Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story
ちぇっ……本当にしつこいんだから。少しくらい大目に見てくれたっていいのに
無理に決まっている
視界をよぎる赤い光を目敏く見つけたらしいリーに、すんでのところでかばわれる
他人より自分のことを心配したら？
ラミアが射出した異重合結晶体が、先ほどまで立っていた場所に突き刺さる。リーは皆の安全を確認すると、歪んだ空間に向けて銃弾を立て続けに3発放った
あーもう！！
同時に、石壁の上にラミアの姿が現れた。黒く変色した右手をかばいながら、リーを睨みつけている。ラミアがああも怒りをあらわにするのは初めてのことだ
本当の目的はこれでしょう？
リーの指先に、真っ白なキューブが浮かび上がる。ロランから手に入れた華胥の暗号キーだ
リーは暗号キーをルシアに渡すと、銃口をラミアに向けた
うえぇ……これだから勘の鋭いやつは嫌なんだよね……
華胥の暗号キーを昇格者の手に戻すわけにはいきませんので
昇格者？……ぷぷ、なーんも知らないんだね。いいのかなぁ、そんなんで
どういう意味だ？
うーん……これ以上話すと怒られちゃう。あなたたちなんかより、あの人の方がおっかないし
どんだけ気をつけても無駄だよ。私は絶対に欲しい物を手に入れる。それに、次はそう簡単に見つけられないから
ラミアは威嚇するように舌を出すと、空にかき消えた
ラミアが生成した橋は崩れ始め、橋を構成していた結晶体が赤潮の奔流に落下する。どうやら戦闘中に巧みに集噛体側へ誘導されてしまったようだ
……退路が断たれたか。申し訳ありません、逃がしてしまいました
ええ……ですが、ラミアの位置を追跡する方法がなくなりました
現段階の情報だけで追跡を行うのは無理があります。それに、他にもっと重要な任務がありますから
……ええ、ちょうど集噛体下部に通じるルート上に出ましたし、進路上に障害もなさそうです
ですが、一点だけ気になることが……
ファウンスの槍に関するラミアの理解は少々常軌を逸しています。いくら偽装のためとはいえ、実戦に初投入されたシステムについて、あそこまで詳しいというのは……
αと同じように、華胥から情報を得たんじゃないでしょうか？
ありえますが、それにしても違和感がありますね……
まぁいいでしょう、今は考えるだけ無駄です。まずは進みましょう
はあ……失敗、失敗。こっそりつけてって、華胥を取り返す機会を待つしかないかな
おしゃべりしすぎだよ
……わかってる。というかさ、あいつあなたのアニキなんでしょ？華胥が欲しいって言えばくれるんじゃないの？
それとも、他に目的があるの……？へへ、人間は自分の家族だって簡単に騙すんだもんね。怖い怖い
……あなたに言われる筋合いはないな。任務に専念してよ
結局集噛体に近づかないといけない羽目になちゃった……あーあ……
あなたのためにものすごい危険を冒してるんだから。約束のものは絶対にもらうからね
約束は守るよ。欲しい物さえ手に入れられれば、ね
ならいいけど。捕まるフリも疲れるんだからね。しかもあいつらのためにパニシング濃度を優しめに調整しながらだし……
そう？楽しんでいるように見えたけど
ふん……
