Story Reader / 本編シナリオ / 38 トゥルーインファレンス / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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38-7 1羽のスズメが殺された

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最後の1体の暴走機械が倒れたと同時に、ドールベアは小さく息を吐き、呼吸を整えながら自分の機体の変化を確認しようとした

無数のデータの奔流が突如として押し寄せ、ドールベアの意識海を襲ってくる

視覚モジュールが、これまで1度も見たことのない映像を映し出した

ドールベア?

プロトコルのクラッキング完了

アシモフ?

ジャック開始

耳元で聞き覚えのある声が響く……この声は、大切な誰か?

あの人たちは?

盲目の追随者であり、非現実の崇拝者であり、空虚な夢の実行者よ

これは過去のどこかで交わした会話?

機体をアップグレードしたこともお兄ちゃんに教えてくれないのか?よく似合ってるじゃないか

エサと見ればホイホイ食いつく、頭がナマズの馬鹿ばかりね

最後の映像は、友人が自分に光刃を振るう姿だった

ああ、ここで起こった嘲笑だったのね

複雑に錯綜するノイズと幻影が次第に消え、闇の中から周囲の景色が浮かび上がってきた

…………

暴走機械の残骸がまだ四方に散らばっている中を、ムーアがこちらへ歩いてくる

君は……

大丈夫

体はすでに見慣れた機体に戻っている。あの、データ設計段階のはずの新機体の姿ではない……

……?

(「データ設計段階のはずの新機体」、どうしてそんな概念が、こんなに自然に頭に浮かぶの?)

モワノは?

この先の路地にいる

ドールベアは頷き、路地に向かって歩いていった

辺りは静まり返り、物音ひとつしない

もうノルマンを捕まえたのだろうか?それとも、ふたりは更に遠くへ走り去った?

う……

意識海に再び微かな痛みが走った

仕掛けられていた病原体の後遺症?

幻影と幻聴がまた現れそうだ。それは耳元に囁きかけてくる

「熊を1体捧げよ」と

もう路地はすぐそこだ

「神に祈る火種を持ち帰れ」と、それは言う

それ

虚妄に浸って何が悪い?

本当に進むのか?

……何を言ってるの?

角を曲がり、目の前に現れた光景は……

残骸――複数の暴走機械の残骸だった。壁にはおぞましい爪痕やエネルギー武器が命中した痕跡。焦げた臭いが漂う中、広告パネルの明かりが霧を透かし、路地を照らしていた

モワノは俯いてその中央に静かに立っていた。ノルマンが血だまりの中に横たわっている

乱れて垂れかかる淡い紫の髪が、モワノの表情を覆い隠していた

モワノの手は循環液で濡れていた。ノルマンのものだろう

ドールベア

モワノ……

モワノ

……間に合わなかったわ

暴走機械が速すぎて……

ドールベアの聴覚センサーに問題があるのか、モワノの声は感情の起伏がなく、遥か遠くから響いてくるようだった

モワノ

私は先に戻るから、周りを確認しておいて

そう言って彼女は路地の奥へ歩き出し、すぐにその姿は見えなくなった

残されたのは、ドールベアと息絶えたノルマンだけだ

またもや赤い循環液、そしてクリスティーナと同じ傷跡。胸を貫き、コアを突き破る正確かつ鋭い一撃

バイオニックスキンと内部の機械パーツが焼けた跡が、無音ながら耳を刺すように嘲笑っている

ドールベア

何を見ているの……ノルマン?