ホルスト市
郊外別荘
14:30
スペクトル線幅:2
アイリスは自分の部屋へ戻った。机の上には、先ほど郵便受けから取り出した手紙が広げられている
彼女は便箋を取り出し、無造作に重ねると、筆を取り、上品なロイヤルブルーのインクで文字を綴り始めた
<i><color=#0066CC><size=35>――ボンが『地球議定書』に署名すれば、旅は無事に終点へとたどり着きます</size></color></i>
<i><color=#0066CC><size=34>――音符はその瞬間、五線譜の一番下へと滑り落ち、そして5つに分けられた主旋律はちょうどいい節目を迎えます</size></color></i>
<i><color=#0066CC><size=35>——無限ループが一連の影響をもたらすのは避けられません。手紙での情報伝達は恐らくできなくなるでしょう</size></color></i>
<i><color=#0066CC><size=35>旅の間に、残された代替手段の実現性を必ず検証します</size></color></i>
<i><color=#0066CC><size=35>——……</size></color></i>
青い流れはここで滞り、アイリスは一瞬ためらったあと、感情をこめた一文で締めくくった
<i><color=#0066CC><size=32>——切り取るべき節目はすぐ目の前。失敗は許されません</size></color></i>
インクに息を吹きかけて乾かし、封筒に収め、封蝋を押す。その封筒を脇に置いて、アイリスは長々と息を吐いた
その後、新しい便箋を1枚取り出し、そっと机の上へ広げ、体を背もたれに預けた
表情は徐々に和らぎ、先ほどのルアのことを話した時の厳しさも、他人に淡々と対応するような態度も消えていった
視線は紙とペンを突き抜け、部屋を突き抜け、空の向こうへと伸びていった。アイリスは小さく笑った
<i><color=#0066CC><size=35>——親愛なる[player name]へ</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>——お元気ですか?あなたに会いたいです</size></color><i>
アイリスは優雅に筆を走らせ、流れるような筆跡で文字を綴った。部屋の中の空気まで柔らかくなったようだった
しばらくするとペンの走る音が止まり、手紙が完成した。アイリスは文字を見つめ、何度も何度も読み返した
繰り返し読めば、相手に耳元で小さく返事を囁いてもらえる気がした
だがアイリスはその行動をやめなければと自制した。束の間の安らぎに浸れば、終わりの見えない旅路がより耐えがたくなるだけだ
彼女はチェロを手にした。弦の上で弓が舞い始める
音楽に合わせ、手紙は不思議な力に導かれるように丸まっていく。やがて、それは種のように芽吹き、だんだんと花のような形へと変化していった
淡く青い光が紙の花を包み込み、最後の音が鳴り終わった瞬間、それは最初から存在しなかったかのように、儚く散った
別荘では、ダンデラがジョナサンの隣に座り、広げられた文献資料を前に、辛抱強く内容を説明していた
過去の歴史の影響で、ボンの人々は『地球議定書』のいくつかの条例に対して敏感なんです
その代表例が「北地事件」です。これはボン全体の社会風潮や国民認識に深い影響を与えました。もし協定の署名を推し進めるなら、この件についてはできるだけ……
……
バンッ――
ジョナサン?
文字を目で追ってはいたものの、心ここにあらずだったジョナサンは、本を勢いよく閉じた。その音に、ダンデラは思わず動きを止めた
私の説明が退屈すぎました?この部分に興味がないなら、先に別の話を……
冷たい法律の条文よりは、あなたの話し方や声の方がずっと聞き心地はいい。だが……
ジョナサンは落ち着いた様子で、先ほどダンデラが言いかけた言葉の続きを補った
……申し訳ないが、確かに、その内容に興味はありません
ダンデラ、法廷に立ったことはありますか?
……いいえ。私は弁護士ではありませんから。自分の任務を事前に知っていたので、法律文書を付け焼き刃で勉強しただけの物書きです
通常、必ず敗訴する裁判において、弁護士が取る手段を知っていますか?
ジョナサンの言葉の意図を読み取り、ダンデラは眉をひそめたが、自分は彼を責める立場にないことに、ふと気付いた
彼女はただ静かに問いかけた。それは質問というより、むしろ懇願のようだった
……逃げるつもりですか?
