Story Reader / 本編シナリオ / 33 光追う錆夜 / Story
混沌とした痛みが意識海を満たしていた
意識……海……脳ではない
赤い螺旋の塔が視界の先に現れては崩れ去る。空間は砕け、再び重なり合い、赤い光が低い空を突き破る
┛┛起き……て┛┛┛┛
┛┛┛┛指┛揮官……┛
┛┛起……┛┛
鋭い茨が白い鳥を抱きしめる
無数の見覚えのある影が、時間と空間の果てでもがいている
彼女は裂け目の中で死戦を続け、死に向かって生きている
彼らは……
鋭い結晶が連なり、血のように赤い霧が立ち込めていた。屈折する鏡面それぞれに、彼らの「姿」が映し出されている
それなら、自分は……
誰なんだ？
奇妙な黒い影が必死に自分を追いかけてくる。徐々に体は溶け、見知らぬ階段をたどり、頂上へと登り続ける……
自分は誰だ？
さあ、<phonetic=真実>鏡</phonetic>の前で顔を上げて、教えて――
教えてください、グレイレイヴン指揮官。あなたは誰？
自分は……
グレイレイヴン指揮官だ
自分は海底で溺れ死んだ幽霊
自分は新たに生まれた「混沌」、カイウス
自分は[player name]
自分は……「自分」だ
意識の奥深くで何かが砕け散ったようだった。混沌とした意識海が、冷たい水で洗い流されるように澄み渡り、意識は完全に覚醒した
いくつもの手が人間の指揮官の手を握り、複雑に絡み合う情報の渦から引きずり出した
異重合塔を利用して、人間の指揮官は一時的に視線を、カイウスという名の異合生物に固定した
見渡す限り何もない空虚なフロアに「自分」は立っている。周囲には白い霧が立ち込め、螺旋階段が果てしなく天穹へと続いている
フォン·ネガットがその一方に倒れていた
どうやら、ここに長居はしない方がよさそうだ
少し迷ったものの、フロアへ戻って気を失っている代行者を引っ張り起こした。どうあれ、彼は塔の中で自分の助けになる
彼がすでに自分に疑念を抱いていたとしても、彼には他の選択肢がない
フロアの縁は、虚無の深淵だった
階段の周囲には、大小さまざまなフロアの上に、無数の扉がそびえ立っている
ここは一体どこなのだろう？自分が異重合塔に入った時は、こんな区域があるとは気付かなかった……
どの方向に進むべきか、あるいはイシュマエルを呼ぶべきかと迷っていると、背後の道が突然崩れ始めた――
考える暇もなく、昏睡状態の代行者を引きずりながら進み、一番近くの扉を開けて中へ飛び込んだ――
一瞬、その扉に見覚えのある紋章が刻まれているのを見た。目を覚ましたフォン·ネガットが、何か言っている……
四翼のホワイトレイヴンが翼を広げる
