Story Reader / 本編シナリオ / 23 稲妻走る冷枷 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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23-16 賭けの契約

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数時間前、グレイレイヴンの臨時キャンプ――

解析できました。暗号化されたアドレスです

リーの解析で、長ったらしい秘密協定も簡単な数字と文字の羅列になった

指揮官、このアドレスに繋げますか?

リーは頷き、連絡申請を送った。しばらく通信音が鳴ったあと画面が現れたが、映像はなく音声だけが流れ出た

アシモフの声

結論からいえば、ルシアに突然……

ああ、アシモフさんの声ですね。彼らは今、ルシアの話をしています

通信のノイズが激しいが、かろうじて声の主がわかる

指揮官、このまま聞きますか?

ニコラの声

……確認する価値はあると思います

スピーカーの音声が終わり、リーは通信を切った。3人とも黙り込み、聞いた事実を消化しようとした

途中で声紋と環境音の確認をしました。偽造ではないことは確かです……

指揮官、彼らが話していたことは事実なんですか?

では指揮官、今は何をすべきでしょう?

この情報の出処は不明です。恐らく彼らもこの会話をあなたに聞かれるとは思っていなかったはずです

直接司令部に問い合わせれば、かえって彼らは情報源は何なのかを探ろうとするでしょう

そもそも、この情報に離反を煽る意図があったのかもしれませんし

指揮官?確実に、情報の出所を聞かれますが?

わかりました。ではまず端末の盗聴記録を削除します

目を開けた瞬間、αを強烈な震動が襲った。全ての指示装置が、まるで死ぬ寸前の野獣の悲鳴のような警報を狂ったように鳴らしている

ガラスの向こう、先ほどまでルシアが立っていた場所に見たことのない人物が立っていた

キーン!

投げつけた短刀はガラスを突き破ったが、紫色の日傘にはね返された

誰?

スレンダーな女性は日傘を閉じ、短刀を拾いあげて隣の机にそっと置いた

彼女はハットを取り、しなを作ってαに一礼した

前回はあんな形でお会いすることになってしまい、重ねてお詫びします

初めまして、昇格者様……それとも代行者様と呼ぶべきでしょうか?

私はリリス、誠意を見せに来ました

リリスはハットを被り直し、誠実そうな笑顔を浮かべた

(あの時の声と同じ……)

ウィンターキャッスルの扉を開けたのはあなた?

ウィンターキャッスルに入る前、αはカメラが不自然な動きやフォーカスをしていることに気付き、敵の攻撃に備えて身構えていた

私が助けなくても、あなたは中に入る方法を見つけられたでしょうね

でも時間の節約になったのならよかったです

「完璧な嘘とは、真実にひとつだけ嘘を紛れ込ませること……」

そう言っていた昇格者がここにいたなら、おそらく目の前の構造体とはすぐに打ち解けただろう

彼女をどこにやったの?

彼女は意識海過負荷のせいで気絶しています。私がウィンターキャッスルの外の安全な場所に送っておきました

彼女が心配でしょう?でも他の人がいると邪魔なので

邪魔?

その時、ウィンターキャッスル全体を揺るがすほどの爆発が起きた

私じゃないですよ、あれは黒野です。彼らはあの多用途戦闘機に逃げこめなかったので、私が彼らの自爆プログラムを作動させてあげました

あとちょっとで止められたんですけど

あなたの目的は?

昇格者の後輩として、先輩の勇姿を見てみたいと思うのは当たり前では?

力を見せていただけません?私は昇格者になってからずっとあなたに憧れていたんです

趣味じゃないわ。あなたもさっさとご主人様の足下に戻って、尻尾でも振ってなさいよ

あの方は力なんて見せてくれませんし。それにクーデターだとか思われたら大変でしょう?

それにあなただってあの構造体の居場所を知りたいのでは?

今すぐ彼女の居場所を言って、今すぐ立ち去って

それは無理ですね。ようやく私が手に入れたチャンスなんですから

周囲が次々と爆発し始めたが、ふたりともに焦る素振りをまったく見せていない

足下の地面が崩れ、αとリリスはどちらも崩落に巻き込まれて落下していった

目の前の壁を斬りつけたαの目の前に現れたのは、溶岩だった

ここは科学者たちが失敗作を処理する場所

リリスの声が聞こえた。彼女はむき出しの鉄骨の上に座り、目の前の光景を楽しそうに見ている

もちろん、彼ら自身も失敗作としてあの中に投げ込まれたんですけど

皮肉だと思いません?進化を手に入れたと思った人たちが、結局は選別の対象になるなんて

どうしてそんなことを知っているの?

あなたと同じ、過去の因縁とでもいいましょうか……

そう言って彼女は微笑んだ

私たちの仲間になってくれませんか?「ウィンター計画被害者の会」とか作っちゃいましょうよ

興味ない。彼女の居場所を教えなさい

どれだけ私から答えをもぎ取れるかは、戦い次第ってところでしょうね