Story Reader / 本編シナリオ / 23 稲妻走る冷枷 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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23-16 賭けの契約

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爆発音に金属のぶつかる音が混じりあう。育成ポッドが落下し、溶岩の中に飲み込まれた

そうそう、これですこれ!私たちとここのどっちが先に燃え尽きるか、賭けてみません?

それまでに勝負はつくわ

日傘に叩きつけた刀から火花が散る

(太刀筋は軽い……)

リリスがそう思った時、αの刀がくるくると宙に舞っているのが見えた

その瞬間、リリスはいきなり右の脇腹をαに蹴りつけられた

なっ……

蹴り飛ばされてリリスはやっと状況を理解した。αはいつの間にか刀を捨てていた。最初の斬撃はただのフェイントだ

私のことを武器がないと戦えないやつと思ってるのなら、大間違いよ

宙を旋回していた刀が再びαの手に戻った。リリスはその隙にパニシングで機体を修復しようとした。だが……

パニシングを制御できない……これが代行者の力?

フォン·ネガットから一時的に権限を付与されているはずだが、何らかの干渉を受けている。リリスは侵蝕されることはないが、パニシング濃度の調整すらできなくなった

代行者……あなたはそう思ってるの

近寄ってきたαを見ながら、リリスは日傘を支えに体を起こした

リリス

負けです。これがあの空中庭園の構造体の居場所

すかさずリリスは降参というように両手を挙げる姿勢を取った。日傘がパタンと地面に倒れる

αの目の前に映像が現れた。ルシアが木によりかかって座っている。肩の上にはすでに雪が積もっている

α

さっきまでの生意気さはどこよ?

リリス

どんなにクレイジーなギャンブラーでも、勝ち目がなければディーラーを挑発するようなことはしないものです

もうすぐここは崩壊するし、空中庭園の人もじきに来るでしょう。このまま戦い続ければ私たちは自滅するだけです

まるで先ほどまでの狂気は演技だったかのように、リリスは両手を挙げたまま訴えた

彼女がパチンと指を鳴らすと、メモリーがリリスの袖から手に滑り落ちてきた。リリスはそのメモリーをαの方へピンと指で弾き飛ばした

リリス

まだ中央データベースに行ってませんよね?そのメモリー内にある資料が必要かと思って

α

どうしてこれを?

リリス

ええっと、フォン·ネガットさんに任された任務は、あなたを私たちの仲間に入れることでした

でもあなた、全然興味ないじゃないですか。私たちの誠意が足りないのかなと

もしあなたがこれに満足したなら、ちょっと録音させてくれません?あの方に報告をしなくちゃいけないんです

リリスはそう言って本当にポケットからレコーダーを取り出した

αは相手にもせず、身を翻して去って行った

薄情な人……

リリスがレコーダーのボタンを押すと、録音マイクの先からマジックのように花がポンと現れた

サプライズも用意してたのに

彼女はぶつぶつ言いながら花びらを1枚ちぎると地面に投げ捨てた

するとその花から強烈な腐食性のある液体が流れ出し、リフトの鉄が溶け始めた

こうすれば、他の人が駆けつける前に、ここは完全に溶岩に飲み込まれるでしょう

私も早く逃げないと、「ワンワン」たちに見つかっちゃいますね

腐蝕液と金属の反応で発生した真っ白な霧の中から、リリスの姿が消えた