Story Reader / 本編シナリオ / 35 ビヨンド·ザ·シー / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

35-15 彼女の別れ

>

暴雨が降り続いていた

機体機能を極限に稼働させたことで、ビアンカは周囲にうっすらと白光を放っている。彼女の至るところで、赤潮が徐々に消滅していった

さようなら、セン

ひとつひとつの別れの言葉は、死へと近付く弔いの鐘音のようなものだ

「逆転」装置が星のような光を放つと、最後の悲鳴とともに、巨大な怪物は暴雨の中で絶命した

セン……

昔から、あなたはいつもそう

不愛想で、口では「粛清部隊はただ空中庭園の刃物にすぎない」と言っておきながら、いつだって十分な調査の時間を空けてくれていた

まったく気にしていないように見せながら、いつだって最も危険な任務を引き受けていた

今度だって……同じようにしたのですね?

ビアンカは巨大な怪物の隣で片膝を地につきながら、怪物のまだ閉じられていない目をじっと見つめていた

最後の最後まで、私たちを守ろうとした

はい、彼女はずっと赤潮の中のパニシングと、海の底で誕生した異合生物を呑み込んでいました……

命尽きるまで

……いいえ、彼女自身の選択です

ビアンカは小さくため息をつき、立ち上がって「逆転」装置を最大出力にした

「逆転」装置の働きで、怪物の巨大な体が徐々に無数のパニシングへと化し、空気に溶けるようにして消えていった

さようなら、セン

彼女は「命」の出自を選べなかった。だが、「死」の帰路を選ぶことはできた

パニシングがだんだん分解されていくにつれて、1枚の光沢のある欠片が、センの残りの躯体からぽろりとこぼれ落ちた

これは……

……フォン·ネガットの言葉を信じないこと、センを殺して、異重合の欠片を持っていって

少女の顔が、少しずつ死んだ「怪物」と一体化していく

……私が誰なのか知る必要はないし、重要じゃない

彼女はここを去りながら……一体何を思っているんだろう

暴雨は波を打ち砕き、祭壇を呑み込んだ

……異重合の欠片?

ビアンカは少し困惑していたが、反応する間もなく、パニシングをまとった光沢のある欠片が補機に呑み込まれた

はい

女性構造体が振り向くと、純白なウィンプルに焼けた跡があった

彼女はビアンカだが、もう元の「ビアンカ」ではない

彼女は他者に押しつけられたレッテルの束縛から解放され、彼女だけのシンボルに融合した

……行きましょう、指揮官