Story Reader / 本編シナリオ / 34 フォーサイト·ドリーム / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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34-6 時を盗む人形

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221保全エリア

空中庭園所属物流倉庫

12:30

駐機場に降りると、背後の騒がしいエンジンは一瞬静まったあと、また目覚めたように轟音を上げ始めた

アイラとともに輸送機のガラス越しにパイロットに手を振り、目的地の方向へ向き直った

輸送機が巻き上げる突風の中で端末をタップしたが、イヤーマイクの中の声は轟音に掻き消された

あなたたちの目の前にあるこの保管エリアが、今のところ特定できる最小範囲。機体が保全エリアに移されたのは、もう1週間前よ

倉庫内の貨物の搬入搬出の流れは、空中庭園には報告されないの。今の状況を見る限り、現地の管理端末に記録されているかすら怪しいわね

了解、じゃあここからは捜索パートってことね?

――必要なら、どの倉庫にお宝があるか教えてあげてもいいわよ?この保全エリアで一番多いのは、芸術関連の禁制品だから

ううん、私とアイラさんの名前は消して、指揮官の名前だけ書いておくわ

3人で雑談をする内に、倉庫の前にやってきた

徐々に近付く巨大な扉を見つめる内に、ふと僅かな不安が心をよぎった

ちょっと待ってね……

あなたたちを中心とした47台の監視カメラは全て正常に作動中よ。プログラム上の改竄や偽装もないわ

雰囲気の変化を察したアイラが首をかしげた

指揮官、何か気になることでも見付けた?

私はそうは思わないけど。謎解きゲームのセオリーで言えば、エンディングにたどり着くまでには、キーアイテムがいくつも必要でしょ?

探索はまだ始まったばかりよ。倉庫にある機体だって、伏線のひとつにすぎないかもしれないわ。それに、イシュマエルの状況もまだわからないし

指揮官が言ってるのは……うまい話にはウラがあるって意味じゃない?

アイラに軽く頷き、本能的に指を銃のホルスターへと滑らせる

……

確かにそうね。唯一行き詰っていた時も、自分たちで解決したわけじゃなかった

今思えば、検索結果はずっとゼロだったのに、突然エラーメッセージと一緒に結果が出てきたのは、どう考えても不自然ね

何かに気付いたのか、イヤーマイク越しのドールベアの声は真剣なトーンに変わった

私たちは、誰かのゲームに踏み込んだってわけね

アイラと目を見交わし、無言で警戒を強めながらともに倉庫へと足を踏み入れた