…………いいえ、過去の案件では、私は常に立ち向かってきました
私の勝訴率は100%ではなく、80%にすら満たない。でも数字を気にしたことは一度もない。ただ、一度引き受けた案件は、例外なく最後まで向き合ってきました
なぜなら、自分が法廷にいること自体が、案件には必要なことだと信じているからです。しかし、この件は違う。私は弁護士ではないし、法廷のどんな役割にも当てはまらない
ジョナサンは、自分の破れた服の裾に視線を向けた。バッカス劇場から逃げる際に破れたものだ
私は、イノ·ルアを判決間際まで追い詰めるための証拠材料……そのひとつにすぎません
イノ·ルアは私の死を望んでいる。私の死で連合政府の今後の方針が変わるからだ。アイリスは私が生きることを望んでいる。私がいれば、ボンは『地球議定書』に署名するからだ
確かに私は重要な存在かもしれない。だが、彼女たちが気にしているのは、私自身ではなく、今回の署名協定が成立するかどうかだ
アイリスはそんな人じゃありません。彼女は結果だけを重視するような人間じゃない。そうじゃなきゃ……私を助けることもなかったはずです
……そうかもしれませんね。確かにあなたが述べるアイリス像の方が、彼女の話し方や態度に合っています
アイリスの過去に何があったのかは知りませんが、先ほどの彼女の態度には……とても見覚えがあります
それは、どういう……
彼女を見ていると、案件の最終判決を目前にしている弁護士を思い出します。法廷で戦う材料を揃えるのに手一杯で、他のことに気を配る余裕がない
…………
それを知って、何か変わられますか?
この裁判の全貌は把握しきれそうにない。しかし、もし敗訴すれば被告はおろか、原告も弁護士も、証拠も、果ては法廷すら崩壊することになる
あなたたちの話から導き出せた結論はひとつです。イノ·ルアが従う法は、破壊と殺戮のふたつだけ。彼女の法典にはそのふたつしか存在していません
歴史を掻き乱し、時間を混乱させて……彼女は一体何をしようとしているんです?私はその答えを推測もできないし、あなたたちも教えることはできない
こんな、どこから見ても情報が不透明で、極度に危険な裁判に私が関わるわけにはいきません
ここであなたが逃げたら……ボンは……
ダンデラは唇をぐっと噛んだ。その目の中には切実な哀願の気持ちが表れている
「ボンが平和維持活動の対象に組み込まれるかもしれない」と告げた時、アイリスの目は一瞬、ダンデラに向いた。それに気付き、ジョナサンは目の前の命の恩人の正体を悟った
ダンデラはボンの人間だ。だからアイリスに救われたあとも、自らこの戦いに関わろうとしている
だが、ジョナサンは違う。彼は「弁護士」である前に、「一般人」だ
……申し訳ありません
彼は本をダンデラの膝の上に置いて立ち上がると、携帯電話を取り出し、ダイヤルを押しながら静かに詫びた
救ってもらったことには、本当に感謝しています。今後、法律相談や弁護が必要なら、いつでも私を頼ってください。無料で引き受けます
もし金銭が必要なら、口座を教えてください。私の法律事務所の運転資金の半分を、無償で即時送金しましょう
ですが、今は……
ピッ――
軽い電子音とともに、電話が繋がった
ジョナサンはダンデラに向かって、「もう行きます」と、口の動きだけで伝えた
こちらは連合政府法律事務所です。オペレーターK144が対応いたします。ご用件をどうぞ
連合政府法律事務所の登録弁護士、ジョナサンです。個人的な事情で現在事務所から割り当てられた業務を継続できず、委託中止の手続きを進めていただきたい
少々お待ちください……
ジョナサン様、法律事務所コンサルタントでお間違いありませんか?
システムによると、現在あなたはボンの法律条文研究プロジェクトに参加中で、1週間後には法律事務所代表団とともにボンへ向かう予定です
この委託のキャンセルをご希望ということでよろしいでしょうか?
