Story Reader / 本編シナリオ / 20 絶海の異途 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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20-3 緋色の暗流

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確かなのか?

まだ地下3階は直接確認する前ですし、西館の調査もまだですが、今までの証拠で証明は十分かと思われます

昇格者は地下水路を使って、博物館最下層の大型水槽に大量の赤潮を貯め込んでいるかと

どうやら、赤潮を海に流入させる計画をまだ諦めていないようだな

ふん、デマを広めた目的はそれだったのか。地下水路から海へ赤潮を随時引き込んでも効率が悪い上、我々の衛星に気づかれてしまうからな

だが一定の規模を貯め込んでから放流すれば、我々が気づいたところで、すぐには対処できない

シミュレーション結果が出た

結論からいう。最大貯水量で計算すると、ため込んだ赤潮がひと度放出されれば、2カ月以内に地球上全ての海洋生態系が深刻な汚染被害を受ける

前回のように宇宙兵器で叩き潰すか?

無理だ。赤潮は地表に晒されていない。大量の海水と強度の高い建築に守られている

宇宙兵器は上層の建物を貫通することで、ほとんどのエネルギーを失ってしまう。そうなると海水の層を蒸発させることすらできない

これほどの赤潮は、1日や2日で蓄積できるものではない。うまく隠していたものだ

我々がこの場所に注目したのも、彼らが「赤潮の天啓」のメンバーを海洋博物館に誘導しているからだ。なぜ彼らは自ら計画が漏れるようなことをする?

おそらく……何かの実験のためではないかと

実験?

はい。彼らはなんらかの方法で、赤潮から異合生物への進化速度をアップさせるのに成功したと思われます

失踪した小隊の隊員は、赤潮に融解されて間もないはずなのに、すでに異合生物の一部と化していました

なんだと?

ニコラとハセンだけでなく、感情の起伏がほとんどないアシモフですら、驚いた顔になった

昇格者が関与しているのは間違いないな。アシモフ、それを変数に入れてもう一度シミュレーションを

ただ今進行中……完了。最新の進化速度を計算に入れた。このままだと全地球の海洋が汚染される前に、今より127倍以上の異合生物が地表拠点に出現する

それだけは食い止めねばならない。月から救出したΩ武器を使用する

月面基地の修理が終わるまで、我々が使えるΩ武器はあれが最後だ

切り札こそ、肝心な時に使うものだ。地下3階だけなら、大数は必要ないだろう

だが、あなたにはΩ武器を直接動かす権限がない。議会の中にはΩ武器で月に残存するパニシングを完全に駆除し、月面基地再建を主張する者が多くいる

彼らが脅威を感じるほどに、この状況を裏づける十分な証拠がない限り、彼らが認めると思えない

少なくとも、詳細な映像資料が必要だろう

粛清部隊は通信終了後、引き続き地下3階の探索に向かいます。撮った映像はすぐアップロードします

……

ハセンは黙り込んだ。彼には見えない画面の外では、粛清部隊のメンバーが黙々と装備を点検し、下層へ向かう準備をしている

自身が抜擢した隊長に向かって、ようやくハセンはうなずいてみせた

Ω武器の輸送メンバーを選抜しておく。君たちもくれぐれも気をつけてくれ

はい

お役人の御託は終わりだ。さっさと出発しよう

いえ、ここに部隊の数人を残し、難民を守らなければなりません

ビアンカの話に、多くの粛清部隊隊員の顔が険しくなった

今は地下3階の状況確認が最優先のはずです。戦力不足のせいで映像を送信できなかったら、より大きな犠牲が出るだけです

でも無辜の人たちを危険な場所に置いて行けません。それに撤退時の出口を確保するためにも、一部の隊員を残しておく必要があります

はぁ?彼らは昇格者のデマにのせられて勝手にここまで来た人なんですよ。それが無辜な人々ですか?

粛清部隊の隊員は冷ややかに笑った

だが、出口を確保する話には賛成です。他に意見は?

隊員たちは互いに目を見合わせた。その後、数名の隊員が黙々とチームの後方に移動した

ここは任せました

データを見る限り、粛清部隊は防衛任務の経験がほとんどない。何度も防衛経験があるルシアがいれば、確実にリスクを減らせるだろう

わかりました。指揮官はビアンカと調査に向かわれますか?

承知いたしました、どうかお気をつけて

私は粛清部隊と一緒に難民と皆の退路を守ります

ルシアと拳を合わせ、急ぎ足で先に出発した部隊の後を追った