

彼らはより多くの人々の希望と幸福のため、自分が愛する命と幸福を手放すことを選んだのだ――

<size=32>そして彼ら――歴史の中に何千何百万も存在する「彼ら」は、まさにこうした純粋で平凡な、生命を愛する普通の人々だった</size>

<size=32>星河の下で、たとえ夜がどれほど苦しく長くても、それでも火種は暗闇に向かって突き進み、奇跡を灯す決意を持ち続ける</size>

<size=40>今、火種は受け継がれた</size>

<size=40>次は、子供たちが新たな炎を灯す番だ</size>

マルガリータ

――アウリス!

耳元で聞き慣れた声が響く。アウリスはハッと我に返り、反射的にその声のする方へ腕を伸ばした

――誰かが落下していく彼女の体を掴んだ

顔を上げたアウリスの目に、穴の縁に立ち、彼女の腕をしっかりと握っているグレイレイヴン指揮官の姿が映った

[player name]……何でここに?

……誰か?

その人間のすぐ側で、あの見覚えのある笑顔が一瞬現れ、その笑顔は霞の中へとまぎれ、静かに消えていった

マルガリータ

[player name]、アウリス

前に走り続けるのよ。ここは私たちに任せて

ネイティアが……彼女があなたたちの助けを必要としているわ