ジョナサンは携帯電話を握ったまま、ダンデラと視線を交わした。しばらくして、彼は静かに小さく頷いた
そうです
承知しました。ジョナサン様の委託申請を処理しました。今後の手続きは、ご自身でいくつかの操作が必要となりますので、後ほど、改めてご連絡いたします
ありがとうございます。お手間をおかけしました
ジョナサンは電話を切ると、もうダンデラの目を見ようとはせず、俯いて服を整えた
足音が聞こえ、いつの間にかアイリスがリビングに戻ってきていた。先ほどまで露わになっていた傷跡は、すでに適切に処置されている
話し合いはあまりうまくいかなかったようですね
責めるなら私を、利己的な人間なものでしてね……私を助けたことを後悔されなければいいのですが
相手の身分や理由にかかわらず、誰かを救うことは、決して後悔すべきことではありません
ですが、逃げても問題は解決しません。あなたがこの仕事の責任者である限り、ルアはあなたを見逃してはくれないでしょう
連合政府からの委託はもう放棄しました。災難を他人に押しつけるのは、道徳的に正しいことではありませんが……
袖口を整えていたジョナサンの手が一瞬止まった
ですが、私だって無実なんですから
まだ私の言った意味をおわかりではないのですね。もし、全ての出来事が易々と変えられるのなら、ルアと私はここでこうして膠着していません
アイリスは、ジョナサンが持っている携帯電話に視線を向けた
世界には元の軌道を維持しようとする力があります。それを修正したり破壊しようとすれば、必ず代償を伴います
アイリスの言葉の正しさを証明するように、ジョナサンの携帯電話がタイミングよく鳴った
一体どうしたんだ、ジョナサン。何かトラブルにでも巻き込まれたのか?
……
それが、バッカス劇場で……
ジョナサンは顔を上げ、ふたりの様子をちらりと窺った
武装組織の襲撃に遭ったんです。彼らは我々の想像を超える強い意志で、ボンの『地球議定書』への署名を阻止しようとしています
……ジョナサン、君の苦境は理解している。だが、誰かがやらねばならないこともある
『地球議定書』は大規模なプロジェクトだ。連合政府の法律事務所に、もう代わりの選択肢は残されていない。実を言うと、私ももうすでに飛行機に乗っているところだ
君に大義だの何だのを押しつけるつもりはないが……世界の情勢は変わりつつある。1度巻き込まれたら、そう簡単には抜け出せないんだ
君も、連合政府名義でずっと活動してきた、平和維持活動にも関わったはずだろう?それでもまだ彼らのやり方がわかっていなかったのか?
ジョナサンの顔がぐっと歪んだ
もう1度よく考えてみてくれ、ジョナサン。他の誰かのためじゃなく、自分のためにも
ご教示くださりありがとうございます……先生……
ジョナサンは電話を切った
まだ気持ちの整理もつかない内に、携帯電話が再び光った。画面には連合政府と署名された通知が表示されている
一字一字に配慮がなされ、一語一語に圧がこめられている
その様子を見たアイリスは、ため息をついた。しかし、口を開こうとした時、扉をノックする音が聞こえた
……どなたですか?
こんにちは、ここは6番地で間違いありませんか?家主のアイリスさん宛ての手紙が届いています
郵便配達員から封筒を受け取った。馴染みのある手触りに、アイリスの胸に一抹の不安がよぎった
紙に記された青いインクの筆跡は相変わらず優雅だったが、行間からは書き手の焦りがはっきりと伝わってくる
<i><color=#0066CC><size=35>——鏡海ツインタワーでの多国間貿易協定への調印が、正体不明の襲撃により延期</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>——現場で金属の巨人が目撃され、専門家は秘密裏に開発された軍事兵器だと推測している</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>——トゥーカ独立近衛軍がマントン海岸線で展開していた平和維持活動は大きな抵抗に直面</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>——正体不明の襲撃者が戦場に介入し、戦況は混乱を極めている</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=32>——連合政府第709機械旅団、『地球議定書』の「ルレ及び連合政府に関する協同安全防衛条例」に基づき、ルレ雨林に駐留</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>しかし、駐留過程で正体不明の武装組織の襲撃に遭い、甚大な被害を被る。いまだ犯人組織からの声明はなし</size></color><i>
<i><color=#0066CC><size=35>——ルアは切断分岐点が迫っていることを察知し、脱出しようと、各分岐点への攻撃を開始した</size></color><i>
アイリス?どうしたんですか、顔色が悪いみたいですが……
彼女が抜け穴を見つけ……反撃に出ています……
誰が……?
