前方が中心区です
エリア内部には、ロラン以外の昇格者がいるかもしれません……
応援を待ってから突入するという手もあります。ルシアはどう思いますか?
……
あ!すみません……私は……
ルシア、ロランの言っていたことについて考えてるんですか?
ええ、ルナの影は見たけれど、わからないんです。ルナはなぜ代行者になったのか……
私の記憶の中のルナは……自分の食べ物を他人に分け与えるような子だったんです。なのに今は……
それは……ファウンスの槍を使ってルナの記録を捜索するということですか?
他の侵蝕体のように、パニシングによって思考を歪められたりしてなければいいんですが……
ここに至るまで、信じられないような変化の例を山ほど見てきましたから。何があっても不思議じゃない。地球上の他の生物にだって先例があります
…………もし本当にルナが完全にパニシングの制御下に堕ちてしまって、あれがルナの意識の模倣にすぎないというなら……
たとえ妹であっても、私はこの手で……阻止します
姉妹が離れ離れになっている間に、あまりにも多くの出来事が起こった。その結果ふたりは今、まるで異なる道を歩んでいる――
なぜルナは昇格者になったのか。その理由を知るために今、昇格者を調べようとしている……隠されているものが何であれ、とうとう白日の下に晒されるのだ
ええ、答えを探しに行きましょう
ルシアは静かに微笑み、武器を握りしめた。4人は暗い連絡橋沿いに進んでいく
唐突に機械の運転音が鳴り響いた
待ってください……リーフ、何の音かわかりますか?
機械の作動音ですね……かなりの重低音です。前方の柱状の中心区から聞こえてくるようです
この規模の地下工場ですから、地上と連絡する昇降機のひとつやふたつはあるでしょう……おそらくはそれです
リーがすぐさま銃を構える。だが、目の前に現れたのは実体のない虚像のようだ
ルシアが伸ばした腕が、虚像をすり抜ける
廃墟で見た虚像と同じです。おそらくはファウンスの槍が投影しているんでしょう
華胥は静かに浮いている。一行をより奥深くへと誘うかのように
行きましょう、指揮官