Story Reader / 本編シナリオ / 39 冬冠の枯死 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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39-7 氷皇三公

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不完全な機体とはいえ、ロゼッタは一歩も引けを取らなかった。ドゥロワが放った弾丸を斬撃で次々と切り裂き、更に機体の高速飛行を使って一気に間合いを詰める

向こうで戦っている皆のためにも、あなたはここで倒れてもらうわ、ドゥロワ!

……くっ!

ついにロゼッタの剣がドゥロワの機体を貫き、ドゥロワは体勢を崩して背後の廃墟へと叩きつけられた

ゲホッ……バイオニッククジラたちがここに戻ってきさえすれば……

やっぱり、あのクジラたちはあなたが「呼び」戻したのね

ドゥロワは再び立ち上がり、こちらへ大量の弾幕を浴びせた

白々しい、さっきお前たちもあの装置を見たくせに!

ドゥロワの機体に隠された発射口から次々とミサイルが飛び出すと同時に、ドゥロワ自身もロゼッタに向かって猛然と突進する

うん!関節を!

光剣が耳をつんざく金属音とともにドゥロワの巨大な爪を精確に斬りつけた。だがドゥロワは倒れない。機体底部から瞬時にスパイク状の機構が飛び出し、反動で体勢を立て直す

くっ……まさか実験品に噛みつかれるとはね!

実験品よ!なぜ私の機体がインブルリアに似ているか、知りたいんでしょう!

インブルリアの計画が失敗したあと、膨大な実験を経た私たちが安定した改造法を発見したからよ!

その通り。あの粛清で捕らえられた者たちは全員、成功への足がかりとして実験データになった。そしてそのデータこそが、私たち氷皇三公の改造基盤となったのよ

返す返すも、データがもっと多ければ……連合のために志願する者がもっと実験に参加していれば、私たちの改造は更に強大なものになったのに!

攻防は続き、ロゼッタは次第に機体の特性を掴み、回避とレーザーでの反撃が噛み合い始めていた。一方、力任せだけのドゥロワの機体の表面には、過負荷の赤い光が滲み始める

人の命をなんだと思ってる?ラボから生きて出られなかった人たちがどれだけいるか!

航路連合の利益の前では、そんなもの、ただ意味のない数字よ。マスターユニットや亜人型の研究が成功すれば、全ての犠牲は栄誉に変わる!

今こそ最大の好機だ。この機を逃さず、ロゼッタは全ジェットスラスターを起動し、ドゥロワの防御用スパイクと激突した。状況は力と力のぶつかり合いへと一変した

そんなのは、私たちの望んだ栄誉じゃない!誰もそんなものを求めてない!

航路連合に生きる者としてするべきことはね、ひとつだけなの。いかに自分が連合の発展に貢献するか――それだけよ

そんな傲慢な考えを押しつけたせいで、極地の皆は今こんなにも……

これは生みの苦しみにすぎないのよ、守林人。歴史は勝者がしたためるもの。航路連合が世界を統合したその日に、過去の失敗は全て「崇高な犠牲」に変わるの

死んでいった多くの同志のため、お前が今すべきは、私と戦うことではなく……本来の使命を果たすこと!

私の使命は……

あなたたちの計画を打ち砕くことよ、ドゥロワ!

なっ……!

力の均衡が崩れた瞬間にロゼッタは一気に跳び上がり、ドゥロワの攻撃を躱した。そして光剣を投げつけてドゥロワの巨大な爪を地面に釘づけにすると、もう一方の光剣で――

ドゥロワの人型の部分を貫いた

やはり……時間には勝てないのね

ロゼッタとの意識リンクを通じて、何かがドゥロワの体から流れ出すのを感じた。彼女の命は、すでに尽きようとしている

ヒョードル、また私が間違ってると言うんでしょう?

……

ロゼッタも目を瞠ったが、中枢を破壊されたドゥロワはもう無反応だった。機体内部の赤い光が次第に弱くなり、やがてドゥロワの最後の吐息とともに、全ての動作が停止した

はぁ……

戦いの後に湧き上がる勝利の喜びはほとんどなく、むしろ新たな未知が頭の中を埋め尽くしていた。だが、今は立ち止まっている場合ではない

――斥候兵、状況の報告を。回線も繋いで!

複数の小隊がすでに敵を殲滅。これよりこの地点に臨時拠点を設置します。それから、回線も開通しました!

守林人の大部隊は各地の支援に出払っていたが、情報伝達と緊急対応のために一個小隊が残されていた

通信が繋がったのを確認し、ロゼッタは大きく息を吸い込んだ

氷皇三公のひとり、ドゥロワを討ち取った。彼女が支配していた沿岸一帯はすでに、私たちの部隊が掌握している

この攻防戦は私たち――連合軍の勝利よ!

戦場に響く勝鬨は、いつだって人々を奮い立たせる。努力が報われたその瞬間、たとえ吹雪の中であっても兵士たちの血は滾り、情熱が迸るのだ

一瞬の間をおいて、街のあちこちから歓声が沸き起こった

パルマ隊長、向こうで戦果が出たみたいだよ

じゃあ、お次は僕たちの番!

歓声はバロメッツが戦っている戦場にも届いた。この時、ルメンツェフはバロメッツに食らいついており、奇襲に失敗したフェドールは航路連合部隊に包囲されていた

ドゥロワがやられたようだな、フェドール

そのようだ……

戦況自体はまだ激しい拮抗状態にあったが、戦略上での第1ラウンドの勝敗はすでに決していた

なら、ここから形勢逆転するまでよ!

何だって?

戦場の流れに惑わされることなく、ルメンツェフは再びノアンへ襲いかかった

しかしノアンはすでに、彼の奇襲戦法を読み切っている。エナジーブレードを構え、真正面からその一撃を受け止めた

ふっ!

やれやれ、さすがは北極航路連合の戦士だ。対戦車砲を引っ張り出してビルを吹き飛ばすとはな。やるじゃないか

なーに、たまたま手元にあっただけさ。誰が空中庭園の指揮官に指一本触れさせるもんか。全弾まとめてぶち込んでやれ!

おう!

フェドールは十分に距離を詰めていたものの、奇襲を察知したアントノフが間一髪でその足場を吹き飛ばし、バランスを崩されてしまった

当然、フェドールの銃から放たれた弾丸も軌道を外れてしまう

対応の早さは褒めてやるが……こんなもので三公を止められると思うのは驕りだ。ルメンツェフ、目標はあの空中庭園の指揮官だ!

ちょうど体も温まっていい塩梅だ!

指揮系統を叩くことは、いつの時代も戦争を最速で終わらせる手段だ。連合軍がそう考えたように、三公も同じ考えだった

指示を受けたルメンツェフは突撃態勢を取った。体の表層がチャージによって、緑から赤へとジワジワ変わり始めている――

もう十分だ!撤退!

何だと?

突撃しようとしたその時、シーモンが喉も裂けよとばかりに叫んだ。その声が戦場全域に響き渡ると、連合軍の兵士たちは即座に動き出し、全員が軍用手榴弾を取り出した

これは……

手榴弾が地面に叩きつけられると同時に炸裂する。しかし、飛び散ったのは爆薬の火花ではなく、複数の物質が混ざった煙霧だった

このまま逃がすと思うか?突撃!

ルメンツェフは煙の中へ突進した。だが人の悲鳴は一切しない。聞こえるのはコンクリートと合成鋼が砕け散る音だけ――突進した先は無人の建物で、完全な空振りだった

フェドールは宙に漂う煙霧の粒子を指でそっとつまむと、目を細め、口元に不敵な笑みを浮かべた

一本取られたな