ダンデラがそう言った直後、地面がゆらっと揺れ、アイリスは猛然と振り向いた。機械の瞳孔が収縮しながら稼働し、即座に遠方の光景を捉える
イノ·ルアが来ました
空中庭園
区画情報センターサーバールーム
7:00
スペクトル線幅:0
翌日、端末で受信したショートメッセージに従い、宿舎があるエリアの区画情報センターへ向かった
普段は賑わっているこの建物も、「一時営業休止」の掲示が掛けられ、静まり返っていた。時折、何人か訪れる者はいるものの、看板を見ては舌打ちして立ち去っていく
おはよう、指揮官
アイラと並んで歩き、警告用のバリケードを避けながら建物の中へ入った
昨晩、指揮官の手紙を鑑識課が3度も徹底的に検査したけど、結果はゼロよ
唯一残された手がかりのあの絵も、捜査の方向性を示すにはあまりにも漠然としててね。だから、彼らは情報技術の専門家を介入させることにしたの
大がかりなのは専門家じゃなくて、処理方法の方よ……
うまく思考がまとまっていないのか、アイラは目をパチパチさせながら端末を取り出した。画面を数回タップして、表示された文章をそのまま読み上げる
「我々はアイラさんの絵を、芸術、医学、司法鑑定の3つのカテゴリーに基づいて、異なる概念情報に抽象化しました」
「それらの概念情報を具体的なキーワード群に変換したのち、空中庭園全体で検索し、該当する内容を探します」
あったら私が欲しいわよ……
ピッ――
アイラが言い終わる前に端末が鳴り、タップする前に自動で接続された
簡単に言うと、絵をデータ化して、あなたたちが違和感を覚えた理由を突き止めるってこと。ついでに、他にも同じ反応を示す人がいるかどうかも調べるわ
検索範囲が広すぎて、フィルタリングの内容も膨大な上に細かいの。だから、しばらくここをオフィスとして使うことにしたわ。後……
通信の向こうの声が一瞬、途切れた。ドールベアがマイクかモニターに近付いたのか、呼吸音がはっきりと聞こえる
あなたたち、来るなら朝食くらい持っていこうかって気遣いはないの!?
センターのサーバールームには壁一面に巨大なディスプレイが砦のように並んでいた。大量のデータが滝のように流れ落ち、スピーカーから規則的な電子音が低く鳴り続けている
操作台の前の大きな椅子に、小柄な生き物が丸まって座っていた。両膝を抱え、目は虚ろだ
構造体ではあるが、まるで徹夜の残業続きで疲れ果てた人間のようだ
大丈夫じゃない
ドールベアは白目をむいた。徹夜は日常茶飯事だったが、単調なデータを長時間ひたすら見続けるのは、宿舎で夜通し『くまくま大乱闘』をプレイするよりずっと労力がいる
ぶっきらぼうな返答に応えるように、自分の端末が鳴った
さくらんぼ味電解液ふたつ、さくらんぼ味ミルクティーひとつ、以上の注文を承りました。ただいま商品をご準備しております
その方がプロっぽいでしょ?それにストレス発散にもなるしね!
