グロウメイズ街
エリシオン
グロウメイズ街の人通りはあまり多くない。そのお陰で、ドールベアとモワノは僅か3時間でノルマンの居場所を突き止めることができた
3人は通りに沿って、ある倉庫を目指して歩いていた
ここがノルマンの住処か
……ちょっと疑問なんだが
どうして倉庫なんだ?クリスティーナも倉庫を持っていたよな
触手があって水の魔法を使う超自然的な生物は、こういう環境が好きなんじゃない?
……失言だった
ムーアは肩を落として、申し訳なさそうに答えた
ドールベアは明らかに、まったく気にしていないわけではなさそうだった
話している間に、3人は倉庫の前に到着していた
モワノがふと足を止めた
彼女に気付かれた
モワノは顔を上げ、隅にある監視カメラを見上げた。カメラは静かに3人を見つめている
ノックしてみる
その必要はないわ
モワノが手を伸ばしてドアロックに触れた。ピピッという音が2回鳴り、電子ロックが自動的に解除された
彼女は倉庫のドアを右側に開けようとしたが、開かない
チッ、物理ロックもあるのね
ふたりが何か言うのを待たず、モワノは右足に力を込めると体をぐるっと回転させ、そのままドアロックに蹴りを入れた
ちょっと!
バンッ――
ドアロックが破壊された
入るわよ
そう言いながらモワノは中に突進した
私たちはただ質問をしに来ただけ……
彼女……ちょっと短気すぎないか?
どうかしらね
ふたりはモワノの後を追って倉庫へ駆け込んだ
倉庫の内装は非常に簡素、というより内装などないといえる。必要最低限の生活用品以外は何もなかった
倉庫の奥から「バン」とドアの音が聞こえた。ノルマンは逃げたようだ
本当に全てが順調だこと!
ドールベアは嫌味を吐き捨てるとモワノに続き、奥の裏口から外へ走り出した人物の背中を追った
裏口を出た瞬間、ドールベアは何かがおかしいことに気付いた
うっ……!
視覚モジュールが一瞬でぼやけ、赤、黄、紫の各色のブロックが目の前で点滅し続ける。神経信号の伝達にも問題が発生し、手足のコントロールが乱れ始めた
あっという間にドールベアは地面に倒れ込んだ
その音を聞いたモワノが振り返る
?!
何があったんだ?
ムーアが遅れてやって来た
構造体を狙う病原体攻撃よ
モワノは手を伸ばし、ドールベアの病原体除去を助けた。30秒後、ドールベアの目の焦点が再び合い始めた
大丈夫?
うん、干渉の方が受傷するよりキツイ。目的は私たちの足止めよね
追うわよ
