こんにちは
再起動されたSniper-PK43の視界いっぱいに、初めてなのにどこかで見たような顔が映っていた
鎧を纏った少女は、楽しそうに彼の機体に積もった雪を払い落としている
こんにちは!
指揮官!紹介するね!スナっちだよ!
私はSniper-PK43、オートマチック狙撃砲です。私の名前は「スナっち」ではありません……
不思議だ、こんな会話をしたことがあるような気がする……
りょーかい、スナッち!
……話を聞いていましたか?変ですね、なんだかこのセリフにも聞き覚えが……
再度ローカルデータを検索してみたが、この灰色の髪の少女の記録はどこにも見当たらなかった
侵蝕症状はないようですね。お訊ねしますが――
設定された台詞を言い終わる前に、視覚モジュールが敏感に動き、別の生命信号を捉えた――
……人間ですか
ここには長い間、人間は現れなかった
あなたは何者ですか?
目の前のオートマチック狙撃砲は困惑したように赤い光を点滅させた。視覚モジュールのカメラが急速に動く微かな電流音が聞こえる
グレイレイヴン……指揮官?
聞き覚えがあるような名前だが、停止期間が長すぎたのか、彼はすぐに関連情報を検索できなかった
ナナミの友人……?
ナナミとは誰ですか?
ひっどーい、ナナミのことを覚えてないの!
まあいいや。天上天下唯我独尊のナナミ様だから、寛大な心で許しちゃう!さあ、出発するよ。準備して!
Sniper-PK43は沈黙しながら、思わず台座の下の加熱装置を起動していた。それはまるで、これまで何度も繰り返してきた行動のようだった
その機体をポンポンと軽く叩き、ナナミは楽しそうに武器を掲げた
わーい!お次は指揮官とナナミとスナっちの大冒険、はじまりはじまりぃ~!
冬の日に舞う銀色の水鳥は、「希望」という名の種を振り撒くように柔らかな鳴き声を上げた