結論としては、あなたたちに起こったことに何らかの問題がある可能性が高いっていうことだけ。現在の情報だけでは一貫した推論を導き出すには不十分だわ
ドールベアは両手で操作台を素早く叩き、シンプルなインターフェースを表示させた。10数枚のファイルが次々とポップアップし、ディスプレイ上に積み重なっていく
まず、絵については空中庭園の内部ネットワーク上に流通する情報を検索しても、類似度60%以上の画像は見つからなかったわ。それ以下の類似度も精査したけど、そこは省略する
絵の調査が難航している最大の理由は、顔が描かれていないからよ。通常なら画像検索で最も一致しやすい特徴でしょ?つまり、最も重要なデータが欠落している
だって、まだどう描くか決めてなかったんだもの……
……
ドールベアは返事をする代わりにカーソルで画面に「OK」と書いた
それから、間接的なアンケートと直接的な聞き取り調査のふたつの方法で、66種の業種、4つの年齢層の280人以上に、この絵の印象を訊いてみた
このフィルタリング方法で得られた結果が、昨夜唯一の収穫よ
一部の人々は、この絵に対して普通の印象を超えた反応を示したの。その反応は目立たないし、言葉も曖昧だったけど、サンプル数が一定ラインを超えた時、はっきりと見えたわ
そこで、反応を示した人々をふたつのグループに分けたの
そう言いながらドールベアはチラリとアイラを見た
ひとつは芸術協会に所属しているという明確な特徴があるグループ。代表的な人物はアレン、そして一部の芸術協会のメンバーたちよ
もう一方のグループは、ほとんど共通点が見つからなかったの。身分や経済力、生活圏、短期間の行動履歴……どの点にも顕著な共通性は見られなかった
でも、私が昨日ひと晩かけて調べ上げた結果……すごく面白いことがわかったわ
ドールベアはデータ一覧を呼び出した。情報のラベルは「チケット購入記録」となっている
このグループの人たちは、過去に一度公演が中止され、最近再演されたオペラ、『アルカディア·グレート·エスケープ』を観ていたの。しかもほぼ全員が初日の観客だった
この結果はすでにアシモフに報告してあるわ。彼がリソースを調整して、この対象者たちへ大規模なヒアリング調査を行う予定よ
言葉だけじゃなくて、行動で示してよね。あなたの端末のメモ機能に記録して、毎日リマインドするように設定しておいたから
さっきもう更新したわ。今期のバージョンは私が担当だから、まだ情報技術センターには同期してないけどね{226|153|170}
ところで……この画面に映っているのって、絵を検出するソフト?
アイラが隣で軽口を叩き合っていたふたりの会話を遮った
そうよ、それがどうかした?類似度60%以下の画像をもう一度確認したい?
違うの。さっき、類似度の高い検索結果は出なかったって言ってなかった?
じゃあ、これは何……?
アイラが指差した画面に、3人の視線が集まった
画面の下部にあるエラーメッセージと自動修復を繰り返していた赤いバーの上に、目を引く検索結果が現れていた
<size=38>>></size>
<size=38>>>画像一致率:<color=#ff4e4eff>95%</color></size>
<size=38>>>一致モジュールタグ:<color=#ff4e4eff>人物イメージ</color></size>
<size=38>>>一致対象:<color=#ff4e4eff>予備機体-幻奏</color></size>
<size=38>>>詳細データ:<color=#ff4e4eff>登録情報なし</color></size>
?
ドールベアは眉をひそめた。画面上にたちまち大量のウィンドウがポップアップする
すぐに、更なる詳しい情報が現れた
<size=38>>></size>
<size=38>>>検索対象:<color=#ff4e4eff>予備機体幻奏</color></size>
<size=38>>>詳細データ:<color=#ff4e4eff>登録情報なし</color></size>
<size=38>>>現在位置:<color=#ff4e4eff>221保全エリア倉庫</color></size>
<size=38>>>機体登録プロセス:<color=#ff4e4eff>廃棄予定(180:03:31)</color></size>
<size=38>>>プロセス登録者:<color=#ff4e4eff>監察院-イシュマエル</color></size>
……どうやら、問題の鍵を掴んだようね
――臨時通信チャンネル、確立完了。作戦任務は科学理事会からの派遣として登録したわ。遠隔で221保全エリアの監視カメラを操作できるようにする
イシュマエルがあなたたちより先に221保全エリアに着かないように、科学理事会名義で、彼女の地上行きの申請をブロックする――私も今から直接彼女のところへ行く
3人は手短に行動の手順と確実性を確認すると、戦闘装備の準備をする間もなく、慌ただしく空中庭園を後にした